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宗教や信仰についての雑記 #213

◯循環する視点②

昔、テレビアニメの「サザエさん」を見て、これは螺旋のようだな、と思ったことがあります。
このアニメの登場人物は決して年をとらず、毎年毎年、季節ごとの行事やイベントにまつわる話が出てきます。それでいて時代を経るごとに変化する社会や技術の進歩も反映しています。
平面的に見れば円環のように見えるけれど、立体的に見れば螺旋を描いて変化しています。

前回書きました、宗教多元主義を元にした「循環する視点」も、これと同じように螺旋を描いているように思います。

それぞれの宗教は長い歴史のある基幹となる教えを持っています。でもその一方で周りの世界は常に動いて変化しています。
その歴史的・社会的な変化の中で、宗教もまたその影響を受けて新たな形へと変容していきます。
しかし、社会がグローバル化してその変化のスピードが速まってくると、宗教の変容がそれに追いつかなくなり、それらの教えが現状から乖離してゆきます。循環する視点はその遅れや乖離を補うものでもあります。
それにより宗教はより動的なものとなり、過去の教義や実践が新たな解釈や実践を生み出し、螺旋状に発展してゆくでしょう。

それは円環のようでありながら決して閉じられたものではなく、未来へ向けて開かれたものということでもあります。言い方を変えれば、伝統を守るがそれに縛られない、とも言えると思います。

ただ、そこでどこまで伝統を守るのかという点については、意見の一致を得るのは難しいでしょう。その点については、敢えてあまり突き詰めないという方策がいいのではないでしょうか。
全てのことを白か黒かで割り切るのは現実的ではありません。敢えて曖昧さを残しておくこと、その代わり、絶えず視点を循環させて留まらないこと、そういった姿勢が重要になってくるような気がします。

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