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ふる里のゼロ地下で

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エルトポ、寺山修司、ガレージパンク、カルトGS、シュールレアリスム好きな方と交流したいです。
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#アシッドフォーク

「いぐどわ」の同時性

 権太郎おごそか。
「おえもぎえでいーがらそろそどわいぐどわ」
 冷たいオレンジジュースに囁く。
「ごえもいぐどわさって、だぺした」

 新首都である津軽都(ツガルミヤコ)から来た記者はインタビューにならず、肩をすくめている。ちょっとカッコつけた彼は、
「憂鬱な午後はセメダインで出来ている」
と確実に感じていた。
 
 山々に抱かれたこの古民家で行われている、暗く、下らなく、血なまぐさい人間ドラマ

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B♭→D

1 
きのう君が見たという夢の木に、
「果実はなっていたかい?」なんて、
学者ぶってたずねても 
俺らの関係、何ら進展はない。 
でも君の夢の木にもし、
果実が豊かに実っていたとしたら  
それはきっと   
俺らを笑っていることだろうな。

2
「ある意味で、」と前置きすれば 
世の中のたいがいのことは言えてしまう。
君は俺、俺は君を何とかしながら、
毎日というはるか昔生まれた
馬鹿デカイ敵と闘

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ジ・エンド

 空気の中に塵があり、それが淡い、儚い感じで漂っている時に
 「ピンポーン」って鳴ってお客さんが来た。

 「コロッケ5個だけどすぐできる?」って、
 こちとら近所の肉屋だから大チャンスだ。
 でもそんなチャンス、君にも掴めるはずさ。ショーケース世界に手を伸ばして御覧。ううん、そこには無いよ、もっと右。ポテトサラダ方面3スパゲティーサラダ方面7だよ。

 昼のラジオのお姉さんの声が仏間を通って聞こ

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十月はまぁまぁだ

 ニセの季節はつまらない、いつか買ったカップを見てる。肩口から入ったアドヴァイスが、心臓で弾丸に変わる。「約束が違う」と詰め寄ると、アンチクショウめ、空き瓶に変わって風に吹かれて転がってった。それから元号が2回変わった。

 そんなこんなで遊んでいると、結び目の顔をした彼女はもう、サイレンと一緒に遠くへ引っ越した後のまつりだった。
「ビデオの中の鏡の中の雑誌の中のお便りの中で誕生会をする家を訪ねる

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レコードを聴きながら

 もう一生会うことはないであろう田舎の叔父貴のスコップには、遠い昔に俺がつけた傷が今も残ってるはずで、刑事さんそれで、俺の無実が証明されるはずなんだが。

 たき火の向こうにニセの案内所が見えるだろうが、そこに行って訊いてくれ。
「道順はこのラジオが丁寧に説明してくれるはず」と、渡そうとしたら、豆腐みたいにグズグズ崩れやがって。

 アンテナだけが手のひらに残る。

 不快感と残念感いっぱいの俺を

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サトキ・キヌマサに関する40年

どしゃ降りのラーメン屋で
希望という名のナルトをさがして40年 
サトキ

彼はサトキでありまたキヌマサでもあった
三面記事の行間で立ち止まる

ふる里行きのバスを待つ間
サトキ・キヌマサはしっかりと胸に刻む
「俺は、人間嫌いだ」と

日本晴れの酒をのみほしてため息ひとつ
捨てられたムードをまとう 
サトキ

記憶が始まってからずっと
そうさ彼はサトキ、
サトキ・キヌマサ

明日を鼻で笑って、

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くぁいそう

可哀そうに嫌味に消極的
彼女
わざとらしく奥手と言う事で、
ショー極的とも言われ、
リス化してしまったとも聞く
花開いてしまった場所が悪いのか

残念ながら場違いに積極的

急に出てくるものだから、
ヌッ極的とも言われ、
ストー化してしまったとも聞く
好きで発現したわけでもあるまいに

でも、花は花ということで
どうせ泥の河を渡るにせよ
少し陽の射すほう

そう、逃げて行けば良いのだ

そしてそ

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