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神話的解決


トランジットの太陽蠍座の時期に、月食と珍しい天王星食が起こった。
それまでの小惑星やブラックムーンリリスのマドモアゼル愛先生のお話の流れもあり愛先生のこの動画には強いインパクトを受けた。

7) 皆既月食と天王星食がもたらす男女の神話的解決について - YouTube

 
私も今春から神話的な語り、物語を通して真実が伝わっていくという視点で柳田邦夫氏、星野道夫氏、荘子等次から次へと同期するような流れでふさわしい本と出会ってきた。

そしてその集大成として、心理学者の河合隼雄氏の動画と著書と出会ったように受け止めている。
河合氏もギリシャ神話や日本神話と無意識領域の働きとからめて考察されており、男性性と女性性との対立や女神崇拝等母性を重んじてきた社会にも関心が向けられている。

コンステレーション|junchan|note


河合隼雄氏は、大学の最終講座のテーマにコンステレーションとされたように晩年は、国内外の神話に強い関心を持たれていた。
最近、読んだ河合氏の神話の心理学には「男と女」の深層にも言及されており、まさにブラックムーンリリス、マドモアゼル愛先生のお話とも驚くほど同期している。



神話の心理学 - 岩波書店 (iwanami.co.jp)
この本の以下の内容にとても惹かれたので引用したい。

神話は、人間が「意識」によって世界を認識しはじめた起源について語っている。
ものごとを分離することと、区別することは、人間の意識のはじまりである。世界の多くの神話のなかで、天と地、光と闇、昼と夜、などと分離が語られるのもこのためである。区別のないところに意識はない。
このはじまりについての神話が、旧約聖書では先ず何よりも先に神が存在し神の言葉によって光が出現する。一方、日本書記のなかでは混沌とした状態から天ができあがり、その後に神が誕生した。

神話の心理学より一部抜粋

天と地というように物事を分離することが世界のはじまりであり意識のはじまりであるという視点はとても新鮮で驚きであった。

そして、旧約聖書では、先ず神が言葉が存在していたということに対して日本神話では、先ずは混沌とした状態(河合氏は無意識とも表現されていた)から、沢山の神が登場してくる中で分離が生まれ、やがて言葉が生まれていく過程の違いがとても興味深い。

混沌の状態から形にならない状態で働いている力。その存在を感じる民族であれば、見えない存在に対しての畏れの気持ちもおのずから生まれてくると思う。
古来の日本の男性と女性との間の感情の軋轢を争うのではなく、男女それぞれが歌によりお互いの感情を昇華させて、お互いにあはれを感じ合ってきたということを知り、その文化の成熟さに驚かされた。
私自身、俳句と出会い、現実の出来事に対しての軋轢を表現する中で、自分自身の在り方に情緒をあはれを感じ、そして表現して他者に伝える行為を通して、自分自身の3室牡牛座太陽が輝いていたことと重なった。


河合隼雄氏のも神話、物語の本がとても興味深く、平行して何冊か読んでいるが以下の本にもとても興味深い内容があった。

神話と日本人の心 - 岩波書店 (iwanami.co.jp)

人間は「物語」なしに生きていけない。
何らかの不思議なことや感動的な体験をしたとき、誰でもそれを誰かに「物語る」はずである。物語によってその体験が自分とつながり、他人ともつながりをもつ。子どもたちは、母親に「聞いて、聞いて」と自分の物語を語る。これを受け入れず、子どもに物語る機会を与えなかったら子どもはひどい神経症になってしまう。
大人も「物語」が好きである。其れは「飲屋」にゆけばよくわかる。各人が自分の「物語」を一生懸命に語っている。

神話と日本人より抜粋

この内容は、私自身に重ねても見事に一致する。
10代に自分の本心を本当の意味で受け入れてもらえなかった苦しさで自律神経が異常となった。そして、サラリーマン生活の際にも仕事後の居酒屋でお互い物語るというのはとても好きで、誰の中にも重なるものが生まれる普遍的な内容でないかと思う。


きしくも先週、次男が見たいというので珍しく次男と二人で新海誠監督の新作「すずめの戸締り」を観てきた。まだ観ておられない方に対してのネタバレをしてはいけないので、詳細は語れないが、現代の神話としてとても象徴性を感じる素敵な映画であった。
主人公の母親との関係性や封印してしまった過去の痛み、無意識の世界への扉の存在等、いたるところにメタファーとして象徴されるものが設定されており、観た方が自分自身と重ねていけるような普遍的な要素がある内容であった。


時雨傘閉じてシネマの扉押す


※俳句と写真日記を毎日更新中

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