勇気が足りない若者よ。

部屋を暗くして、窓を開けて、イヤホンをつけて聴いてほしい曲がある。

今の自分には何があるんだろう 勇気がないよ

自分には何ができるのか。
自分はどんな人間なのか。
そして、自分はなんのために生きているのか。

向き合うには、あまりにも怖すぎる問いだ。
答えを探しに行くのも怖い。答えが見つからなかったときのことを想像すると、もっと怖い。

夏の夜
ひとりギターを弾いてた
誰も知らない自分がいた
本当の声は喉を通らずに
音もなく叫び続けた

そして何より、「自分」を見つけられたとしても、その想いに素直になるにも勇気がいる。
みんなその勇気が足りないからこそ、この夏の夜ひとりでギターを弾く少女は、共感を呼ぶのだろう。

だが、「勇気」こそ、幸せに生きるために一番必要なものではないか。
分かりやすいのが、告白やプロポーズ。愛する人と一緒にいるためには、勇気をふりしぼらなければいけない。
または、第一志望の高校や大学に入るには、勇気を持ってその学校を受験しなければならない。
あるいは、イケてる学校生活を送るために、周りの目を気にせずにハジけることも、勇気がいるだろう。

なりたい自分になるためには、やりたいことをやるためには、必ず勇気が必要になる場面が来る。
そんな場面では、頭ではやるしかないと分かっていても、体が動かないものだ。気持ちはすごく分かる。
だが、そんな勇気が足りない君たちに、あえて問いたい。
君は、勇気を手にいれるために何をしてる?

ドキッとしたんじゃないだろうか。
勇気がないと言って、ただ立ち止まってるだけじゃないだろうか。それこそ、頭では分かっているにも関わらず。

勇気は、自分で手に入れられる。いや、勇気は、自分で育てるものだ。
例えば、この曲の主人公の、夏の夜ひとりギターを弾く少女が、夢を叶えるサクセスストーリーを想像してみた。
おそらく彼女はシンガーソングライターになりたいのだろう。だが、夜ひとりでギターを弾くぐらいだから、誰かに自分の歌を聴いてもらう勇気はないようだ。
そこで、まずはネットで見かけたオーディションにデモテープを「えいやっ!」と送ってみた。すると、なんと一次審査通過の通知が来た。二次審査はスタジオ審査。残念ながら通過することはできなかったが、はじめて人の前で自分の曲を披露した。
少しだけ自信を得た彼女は、仲の良い友人に自分の曲を聴いてもらうことにした。すごく褒められた彼女はさらに自信を深め、文化祭のステージに出演することにした。ステージは無事成功し、大勢の前で歌う高揚感と達成感を覚える。
その後彼女は、自主制作CDを売ったり、たまにライブハウスでライブをしたり、段々アーティストらしい活動をするようになる。経験を重ねるにつれて、少しずつファンも増えてきた。
そして高校卒業後、彼女はレコード会社が主催するオーディションに応募することを決意する。審査を勝ち上がった彼女は、見事審査員の目に止まり、著名なプロデューサーが曲を作ってくれることになった。メジャーデビューの決定であった……

メジャーデビューするまでのステップひとつひとつに、彼女の勇気を少しずつ大きくする仕掛けが隠れているのに気付くだろうか。
最初は、デビューなんて信じられないという気持ちだろう。
だが、小さなステップをひとつずつ超えるうちに、文化祭に出たりライブを開こうと思ったりするほど、勇気が大きくなっている。
目の前のものすごく小さなステップを超える勇気さえあれば、君は勇気を育てることができるのだ。

私は大学生なのだが、まさに今夢を叶える勇気を育てている最中だ。
ずっと音楽に携わる仕事がしたくて、音楽をテーマにnoteを始めた。自分も楽器ができるようにならねばと思い、ギターも買った。
たったこれだけのことだが、自分の夢を信じる勇気がほんの少しだけ大きくなってきた気がする。

夏の夜
ひとりギターを弾いてた
誰も知らない自分がいた

この曲を思い出したとき、私のことを歌っているのではないかと思って驚いたものだ。

どこかか細いのに、まっすぐに伸びる。
消え入ってしまいそうなのに、しっかり響く。
か弱さと力強さが共存する声が、優しいギターの音と一緒に、イヤホンから胸のあたりまで流れ込んでくる。
声にならない叫びを絞り出したようなこの曲が、あなたにそっと勇気をくれるだろう。

平成最後の夏の夜は、この曲を聴いて、明日から勇気を育てる自分に思いを馳せてみてはどうだろうか。

夏の夜 / 片平里菜
作詞 片平里菜

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