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「タスマネ」で定時退勤しよう!②

~ディープワーク編~

おさらい

「タスマネ」とは自らの業務を効率的に管理(タスクマネジメント)すること

ディープワークとは、知的思考・集中を要する職業上の活動です。ディープワークは、認識能力を高め、新たな価値を生み、スキルを向上させます。ある程度まとまった時間に取り組むのがよい業務です。新しいプロジェクトの創設や効果的なビジネス戦略の追究などがディープワークにあたるといえます。

一方、シャローワークとは、知的思考や集中を要しない補助的な業務で、注意散漫な状態でもできるものをいいます。あまり新しい価値を生み出しません。メールの返信、だれがやっても同じ結果になる書類の作成・事務処理などはシャローワークだといえます。

詳しくは、前回の「タスマネ」で定時退勤しよう!①をご覧ください。


ディープワークを習慣化しよう

シャローワークを減らし、ディープワークに集中する時間を増やすことが、新しい時代に求められる働き方だと考えられています。
雑務に忙殺される日々の中でもディープワークを習慣化していくにはどうすればいいのか、具体的な方法を交えてご紹介していきたいと思います。
ご自身の仕事スタイルやキャリアに合わせて参考にしていただければありがたいです。


ディープワークのためのタスマネ その1
「中断されないまとまった時間」を確保する

作家J・K・ローリング、物理学者ウィリアム・ショックレーらは、執筆や研究の際、ホテルにこもりディープワークに没頭し、また、実業家ビル・ゲイツは、「考える週」を設け、自分の別荘にこもって会社に関する重大な問題について考えたそうです。
このように、著名な知的生産者たちは、ディープワークを行うために、「中断されないまとまった時間」を必要としてきました。


しかし、J・K・ローリングやビル・ゲイツのようなリッチなセレブではない多くのビジネスパーソンにとって「中断されないまとまった時間」を確保するなど、至難の業でしょう。

例にもれず、勤務時間のほとんどを授業に縛られる教員にとっても「まとまった時間」を確保することは極めて困難です。
しいて挙げるならば、授業のない空き時間や放課後・退勤時刻までの1,2時間しかない。
そこで、私は可能な限り、この時間をシャローワークは行わず、ディープワークのための時間の時間にしています。
例えば、新しい実践開発のために構想を練ったり、思考力を要する文章の作成をしたりなどです。

タスマネ1コマ目

ディープワークのためのタスマネ その2
集中できる場所にこもる

わずかな「まとまった時間」を無駄にしないためにも、ディープワークモードへの素早い切り替えが必要です。
学校の職員室は、雑談と雑務の巣窟だといえます。
ちょくちょく仕事の相談や依頼をされたり、パソコンの使い方を尋ねられたり、雑用・雑務・雑談・電話対応など・・・否応なくシャローワークに引きずり込まれ、とても職員室でディープワークは不可能でしょう。

タスマネ2コマ目


また物理的にも、自分の机のスペースでしか仕事ができず、資料を広げることもできないなど、とにかく制約が多いものです。

私の場合、空き時間や放課後は、自分の教室にこもりディープワークに没頭するようにしています。
職種によっては、自分のデスクを離れることが許されない方もいらっしゃると思います。
そういう場合は、本来勤務時間ではないかもしれませんが、昼休みや退勤後、ディープワークに最適な場所を探してみてください。
会社内のラウンジ、落ち着いたカフェ、車通勤の方なら景色のいい場所に駐車した車内など、お気に入りの場所を探すのも楽しいものです。
私は、基本的に定時退勤で、定時退勤以外は仕事のことは一切考えないようにしているのですが、それが自分の職能開発や、学校や社会をよりよくしたりするためのディープワークである場合のみ、勤務時間外でも取り組むようにしています。

ディープワークのためのタスマネ その3
儀式とルーティンを持つ

子供の下校が完了し退勤時刻まであと1時間30分。とりあえず職員室にもどってコーヒーでも飲んで一息いれよう・・・なんて気持ちよくわかります。
しかし、それだけで貴重な「まとまった時間」の数十分を浪費することになってしまいます。
「まとまった時間」になったらすぐディープワークモードに切り替えられるように、儀式とルーティンを持つことが大切です。


私の場合は、コーヒーと音楽です。
教室の戸棚にマイ電気ケトルを常備しているので、それで湯を沸かしたらすぐさまディープワークに突入です。
コーヒーの繊細なドリップ音、芳醇な香りがディープワークへの集中を高める儀式になっています。
音楽は、いつもきまってスマホで高木正勝「夢と狂気の王国」のサントラを流します。静かなピアノの音色で曲想が安定していて、ディープワークに打ってつけです。
余談ですが、「夢と狂気の王国」は、宮崎駿監督をはじめとするスタジオジブリのクリエイターたちを描いたドキュメンタリー映画で、そのサントラを聴くだけで自分のクリエイティビティを触発される感覚を覚えます。
いろいろな音楽で試してみましたが、歌詞のある曲やトークのあるラジオはよくありませんでした。
言語情報が、思考の妨げになるように感じます。
でも、その人によって没頭しやすい音楽はそれぞれあると思いますので、最適なディープワーク・ミュージックを探してみてください。

タスマネ3コマ目


ディープワークのためのタスマネ その4
人の助けを借りる

ディープワークは、必ずしも一人で行われるものではありません。
もともと協働(コラボレーション)を前提としたチーム・プロジェクトもあれば、個人タスクであっても相談や確認を要するものもあると思います。
私の場合は、同学年の同僚に相談することが多いです。
メモを取ったり、パソコンで書類をいじったりしながら、イメージを膨らませ、そこでの対話を形に残していきます。

人と関わることでセレンディピティ(偶然の発見能力)が刺激され、思いがけないアイデアが生まれることもあります。
デジタルファイルの場合、決して上書きはせず、最初に前回のファイルをコピーしてから入力していきます。
過去のファイルも“2020.05.16プロジェクト戦略”などとネーミングしてすべて残していきます。
このように、すべてのファイル名のトップに日付を入れることで、時系列に並べて表示されるので便利です。
メモは、スマホで写真に撮って、メールやラインなどで相手とシェアします。
こうすることで、いつどのような話し合いが行われたかが可逆的に参照することができ、また、今後「何を」「どのように」進めていくかイメージを共有することができます。
ミーティングの最後には、データ入力や印刷などのシャローワークの分担をしておくと、それぞれのスキマ時間で効率的に処理することができます。

タスマネ4コマ目


ディープワークで終わらない挑戦を

タスマネは、その習得が目標ではなく、ディープワークを習慣化するための方略なのです。

私も、後輩も多く抱える年代になり、従来のやり方を指導する場面も増えました。
しかし、ディープワークを習慣化することで、たくさんの知見に触れ、新しい考え方、新しい手法を獲得することができました。

最近はそのアウトプットにもつながるようになってきました。
自分としては、まだまだ未熟だと思っていますが、大切なことは、今いる場所・従来のやり方で思考停止にならないことだと思っています。
激変する世の中で、新しいことに挑戦し続けることが大切です。

長い文章になりました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

参考文献 カル・ニューポート著 門田美鈴訳(2016)『大事なことに集中するー気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法ー』(ダイヤモンド社)


次回予告

次回は、ディープワークの時間を確保するために、シャローワークの時間を可能な限り減らしていくタスマネについて語っていきたいとおもいます。

また、お読みいただけると光栄です。





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