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【NZで出産編①】池とかほんとにどうでもいい!

今回はニュージーランドで出産したときの話をシェアしようと思う。

※完全に個人の主観で書いたもの であり
他の方のご経験や感じられることとは違う可能性があること
ご理解の上お読みいただければ。。

***

出産前の状況と予定は以下の通り。
色々不安を抱えながらの初出産だった:

・海外出産なので家族が近くにいない
・過去に流産を経験
・高齢出産
・妊娠糖尿病
・分娩誘発からの水中分娩
(糖尿病なので39週に誘発しないといけなくなった)
・行ったことがないノースショアホスピタルで産む

ちなみに、分娩誘発は①病院に入院して、
②数時間ごとに陣痛誘発薬をのんで、③いつくるかわからないけど、
陣痛がきたら出産…というプロセス

***

入院当日、朝早くに目がすっきり覚めた。
緊急はなかったけど、今日から入院か・・と、
なんだか夢の中にいる感じもした。

ニュージーランドの病院食への期待はゼロだったので(苦笑)、
日本人らしくおにぎりを沢山作って、買いだめしておいた日本のお菓子を
バッグに沢山つめて家を出た。

これが病院という行き先でなければ、完全に遠足いく人のバッグの中身。

早起きが苦手な私に「朝7:30に入室してね!」という
結構なスパルタ要請を事前にいただき、朝から夫と二人で病室で過ごした。

私がアサインされたノースショア病院の病室は暗くて、
あまり寛げる感じはしなかったのだが、
部屋によっては窓があって明るめな病室もありそうだったので
入院ライフって完全に運で決まるなぁと思った。

午前8時、担当ナースが病室にきて早速準備を始めた。
「何かあったときにすぐ点滴が打てるようにIV(静脈注射)
指しておくわねー」と、太っとい針をグサッと刺される。

これが結構痛い。いつも見かけるの針の4倍くらいの太さだった。
私の血管が細いのか、ナースのスキルが低いのか
何度トライしてもうまく血管に刺せない。

ナース2人がそれぞれ2回、計4回トライしたがダメ。
入院して1時間もたたないうちに、針でぶすぶす刺され、
朝からとんでもない拷問を受ける。

3人目のベテランっぽいナースがやってきて、
「あらあら、これは大変だったわね・・」
と細めの針でトライしてくれ、5本目でやっと成功。

私の腕は薬物ジャンキーのように、失敗した部分がたちまち痣になった。
これが日本だったら・・と思うと悲しくなるので止めた。

***

ここから数時間ごとにお薬を飲みながら陣痛を待つことになった。
薬は無味で飲みやすい。

本陣痛からの出産は早くても次の日、
遅い人だと3日くらいかかる人もいる、と聞かされていた。

最初はとんでもない目にあったけど、ここからは陣痛を待つだけ。
結構楽勝じゃないか。
しかも今日は来ないらしい。

となれば、これから20時間くらいはヨユーじゃないか。
テレビやネトフリでも観ながら、
つめてきた高級カントリーマアム@13ドルを
ぼりぼりしてやろうじゃないか。
そんな気楽な気分の中、ベッドの上で過ごす一日になった。

いや、ならなかった。

午後3時頃、段々お腹が痛み始めた。

ん?これはあれですか?明日明後日の予行練習的な痛み?
にしては結構痛いんですけど!

前駆陣痛かもしれないと思い様子を見ていたが、
やがてベッドに横になるのも辛くなり、
かがんでベッドの上に上半身をおく状態で腹痛が和らぐのを願った。

ちょっと様子が変わったことに気付いた 
注射失敗ナースAが病室へ様子を見に来た。

「お腹痛いのー?でもまだ大丈夫よー。
近くに池のある公園があるから、散歩でもしておいでよ」と
笑顔で提案してきた。

Fresh Airでも吸って気分転換したらいいわー 的なノリだった。

「いやいやいやいや!そんなことやってる場合じゃないし!
正直池とかほんとどうでもいいよ!
今行ったら公園の皆様の前で公開出産になっちまうだよ!

この痛みなんとかしてよ!痛いんだよ!」と顔と痛声で訴えたが、

サディズムの極みをいく担当ナースは
「じゃ、また時間たったら来るわー」と流石の放置プレイをかましてきた。

何もしてくれないことを悟った私は、狂ったかのように
病室で様々なポージングを試し、痛みを逃がす方法を模索した。
もうこうなったらウンチングポーズでも何でも試すしかない。
この時の私は痛みとの闘いで、何も失うものがなかった。

この痛みがあと20何時間続くの?誰がこんなの長時間耐えられるんだ・・
と思っているうちに、さらに痛みがひどくなる。
痛すぎて声を出さずにはいられない状況になった。
病室でお産が始まっているのか?と思われるくらいの
叫び声がフロア中に響きわたる。

夫は隣で一生懸命励ましてくれるが、正直この時は夫の言葉を聞いても
痛みが辛すぎて何も聞こえなかった。
ウンチングポーズも功をなさず、
ただの「う〇こしたそうな人」に仕上がっていた。

午後4時半頃、私の声を聴いたナース(午後シフトの新しい担当ナース)が
心配して駆けつけてくれた。声の大きさに何かおかしいと思ったのだろう、
すぐに状況を確認すべく視診してくれた。

「えっ??もう5センチも開いているじゃない!
すぐに助産師さんに連絡するわね!これからすぐに分娩室に向かって!」

と言われた。

その瞬間に明日か明後日以降、だったはずの出産が
突如今日に変更となったのだ。
もうこうなったらやるしかない。

そして、この時点で予定していた水中分娩のオプションは
プールなど用意する時間もないため自動的に消え去り、
普通分娩で出産する運びとなった。

さよなら、私の想像していた静かで神秘的な水中分娩出産。
ハロー、激痛と会陰裂傷、そしてシャインマスカット(通称いぼ痔)。

ここのナースはみんなSなのだろうか、
車椅子ではなく、歩いて分娩室に移動という
ブートキャンプなみのワークアウトをさせられた。
両腕を夫と担当ナースに抱えてもらいながら、
恐らく30秒もしない廊下の道をふらふらと歩いた。
意識が朦朧としていたのか、10分くらいに感じた。

分娩室に行く途中、例の注射失敗ナースAに遭遇した。
「えっ、あなた〇〇号室の子じゃない!あら、もう分娩室行くの?
さっき公園行かなくて良かったわねー、あははー」
と笑顔で過ぎ去っていく。無邪気ってこういうことを言うんだと思う。

子供の無邪気さは可愛いが、いい大人の無邪気さほど
罪なものはなかろう。

・・あはは!?あははじゃないよ!
あんたのせいで公開出産するところだったじゃん!

と心中はゲキオコプンプンマルだったが、
もう噛みつく余裕もなく、苦笑しながら手を振り、
分娩室に向かったのだった―

【NZで出産編②】へつづく。


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