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メンヘラ彼氏(診断済み)とメンヘラ彼女(無自覚)

私、リンジェ、人に好かれない性格だがしばらく彼氏がいたことがある。まだ私に診断がつく前の話である。


初めての恋人

私から告白したのだが、どこが好きだったのか思い返すとよくわからない。けど当時は彼のことを間違いなくかっこいいと思ってたし、気が合うと思っていた。一緒にいて楽な感じがした。一緒に行ったディズニーは本当に楽しかった。

遅刻魔の恋人

しかし問題があった。彼は遅刻魔だった。「頭が痛い」「具合が悪い」そう行って30分以上遅刻することはザラだった。付き合って2年経った頃、私はもう30分遅れで家を出るようになっていた。
しかしそれならまだいい方で、突然「今日は無理かも…」と言ってドタキャンすることも何度かあった。朝一で「今日は行けない」とはっきり教えてくれればいいのに、「調子悪い、遅れる」「今〇〇駅だから」と何度か送ってきて、人を待たせるだけ待たせて最後は「ごめん、今日は無理」と言ってくるのである。

仕事に呼び出されることもしばしばで、クリスマスは二人でケーキを食べていた最中に彼の携帯に会社から電話がかかってきた。「行かなきゃ」彼はそう言って、私たちは半分以上残ったケーキを喫茶店に残し店を後にした。

一度彼が私を友人たちに紹介したいからと言って、彼の趣味であるサバゲーについて行ったことがある。みんな古典的なコミュ障オタクであまり会話は弾まなかった。一番盛り上がったのは一人がジョークとしてIKEAで買ってきたサルミアッキを私が(ヨーロッパ出身で食べ慣れているので)美味しくいただいた瞬間くらいだった。

「なら私も」と当時一緒につるんでいた就労支援で知り合った仲間に彼を紹介しようとカジュアルディナーをアレンジした。しかし彼は上記の調子で「今から家出るから遅くなる」、次は「〇〇駅にいるんだけどトイレから出られない、具合悪い」、前菜も平らげメイディッシュが運ばれてくる頃「今日は無理、帰る」と連絡が来た。仲間の一人は「別の女がいるんじゃないか?」と訝しんでいた。

遅刻の本当の理由

付き合って年月が経つとお互いのことが色々わかってくる。

彼は酒飲みだった。「今年のクリスマスプレゼント希望ある?」と聞くと「去年もらったお酒が美味しかったからそれがいい」と。酒乱ではなかったと思う。暴力を振るわれたことはない。

更に話を聞くと、彼はエナジードリンクを飲みまくって仕事に行っていると言う。どこのはウマいとか、どこのはキかないとか、数々の商品の良し悪しをよく口にしていた。自宅に行くとゲーミングPCに繋がれたマルチディスプレイの横にエナジードリンクの空き缶が並んでいた。

そして彼に家族との話を聞いているときに発覚したのだが、鬱で彼はメンタクリニックに通っていた。投薬治療も受けていると話していた。

彼は向精神薬を服用しながら酒とエナジードリンクを乱用していたのである。

別れられない理由

私は私で心の拠り所が彼しかいなかった。交友関係が狭すぎたのである。そしてモテなさすぎるがために「彼と別れたら一生結婚できない」と思っていた。

もはや彼を好きとかではなく、依存していたのだ。そして彼もきっとそうだった。

これが共依存かと今更ながら思う。

結婚するのかしないのか

アラサーになった頃結婚の話が浮上した。

一緒に婚約指輪を見に言った。私はせめてこういう時くらいハイブランドのいい指輪が欲しかった。しかし彼は拒んだ。「怖くてハイブランドの店なんて入れない」と。不安障害の症状が出ていたのだ。

ゼクシィに仲介してもらって式場の下見も行った。どんな式がいいか話をすり合わせたが、彼はディズニーでの結婚式を夢見ていて、まるで乙女だった。一方私は呼べる友達がいないし勤めてもいないから呼べるような会社の人もいない、偽物の神父の前で誓いをするのも恥ずかしいし、こじんまりした式にしようと提案した。話は平行線だった。しまいには「お前に合わせてやってるのに」という雰囲気になった。

私は不動産会社に勤めていた過去もあって二人で住む物件を探した。「こんなところはどう?」と複数の案を送ったが返事は来なかった。

もはや結婚は現実的じゃない。ようやく気付いた。

決意

彼はある日私に「もう耐えられない。遅刻するたび責められるのもしんどいし、体目当てってわけじゃないけど、体の関係も持ってくれないのは男としては辛い。」という旨の長文メッセージで不満を漏らした。
確かに私は言い方がキツいから遅刻やドタキャンを責める時は怖かったのかもしれない。でも上記のような形で待ち合わせ場所で置き去りにされるのも私は私で辛かったのだ。大切にされていないんじゃないか、母も私を心配した。
私は体の関係を持ちたくなかったわけではないのだが、彼の性に対する知識の無さと、切りっぱなしで角張っていて汚れの溜まった爪を見て、もうその気が失せてしまっていたのだ。「私は私で思うところはあるんだ」と同じく長文メッセージを返した。

数ヶ月経っても彼から返事はなかった。もう別れたと思っていた。
そんな頃彼の実家からお中元が送られてきた。彼は親に私たちの関係の現在を話していなかったのだ。
菓子折りを送った。父の手紙と一緒に。すると彼の父親からも「今まで息子がお世話になりました。」と丁寧な返事が来た。

メンヘラがメンヘラの面倒を見ること

私は当時診断が下りていなかったにしても、精神障害はすでに患っていた。そんな私に完全にうつ病の彼を介抱することはできなかった。そもそも彼自身が担当医師には飲酒やカフェインの大量摂取について相談していたかはわからない。けど「薬なんて効かないんだ」と話していたことを思うとしていなかっただろうと想像する。そもそも医師が知っていたら止めるだろう。

そして私は気付いた。「自分が毎日死にたいと思っているからって彼の死にたいと思う気持ちをどうにかしてあげることはできない。」
頭痛がひどいと言われれば改善につながればと彼にテレビの頭痛特集の動画を送り、専門医に診てもらうようアドバイスするも無視され、「健康が心配だから」とお願いしたタバコも「子供が生まれたら」止めるつもりだと言われた。そして最も"共依存的"だと感じたのは、ドライブに出かけた時の

「大丈夫、この状況なら俺が死んでもリンジェは生きるから。」

私は彼がいなくなるなら自分が死んだほうがマシだと思った。

二人とも自分が死ぬことで頭がいっぱいなのだ。

そして相手を生かして自分がいなくなることを美化してしまうのだ。

怪我人に怪我人を助けることが難しいように、メンヘラはメンヘラを助けることはいよいよ困難なのだ。ましてや精神疾患の患者の多くは周りからアドバイスされたところで実行する元気などないのだ。

私たちはお互いを救うことなんて最初からできなかった。

そして一人になった私は今、薬に生かされている。

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