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90年代初頭の地元はマジ後進国だった話 -スーパーマーケット編-

たまには昔話をしようと思います。

私の地元はヨーロッパの中でも経済的にも豊かな国で「昔はマジで途上国だったよ」と話しても信じてもらえません。

私が幼い頃から見てきた「豊かな後進国」の実態を語りたいと思います。


不衛生な状態で放置された食品たち

私の地元では果物、野菜などの生鮮食品は全て量り売り。
なので、イチゴなどのパッケージに日本のようにラップはされておらず、青いプラスチックトレーに入っている。

そんなイチゴやラズベリー、下の部分はみんなカビていることが一般的だった。
日本なら店員が商品に不備があれば撤去したりするのだろうが、誰も動かさずそのままなのでカビがどんどん下のイチゴたちに移っていく。

とにかくモモなどの果物は人が指で押して熟度を確認した跡がついている。
ブドウはどれも何粒か食べられている。
下手するとかじったリンゴが放置されているのも見た。
味見をして不味くて買うに値しなかったから元の場所に戻したのだろう。

私が個人的に経験した中で一番ひどかったやつは賞味期限内、しかも未開封のはずのヨーグルト表面の大量の黒カビだ。

破損したパッケージたち

牛乳やジュースのパックも破れていることがよくある。
傾けるとこぼれてくるのだ。

買う前にはなるべく振ったり、逆さにしたりして破損がないことを確認する。

なぜこんなことになるのか

スーパーはなるべく仕入れ値を安く抑えたい。そこで安価な生鮮食品を輸入する。その代表格がポーランド産のイチゴだ。とにかく安いらしいのだ。

そしてEU統合以前は何より輸送に問題があり、越境に時間がかかるわ、温度管理がされておらず環境が悪いわ、商品の取り扱いがガサツで技術がなく不適切であることが多かった。

イチゴなどの潰れやすい商品でも山積みにされているので、圧迫され潰れたところから腐り、そのままカビていくのである。

客層も悪かった。
パッケージを開けて中身を確認した後そのまま放置したり、商品を落とすなどしてパッケージを破損しても、そのまま放置するのである。子供が棚から裸のパンを触って地べたに落ちたのをそのまま棚に戻したところも見たことがある。市場ではおばさんがモモを手に取り指で押した後「ダメね、柔らかすぎる」と一言言って陳列棚に戻していた。

話は少し逸れるが、一時期地元では「中国人観光客がスーパー内でパッケージを開けて中身を食べて会計する」と社会問題になったことがある。
しかし私の知る限り、現地人の彼らは90年代は全く同じことをしていた。
攻める資格なんて一切ないと思う。

その後の社会の変化

私の地元1999年あたりから通貨はユーロに切り替わり、物流も大きく変化した。よって輸入できる商品の選択肢が大幅に広がった。スペインやイタリアのような温暖な地域から質の良い果物が入るようになった。

越境に当たっても国境で止めるなどしなくなったため、輸送にも時間がかからなくなったと思われる。また時代とともに冷蔵の技術が上がって、生鮮食品を常温で長距離輸送しなくなったと考えられる。

市場では商品を自分で触らないように注意する看板も登場した。
モモに指を押し当てるおばさま対策だろう。
とは言っても市場の人たちは親切で「よかったら食べていってよ!」と言ってブドウやイチゴを味見させてくれる。
あくまでも「客が勝手にやるな」ということである。

こうして客の民度がとても長い時間をかけて上がってきたが、パッケージを開けるなどの習慣は基本的に変わっていなかった。

2000年代に入った日本で受けた衝撃

私は日本の漫画を読んで衝撃を受けたシーンがある。
商品を誤って破損した客が自分で商品を買い取っているシーンだ。

そうか。
日本人は自分の責任で破損したものは自分の責任で買い取るのか。
店に損害を与えたという認識を持って行動しているのか。
なかなか私には新鮮なワンシーンだった。

実際に私は一時帰国中に雑貨店でガラスの小物を落としてしまったことがある。
商品が木っ端微塵に割れてしまい、「あ!すみません!買い取ります!」と言おうとしたところ、店員さんが「そのままでいいですよ」と笑顔で片付けてくれたことがある。

そして以前、結構最近の話なのだが、初めて日本のスーパーでカビたオクラを1つだけ売り場で発見した。しかしそのオクラ、どうなっていたかと言えば、箱の横によけてあったのだ。他のオクラにカビが移らないようにという配慮だろう。本来なら店員さんに声をかけるべきなのだろうがみんな忙しそうだ。
せめてもの優しさとしてそのオクラ一袋をどかしたのだろう。

なんて客層がいいんだ。

おわりに

これが私の育った環境のほんの一部です。
この手の話はいくらでもあるので、また気が向いたら昔話をしようと思います。

これはまだ笑い話程度で済む話だということだけは覚えておいてください。

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