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無人島に本を1冊持っていくとしたら

ものすごく悩む。それはもうめちゃくちゃに悩むだろう。

けれどほんとうは、この1冊しかないと知っている。

梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』だ。

この本との出会いは小学校4年生ぐらいだろうか。祖母がいくつか送ってくれた本の1冊だった。とても面白く、気が付くと あっという間に読み終えていたのを覚えている。

出会って以来、何度読み返しただろうか。

中学では、本作を題材に推薦文を書いたこともある。
そのときも数多くある本の内で、これしかないと思って選んだ。


「人はみんな幸せになるようにできているんですよ」

「その時々で決めたらどうですか。 自分が楽に生きられる場所を選んだからといって、 後ろめたく思う必要はありませんよ」

この本には、中学に入学してすぐ不登校になった少女・まいが1か月余りを 「西の魔女」 こと、 まいのおばあちゃんの元で過ごしたときの出来事が書かれている。 そこでまいはおばあちゃんから魔女修行を受けることになるのだが、この魔女修の肝心要とは「なんでも自分で決める」ということだった。

立ち止まり、自分の殻に閉じ籠ってしまっていたまいも、おばあちゃんの元で過ごすうちに、徐々に本来の自分を取り戻していく。それと同時に、おばあちゃんに見守られながら、一つ一つの ことを自分で考え、自分で決めるようになるのだ。


この「なんでも自分で決める」 ということは、決して簡単ではない。私たちが生きる現代社会で、 情報や周りに振り回されず、自分を見失わないようにすることはとても難しい。

私は困難に直面するたびにこの本を読んで、悩んだ時のまいの心情に共感したり、 おばあちゃんの言葉から行動する勇気と生きることの大切さを学ぶのだろう。

何かで悩んで答えを出せなくなった人、生きづらさを抱えている人に、 ぜび『西の魔女が死んだ』を読んで欲しい。 どんな状況の中でも、 自分の足で歩いていくヒントをくれる本である。

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