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才能

年配の男性で常連の方がいる。
担当してる先輩は苦労してる。
悪い人ではない。
自分の子供より年下の僕らにも敬語で接してくれるし、とても礼儀正しい。
ただ、昭和の男の人って感じで気難しく自分が納得するまで、こちらの提案を受け入れてくれない。

お客さんが元警察官というのも理由なのかもしれない。
でも、僕に対しての反応が明らかに違う。

僕にだけすごい笑顔で話しかけてくれる。
その人が初めていらした時、僕が対応し世間話をした時に元警察官と教えてくれたので、

『失礼ですが最終階級をお教え頂いてもよろしいですか?』
そう尋ねたら、
「警視です」
と、教えてくれた。

警視という階級に驚いて思わず、大きな声が出てしまい近くにいた後輩たちがこっちを見たので、この方、元警察官で階級が警視だったんだと教えたけど、ピンと来てないようだったので、警視という階級は約29万人いるとされる警察官のうち、わずか2%ほどしかいないことを教えると皆、驚いていた。

お客さんは、定年間際の自分に上司が温情で昇格させてくれただけと謙遜してたが、お客さんはノンキャリの交番勤務の巡査から警視に昇格している。
ノンキャリで警視まで昇進できる人はそうそういない。

ちなみに警察の階級は、

巡査→巡査長→巡査部長→警部補→警部→警視

この順。
巡査長はこち亀の両さんの階級だけど正式な階級じゃない。
詳しくは、これを。

なんで僕が警視という階級を知ってるのか。
金田一少年の事件簿に出てくる明智警視の警視という階級が警部より上なのはマンガを読んでて知ってたけど、実際、どういう立場なのか知りたくて昔、調べたから。

ちなみにドラマ“ 相棒 ”で、
「暇か?」
と、特命係にやってくる角田課長もノンキャリにもかかわらず、本庁勤務の警視。

ただコーヒーをたかりに来るわけじゃない。あの人は、何気に優秀な人材。

警察関係者でもない僕が警察の階級について知っていたことが嬉しかったのか、以来、お客さんは僕が外出でいない時は、
「あの方はお休みですか?」
担当でもない僕のことを聞いているらしい。

お客さんと良好な関係が築けているのはいいことだけど、1つ問題が。
担当する先輩が以前から提案していたプランを中々、受け入れてくれなかったのだが、やっと受け入れてくれた。

それは良かったんだけど、受け入れた理由が先輩の説明に納得したのではなく、

「ユリアンさんが良いって、言ってたから」

だった。
先輩が他の方の対応をしていたので待ってもらってる間に話した

『〇〇(先輩)が勧めているのであれば問題ないと思いますよ』

この一言が決め手だったそうだ。

「受け入れてくれたのは嬉しいんだけど、何回も説明した私の言葉より君の一言が決め手だったのはちょっとショックかな」

先輩に言われた。

「やっぱり、あなたは営業に向いてるし、女性相手ならヒモで生きていける」

以前、言われたことをまた言われた。
先輩の度量が小さかったら、このことを理由に何かされたかもしれない。

実際、退職した先輩に似たようなことがきっかけで恨まれたことがある。
僕には普通に接してたが、いないとこですごかったらしい。

誰も何も悪くないのに恨まれることはある。

先輩の度量の広さに感謝と、

“ ヒモで生きていける…ワンチャンあるかな…? ”

邪な考えがよぎった。

ジュースが飲みたいです('ω')ノ