ビタミンDの補給が長距離陸上競技選手の血清総25(OH)濃度と骨格筋の生化学的マーカーに及ぼす影響

The effect of vitamin D supplementation on serum total 25(OH) levels and biochemical markers of skeletal muscles in runners

Aleksandra Żebrowska, Ewa Sadowska-Krępa, Arkadiusz Stanula, Zbigniew Waśkiewicz, Olga Łakomy, Eduard Bezuglov, Pantelis T. Nikolaidis, Thomas Rosemann & Beat Knechtle
Journal of the International Society of Sports Nutrition 17(18) (2020)

背景
激しい運動に対する骨格筋機能の有益な適応は、ビタミン D の状態の改善が一部影響する。本研究では、3週間のビタミンD補給が、耐久性レースのランナーの血清25(OH)Dレベルと骨格筋バイオマーカー(トロポニン、ミオグロビン、クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素)に及ぼす影響を評価することを目的とした。

方法
二重盲検プラセボコントロール試験を用い、ビタミンDの補給を無投与対照群と比較した。国際マラソン選手権で開催されたウルトラマラソンの競技者である24名のランナーを対象に、2000IUのビタミンDを3週間にわたって補給した群とプラセボを補給した群に無作為に割り付けた。全被験者が以下の3つの運動プロトコルに参加した。
(a)インクリメンタルエクササイズテスト(最大酸素摂取量とエキセントリック運動の強度を決定するため)、
(b)エキセントリック運動前、
(c)2回の食事後
血清25(OH)Dレベル、骨格筋バイオマーカー、炎症性サイトカイン、腫瘍壊死因子α(TNF-α)レベルを推定するために、安静時、運動直後、回復後1時間後と24時間後に静脈血液サンプルを採取した。

結果
ベースラインの25(OH)D値は、補給群では介入前と介入後で有意な差が認められた(34.9±4.7 vs 40.3±4.9 ng/ml、p = 0.02)。介入後の25(OH)D値はプラセボ群に比べてビタミンD食後に高値を示した(それぞれ40.3±4.9 vs 31.8±4.2 ng/mL、p<0.05)。ビタミンD補給は、運動後(TN max)および運動後1時間のトロポニン(それぞれp=0.004、p=0.03)、運動後1時間のミオグロビン濃度(p=0.01)およびTNF-αレベル(p<0.03)を低下させた。運動後24時間のクレアチンキナーゼ活性は、プラセボと比較して補給群で有意に低かった(p < 0.05)。運動後25(OH)D値とミオグロビン値(r = -0.57; p = 0.05)、25(OH)D値とTNFα値(r = -0.58; p = 0.05)の間には負の相関が認められた。

結論
3週間のビタミンD補給は、持久的トレーニングを受けたランナーの血清25(OH)Dレベルにプラスの効果があり、運動後のバイオマーカーレベルの顕著な低下をもたらした。ビタミンDの補給は、アスリートのエキセントリック収縮を伴う筋運動後の骨格筋損傷の予防に重要な役割を果たす可能性が示唆された。

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