往診の経験から決意したこと
今日はただの思い出を書きます!
私は放射線科に入局した後も、週に1回は患者さんを診るバイトをしていた。
1年目は内科の外来
2-3年目は診療所で往診に行っていた。
湘南・鎌倉の地域にある介護施設や老人ホーム、個人宅を回っていた。
私と看護師さんと運転手さんの3人で回る。
少し時間のある時は、運転手さんが江ノ島でアイスクリームをおごってくれたりして、アットホームでいつも楽しかった。
病院で働くのとはまた違う経験ができた。
生活保護を受けている老人夫婦
年金パラサイトで無職の息子が母親の面倒を見ている家
母親の便や尿をgやmlで全てノートにとっている息子
実の娘さんが親身になって面倒をみるお家や、お嫁さんが嫌々面倒をみているお家
色んなお宅があった。
また老人施設もすごい高そうで、サービスが行き届いているところから、ちょっとcrappyだけど、和気あいあいとしているところまで様々だった。
また色んな人がいた。
介護施設に一人とても気難しいおじいさんがいた。
その人は有名企業の役員だった人で、プライドが高かった。
よく介護士さんにも怒鳴ったりして、介護士さんも「少し扱いづらいのよねー」とこぼしていた。
東京にある家を売って、その高い介護施設に入ったとのことだったが、あまり人と関わろうとせず、いつも奥さんと部屋で二人きり。
部屋を出れば、みんな喋ったり、お茶を飲んだり、ゲームをしたりしている。
でもその夫婦はいつも部屋で過ごしており、孤立していた。
施設にはレクリエーションやクラフトなどがあるが、それも参加して楽しめる人と、はなから拒否してやりたがらない人がいる。
「あんな子供っぽいこと、馬鹿馬鹿しい」
確かに幼稚園のレクリエーションとさして変わらないところもある。
でも手先を動かしたり、人とコミュニケーションをとることはボケ防止にも繋がるし、施設に入った以上、楽しんだ方が得である。
それを見て
『私がもし施設に入ることになった暁には、人と積極的に話して、イベントも楽しもう』
私はまだ20代だったが、その時そう決めた。
一軒家におばあちゃんが住んでいた。
息子さんが面倒を見ていたその人、少し、いや、かなり認知症になっていた。
そのおばあちゃんのところに行った時、私はいつも尋ねていた。
「〇〇さん、今日何曜日かな?」
いつもその日は金曜日なのだが、いつも間違える。
ある日、いつものように私は尋ねた。
「〇〇さん、今日何曜日かな?」
「金曜日よ、あんたが来るのはいつも金曜日じゃない」
「すごーい!覚えててくれたのねー、来週また聞くから覚えといてね!」
そしてもう大体の方は察しがついていると思うが、オチいきます!
その翌週、私はまた尋ねた。
「〇〇さん、今日何曜日かな?」
「さぁねー月曜日かしら」
元気よく、違う曜日を答え、私のことはもちろん覚えていなかった。
でもその人は可愛いかった。いつもニコニコして、毎週何らかのお話をしてくれた。
『私もあの人みたいに朗らかで、可愛いおばあちゃんになろう』
私はそう決めた。
その往診での経験は、社会的格差や老後のことを考えるいいきっかけになった。
皆さんありがとうございました!
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