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いじめ体験から考えた就活とパンプスの話


「パンプスじゃなきゃダメ」と自分の体

この投稿で「何で自分が何も悪いことしてないのにfeel intimidatedしなきゃいけないんだ?」と疑問に思った話をした。

これって就活パンプス問題もそうなんじゃね?とちょっと思ったのだ。
というのも私はパンプスもフラットシューズも基本的に履けない足の形をしていて、どう頑張ってもつま先から出血してしまう。フラットシューズはストラップ付きなら履けるのだが「ストラップをつけた状態でつま先を靴から出せる」という不思議な状態になる程オーバーサイズで履かないと足の爪が紫になってしまう。要はつま先に大きな隙間が空くので不格好になってしまい、だからと言ってスーツにスニーカーを合わせているとどのみち「あの人靴変じゃない…?」という目で見られているのだと思っている。実はオーダーシューズもトライしたのだけど、そもそも足の形的に「甲が空いている靴を作るのは難しい」「ストラップだよりだと支えきれない(支えきれる太さのストラップをつけるとカジュアルになってしまう)のでオックスフォードでないと無理」とオーダーを断られてしまった。

個人的な感情としては「パンプスは好きなので履きたい!でも履けない!悲しい!」であって、「女性らしさの強要はやめろ!」という立場ではない。

体の都合って自分のせいじゃないのでは?という話である。
ならば何故人事とかの評価に怯えなきゃいけないんだ?ということに気づいてしまったのである。別にそれが全然平気になったとは言っていない。

しかも何より、それって相手に合わせて無理した結果すごく自分のためになるとは言い切れないと思う。

※ちなみに"健康被害"っていう考え方はこの話の中ではしない。「履けてたけど、履き続けた結果…」っていうのは労災寄り案件な感じもするので。

前提1:パンプスはドレスコード

そもそも職場や面接はビジネスフォーマルな場面であり、フォーマルウェアが求められている。フォーマルな靴とは女性はヒール5cm以上のパンプスを一般的に指す。3cmのパンプスは歩く人用に作られた折衷案的な物だったと記憶している。

そんな中でリクルートスーツとは、面接に来て行って無難な(文句をつけられない)服装を突き詰めていったら今の形になったものであり、同じ形で量産したら学生も安く買えて便利、という発想のもと作られたものである。その結果新卒はみんなリクルートスーツを着て、女子は黒パンプスを履くという現状がある。しかし本来は「これを着なきゃいけない」という制服ではない。リクルートスーツの存在理由が曲解されていると思う。

前提2:ドレスコードと実社会の乖離

会社で働くということは通勤、現場/本社などへの移動を伴う。つまり徒歩移動しなきゃいけない場面が必ずある。時代、あるいは地域によっては車やタクシーも多かったのかもしれない。あとは制服のある会社は会社で着替えていい所が多いんじゃないかと思う。

一方でフォーマルウェアは外での移動を前提としていない服装であり、雨天時や暑い中過ごすための服装でない。現在の労働環境にあった服装でないことが問題なのである。あるいは、職種が室内勤務で着用が求められていても、面接時は会場まで移動するのだから、その場面だけでも許容される方がいいはずだと思う。

「面接に何を履いていくか」と「職場での服装」

面接官である人事が「パンプスじゃなきゃだめ!」っていう認識の会社は、現場もそういう認識である可能性はある。しかし、そうすると「そこで何年も働けるか?」ということを考えなければならない。
そういう意味では「パンプス以外で行ったら落とされるんじゃ…」と不安に思う必要は全くないはずだ。何故なら就活はマッチングであり、学校受験の合否とは違うからだ。

尚、会社的にはOKなのに「あの子あんな靴で来て…」とか悪く言われる場合は悪く言う人や、そういう状況を看過してる人らが悪いのであって、自分は一切悪くない。
社内規定で「パンプス履けない子はお客さんの前に出せないな…接客させたいのに…」となっている場合も会社の問題である。要はいい人材と会社のイメージ、ないしクレーム避けのどちらを取るかの判断をしているのであって、これもまた自分は悪くないし責められない。

それってそこまでして入りたい会社なのか?そんなにいい職場なのか?そこに将来性/サステナビリティはあるか?ということを自分に問わなければならない。
何が我慢に値するかは自分が判断しなければならない。よくない習慣が改善されないのは、当事者も目を瞑ってきたからでもある。

ここで(私は元帰国子女だからよくそういう言い方をされるのだが)「日本人/うちの会社そういうとこあるよね~」という考え方をするのは間違っていると思う。自分がそのうちの一人であるという自覚を持って行動しないと意味がない。ステレオタイプを言い訳にしてはならない。「自分は気づいてるから」「みんなそうだから」と言って、自分の[悪い習慣の改善を阻害している]という罪を他人に被せないでほしい。

難しいのは希望職種で服装などが規定されているケース

受付やCA(キャビンアテンダント)の靴のヒールは3~5cmくらいかと想像する。CAは身長規定も関係あるかもしれない。そう言った職種でフォーマルな格好で来客を迎えたいのは全く変な話じゃない。

CAとメガネについて書くと、メガネ着用可としている航空会社の多くは、緊急時に視力を失わないための策として、最低視力を設けていることが多い。審美的問題と混同されがちだが実際はそうではなく安全の観点の方が大きい。ちなみに会社が最低視力の規定なしで着用を認めていても緊急時には危険であることに変わりはない。実際に緊急着陸時は乗客もメガネを外すよう求められることがある。飛散による怪我防止であり、安全姿勢をとる際にはシートポケットへ入れるように指示があることが一般的だ。JAL123便の墜落事故でも乗客はメガネを外すようアドバイスされていたと聞いた記憶がある。
Abemaか何かで福島瑞穂議員が「無条件でメガネ可の会社がある」と話していた記憶があるが、安全性をどのくらい担保するかは結局のところ航空会社が決める。「航空会社がOKしているから大丈夫」とは考えず、本当に信頼できるかは乗客が総合的に判断すべきだと思う。航空会社によっては収益>安全性という姿勢が時折見られて正直怖いと思っている。(アラスカ航空261便、ピーチ・アビエーション252便など)

話を戻すと、希望する仕事なのにパンプスが履けないからその道に進めないというのはとても悲しいことではある。

とはいえ、これは服装以外でも起こりうる話

世の中には視力や聴力など、身体能力によってできない仕事がある。警察官や自衛官などである。身体障害や病気によってできない仕事もある。失声症で音声通話は困難だし、私の場合はメニエール病と診断されていながらVR案件を担当したのはは健康に良くなかった気がする。
自分的には「足の形が平均から著しく乖離しているためパンプスが履けない」ので、「体の性質によって使える物が制限されている」ケースと同じ問題と認識している。
これに関しては悲しいながらも、現実を受け入れないといけない部分だと思う。誰かに自分のせいで発生するコスト(時には命)を負担しろとは言えないと考えている。
一方、補助器具などで代替できるなら、コスト的にそれぞれが許容できる範囲で積極的に取り入れると良いだろう。ちなみに私も病気はしているわけだが、個人的にはその補助が[誰かに"圧力"をかけたお金](〇〇を支持しないのは悪だ!という主張で得たお金)であってほしくはない。

どうすればいいのか?

面接前に履き替えるのは最もメジャーな方法でありながら、就職してからどうなるかがわからないので、最終的に不幸になる可能性はある。

私としては、応募時に企業に問い合わせるのが良いと思う。その時、職場ではどのような服装規定があるかも聞けると良いだろう。
そして面接時には履ける(歩ける)靴で行くこと。これで怒られるようなら事情を説明の上、ご理解いただけないなら早々に辞退する方が後々のためだと思う。

こう言ったテーマで「パンプスの強要をやめろ」と周囲を動かそうとするのは他力本願な感じが個人的にはするし、結局のところその”不合理な常識”に屈していることを意味する。そして何より効果が薄いのではないかと思う。「うちは気にしませんよ」と企業に言われたところで誰も信じず、「パンプスやめろ」運動が続く、そして「うちは気にしないよ」と企業がまた発信するというループが続くだけな気がしている。

みんなで履ける靴を履いて面接に赴いたほうが効果あるはずだ。間違ったことをしていると自分が思わない限り、被害者にはならないのではないか。就活生自身がパンプスを履かないという選択肢をとるということが、マッチング条件の提示になるのではないか。

そしてそもそもなのだが、実際に社会に出てみると「別に気にしないよ」という会社は結構多いと感じる。

つまりみんなが履くのをやめればそれが普通になる。そして普通にパンプスを履ける人、あるいは履きたい人はそのままで良い。

パンプスそのものが悪いのではないし、フォーマルシューズを求められる場面の存在が悪いわけでもないと思う。
要は自分で自分を"古い社会常識"で縛っていないか?"悪い"マナー講師の存在を嘆くのは理解できるけど、自分が行動を変えない理由を"社会"に転嫁してないか?ということを自分に問わなければならない。

社会を責める時、自分が社会を構成する1人であることを忘れてはならない。発言することも大事かもしれないが、行動はもっと大事である。
面接でパンプス履かなくていい社会を作るのは、パンプスを履けない自分たち自身。履くことをやめることでしか実現できない。私はそう思う。

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