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【比較】共通テスト対策模試は、どの会社の模試を受けたらいいの!?

〔問題提起〕一体どの模試を受ければいいの?

 とてもたくさんある模擬試験。一体、どの模擬試験をどういう気持ちで受験申込すればいいのか。高校3年生にとっては悩みのタネの1つです。
 「模試はどれも同じ」と安易に考えて、模試を選択決定してしまっているのであれば、これほどお金と時間を無駄にしていることはありません。
そうならない様に、模擬試験の特性について考えていきましょう。ただ、もうすでに各学校で必須受験とされている者もあると思います。必須のものは必須のものとして受けていいのですが、その模試を受ける意味・活用方法がわかった上で受けたいものです。
 模試は「共通テスト対策模試」と「記述模試」の2つに大きく分けることができますが、今回は、「共通テスト模試は、どの会社の模試を受けたらいいのか!?」ということについて、各種模試を比較しながら、説明していきたいと思います。

〔結  論〕モデルケース1はこれです。

 今回は、志望校、現在の学力状態などはあまり気にせず、”一般汎用性の高い”モデルケースを1つ紹介したいと思います。
では早速、結論は以下の通りです。


◎高3年4月〈東進〉共通テスト本番レベル模試
・高3年6月〈進研〉共通テスト対策模試
・高3年7月〈河合〉第2回全統共通テスト模試
◎高3年8月〈東進〉共通テスト本番レベル模試
・高3年10月〈河合〉第3回全統共通テスト模試
・高3年11月〈河合〉全統プレ共通テスト
◎高3年12月〈駿台〉atama+プレ共通テスト模試
◎高3年12月〈東進〉共通テスト本番レベル模試


 これが高校3年生での、”一般汎用的”なモデルケース1です。
共通テスト得点推移は〈東進〉中心、〈河合〉はドッキング判定・私大マーク問題を意識ということになります。

〔根拠説明〕共テ模試の3つの観点

まず、共通テスト対策模試を受験する理由・目的としては、次の3つがあります。
①「形式に慣れる」
②「得点を定点観測して学力状態を確認する」
③「記述模試とのドッキング判定」

この3つの観点で、順を追って考えていきましょう。

①「形式に慣れる」

「形式に慣れる」という点で選ぶ際に大切なことは、次の2つです。
1.本番の共通テストと似ている形式の問題を出題する模試
2.本番の共通テストと近い難易度の問題を出題する模試

この2つの観点を意識して、どの会社の模試を受験するかを選ぶのが妥当だと言えます。
1.の形式については、東進・駿台・ベネッセであれば良いと思います。河合塾の共通テスト模試は、思考力系の問題が非常に少なく、センター試験の頃の問題の様な傾向にあると感じます。センター試験よりも“ややこしくなった部分の問題形式“をたくさん解いて訓練したいわけですから、河合塾の共通テスト模試と共通テスト問題集は避けた方が無難かもしれません。
2.の難易度については、駿台>東進=駿台ベネッセ共催>進研という印象がありますね。

 ただ、注意してほしいのは、これを見て「東進と駿台ベネッセ共催だけがイイ」ということではないということです。受験生のレベルに応じて使いこなすことが必要となってきます。学力的に低めだなと自分で思う場合は、進研・駿台ベネッセ共催・東進の3つを対象と考えればいいですし、学力的には高めだと自分で思う場合は、駿台ベネッセ共催・東進・駿台の3つを対象とすればいいと思います。

②「得点を定点観測して学力状態を確認する」

 次に、「得点を定点観測して学力状態を確認する」という点において考える場合は、次の注意しておかなければなりません。それは、共通テスト系模試には出題に関して、以下の2つのパターンがあるということです。
1.理社は学校の進度に合わせた範囲から出題する模試
2.全科目共通テスト本番同様の全範囲から出題する模試

この2つの違いをよく分かっていないと、ちゃんとした定点観測ができないということです。1と2に分けて見ていきます。

1.の理社は学校の進度に合わせた範囲の模試の場合
これは基礎学力の定着、応用力の定着などの度合いを測ることを主な目的になります。以下が、理社の範囲が限定的な高3以降の模試です。なお、高2まではほぼすべての模試が授業進度に合わせた範囲限定模試です(東進の全国統一テストは除く)。
・高3年5月〈河合〉全統共通テスト模試
・高3年6月〈進研〉共通テスト対策模試
・高3年7月〈河合〉全統共通テスト模試
・高3年9月〈駿台ベネ〉第1回駿台ベネッセ大学入学共通テスト模試

 なお、基礎学力の定着度をしっかり測りたい場合は、進研模試が一番優れています。よく巷では“進研模試は問題が簡単”“進研模試の偏差値は高く出過ぎるから意味ない”という様な事を言っている人がいますが、それは大きく間違っていると思います。点を取らせない問題を出題しているわけではなく、あくまでも“基礎学力”がしっかり見ついているのかどうかを確認するのに適しているのです。簡単だという人が、満点もしくは9割得点獲得というのであれば、進研模試は受けなくていいと思います。ですが、8割未満ということは、基礎学力が身についていない部分があるということです。土台となる部分である“基礎学力”。これは大学入試問題で高得点をとるためには不可欠な力です。圧倒的な基礎学力を身に着けることが、入試本番でミスを最小限に抑え、合格点を確実に上回ることができる確率が高いということになるわけですからね。そして、偏差値が高く出るのは、それだけランクを細分化しているということです。層をたくさん分けているからこそ、数値の幅は広くなる。非常に細かく層を分けているわけですから、数字が大きいのは問題ではないのです。そして判定の出し方も、過去の受験生たちのデータも加味したうえでの判定で、しかも母集団もとても多いので、信憑性は高いです。
 一方で、応用力の定着度を測りたいのであれば、河合模試や駿台模試がイイでしょう。国公立は旧帝大以上、私大は早慶を受験するのであれば、駿台は受けたいものです。もちろん河合でも構いませんが、難易度は駿台>河合なので、最難関を受験するなら駿台模試にチャレンジしたいですね。

2.の全科目共通テスト本番同様の全範囲から出題する模試の場合
定点観測がしやすいです。以下が該当する全範囲模試です。
・高3年4月〈東進〉共通テスト本番レベル模試
・高3年8月〈東進〉共通テスト本番レベル模試
・高3年10月〈駿台ベネ〉第3回駿台ベネッセ大学入学共通テスト模試
・高3年11月〈河合〉全統プレ共通テスト
・高3年12月〈駿台〉atama+プレ共通テスト模試
・高3年12月〈東進〉共通テスト本番レベル模試

③「記述模試とのドッキング判定」

 では最後に、③「記述模試とのドッキング判定」という点についてですが、〈駿台ベネッセ〉〈河合〉〈駿台〉の3つはそれぞれ共通テスト模試と記述模試の両方を合わせた合格判定であるドッキング判定を出すことができます。つまり、「共通テストと国公立2次試験」を模しているわけですね。国公立志望者は、それも意識して共通テスト模試を選ぶことになります。ただ、ドッキング判定にも精度の観点から言うと、私個人的には8月以降のドッキング判定しか当てにはしません。つまり、8月より前のドッキング判定は、生徒の実際の合否データから見て、特に気にしませんでした。
そして、受験者の多い〈駿台ベネッセ〉と〈河合〉の2つに関しては、過去の生徒のデータから見た判定の精密さでいうと、〈駿台ベネッセ〉に軍配が上がると感じています。しかし、1つの模試で判定を決めるのは、リスクが高いです。よって、〈駿台ベネッセ〉〈河合〉の両方の判定を使いこなしていくことが妥当です。これは教員がしっかり使いこなせるようにしたいものです。はっきり言います。もしも指導者が、どちらか片方だけの判定で決めようとするというのであれば、それは…「単に楽をしているだけ」。判定は、あくまでも判定”予想”です。判定予想のデータは、1つではなく、2つを見て判断する方が良いのは明白なことです。
なお、この「ドッキング判定」「記述模試」「大学別模試」については、また別の記事で書きたいと思います。

〔まとめ〕

 これら①「形式に慣れる」、②「得点を定点観測して学力状態を確認する」、③「記述模試とのドッキング判定」を総合的に考えた上で、
結果的に、どの様なルートで共通テスト対策系の模試を受験すればイイのか?
一般汎用性の高い例
として1つのモデルケースを挙げるとすると、以下の通りになるわけです。
◎高3年4月〈東進〉共通テスト本番レベル模試
・高3年6月〈進研〉共通テスト対策模試
・高3年7月〈河合〉第2回全統共通テスト模試
◎高3年8月〈東進〉共通テスト本番レベル模試
・高3年10月〈河合〉第3回全統共通テスト模試
・高3年11月〈河合〉全統プレ共通テスト
◎高3年12月〈駿台〉atama+プレ共通テスト模試
◎高3年12月〈東進〉共通テスト本番レベル模試

 ということで、共通テスト得点推移・定点観測については、基本は〈東進〉を使用します。そして、河合模試はあくまでも、記述模試とのドッキング判定、私大のマーク問題のために受けるという位置づけです。6月進研模試は、採用している学校も多いと思います。採用していなければ受けれません。ただ、進研模試を作っているベネッセの模試は、問題の平均点管理に非常に優れています。詳しくはまた別の記事にしますが、ベネッセの模試は、模試の回次が違っても、平均点がだいたい同じになるように問題が作成されています。そして、基礎学力を図ることを意識している模試です。高校3年生の6月という時期は、まさしく圧倒的な基礎学力を定着させたい時期ですから、そういう意味ではとても価値の高い模試なのです。
このモデルケースに、高2年1月の共通テスト同日試験を加えて、約3~4か月ごとの推移をみるという定点観測をすると良いと思います。

〔おまけ〕こんな方法もあります。

 ただ、これらをすべて受験するとなると、費用がかさみます。そこで、代替策としては、東進共テ本番レベル模試は、市販されている昨年の東進や駿台の共通テスト対策模試問題を購入して、3~4か月を目安に自分で解くというのでも良いです。
共通テスト模試の場合は、偏差値は気にする必要はありません。あくまでも共通テストは得点で推移を見ていくことが大切ですからね。
「なら、初めから模試問題集を買ってしまえばいいじゃん!」といいたくなりますが、、、それは違うんですよ。実際に試験会場に受けに行くという体験、緊張感、本番に準じた経験がとても大切なんです。本番を想定して、試験を受けるというのは、外部会場ならではのメリットです。
何事もシミュレーション、事前準備で決まります。
その点も十分に戦略を練った上で、模試計画を立てていきましょう。





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