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未経験でインフラエンジニアを目指す具体的なプランを考えてみる

開発はちょっと適当なこといいたくないので。
インフラだけ、ね。
※本記事はSES企業を使ったキャリアプランを前提としています。


まずは私の自己紹介

・未経験からインフラエンジニアへ
大量採用系のSES企業に入社して監視業務に従事していました。入社して4年目から某SIerに常駐してネットワークの設計構築を担当しました。

・起業&フリーランスを経験
設計構築の経験を積んだ後に、弊社ケルンとは違う会社を友人と一緒に起業しました。経営しつつもエンジニアとして現場常駐する感じ。ここでの常駐先はISPでした。いろいろあって、会社を去ることになり、また正社員というのもなんだかなあと思ってフリーランスに転身しました。

・株式会社CAIRNを設立
フリーランス(個人事業)を法人化して誕生したのが弊社ケルンです。ケルンの初期には『未経験からインフラエンジニアを育成する』をコンセプトに未経験者を積極的に採用していました。
現在は構造に限界を感じ、『ITインフラに特化した高還元SES』として、基本は経験者を採用しつつも、良い人とタイミングが揃えば未経験者も採用するという形を取っております。

まあ、こんな経歴でして。
私自身も未経験からインフラエンジニアを目指し、経営の中でも未経験者採用や育成に携わってきましたので、今回の記事に一定の真実はあるかと思っています。

それではさっそく解説していきます。

STEP1:求人の応募前に資格を取る

資格を取ることのメリットは良い企業に受かりやすくなるということと、良い案件を優先的に回してもらいやすくなることです。もちろん知識も付きますが、未経験者というフェーズにおいては、チャンスを得るために資格を取得するという意味が大きいかと思います。

なぜ求人の応募前に取るのか

理由は2つあります。

・自身の適正を図る
エンジニアというのは専門職でありながら、次々と新しい技術が舞い込んでくるような世界です。ベテランエンジニアでさえも、日々の勉強が不可欠です。

そのため、技術の勉強が苦ではないかという視点で自分を試してみることが重要です。転職後に「向いてなかった」と引き返してしまうと経歴が汚れてしまうので、転職前に試すことをお勧めします。

・良い企業に受かりやすくする
若手エンジニアの周りには『エンジニアになりたい人をカモにするSES企業』が存在します。未経験からエンジニアを目指せるという広告を打ち出しておきながら、実際にはIT事務やコールセンター、酷い場合には家電量販店等に派遣されます。

こういった質の低い企業を避けて、エンジニアをきちんと育成する真っ当な企業に入社するために、資格を取ってアピール材料を増やすことが重要です。この辺り、下記の記事も参考にしてください。

Linux資格(LpicやLinuc)がオススメ

理由は3つあります。

・サーバの案件数の方が多い
就職後にインフラエンジニアとして働くわけですが、案件数としてはネットワーク分野の案件よりもサーバ分野の案件の方が多い印象です。

未経験者の場合は、スキルが足りないことから案件を選べるような段階にはないため、営業が用意した案件にそのままアサインされる可能性が高いです。サーバ案件の方が数が多いということは、最初の案件はサーバ関連になる可能性が高いということです。

事前にLinuxの学習を行っていることで、スムーズに実務に入れるはずです。

・資格の取得難易度が低い
例えばLpic101であれば毎日2~3時間ほど勉強をすれば1か月かからず取得できます。他の人気資格ではCCNAがありますが、CCNAは2か月程度は必要です。初めからボリュームのある資格にチャレンジすると挫折しやすいので、まずはひとつ成功体験を積むためにも難易度が低めのものからチャレンジすることをお勧めします。

・受験費が安い(2024年3月現在)
入社後の資格取得費用は、多くの場合は会社が支払ってくれます。しかし個人学習で取得するのであれば当然ですが費用も自己負担です。

CCNA:42,900円(税込み)
LPIC101:16,500円(税込み)

LPICはCCNAの2分の1以下の料金で受験できます。安いは正義!

時間とお金に余裕があるならCCNAもオススメ

Linux資格を取得するメリットの裏返しになりますが、あえて取得難易度の高いCCNAを取得することでエンジニアになりたいという熱量をより大きくアピールできます。

また、ネットワーク案件は数が少ないことからサーバよりもニッチな領域となります。あえて競争相手の少ない領域を狙っていくのもひとつの手です。

本項での主張としては『応募前に資格を取っておくといいよ』というものなので、Linux資格でもCCNAでもどちらでもOKです。コスパを重視するならLinux資格がオススメ、くらいのつもりでいていただけると。

逆に、ITパスポートや基本情報技術者はお勧めしません。ITパスポートは資格難易度が低すぎてあまり評価されません。基本情報技術者はITインフラ領域の資格ではないためあまり評価されません。

STEP2:求人の応募前に検証経験を得る

面接ではこんなことを聞かれます。

「この資格はどうやって勉強したんですか?」
「実際にコマンドを打った経験はありますか?」

質問の意図は『資格取得に興味があるのか、それとも技術に興味があるのか判断したい』ということです。

例えば、技術に興味がある(=エンジニア適正の高い)方であれば、教科書を使って学ぶうちに「実際に触ってみたい」という感情が湧くはずです。逆に、教科書を読んで練習問題を解いただけだと、いかにも受験勉強という感じがしますよね。

このような理由から検証経験を得ることで相手企業に対して『エンジニアとしての適性』を感じてもらいやすくなります。

検証はUdemyがオススメ

Udemyとは動画教材を扱っているWEBサイトです。動画教材を購入してPCで視聴することができます。LinuxをPCにインストールしてコマンドを入力してみる程度の検証動画もあります。
こういうのとか。

セール期間中だと数千円で買えたりするのでお勧めです。

検証については技術ブログも山ほどありますので、ネットで探してみるのも良いです。根気がある方であればブログを使えば無料です。不安な方は動画の方が取り組みやすいかと思います。

STEP3:就職活動を開始

さてさて、いよいよですね。

ここまでの工程で資格を取得し実際に検証まで行ったという経歴を持つことができました。立派なエンジニアの卵です。面接官の質問には簡単に答えられる程の技術的なナレッジが蓄積されているはずです。

問題は企業の選び方です。前述の通り、SES界隈は未経験者を食い物にするような質の低い企業も多く存在します。このような地雷を避けつつ、自分が成長できる企業を見定めなければなりません。

面接で聞いた方が良い質問

・どんな案件に配属される可能性が高いか
・先3~5年程度のキャリアプランはどのような想定か
・資格取得支援や研修はあるか

これらは企業のナレッジを測る質問です。これまでに未経験者をいちから育成してきた経験があるならば、具体的かつ詳細に答えてくれるはずです。
逆に「営業してみないことには分からない」や、「あなたの努力次第」のような曖昧な返答が返ってきた場合には、育てる気はない企業なので避けましょう。

面接で気を付けた方が良い質問

・商流は何次が多いか
・主要取引先はどんな会社か
・希望年収の〇〇万円は可能か
・教えてもらえる環境か
・残業、休日出勤、夜勤はあるか

前提として、未経験者である以上は待遇を選べるほどの自由度が無いことは理解しておくべきです。技術力を身に付けてから待遇向上の交渉や転職を考えましょう。まずは多くを望まず、本当に得たいものひとつを決めることが大事です。

これらの質問は企業側からするとプレッシャーに感じるものです。若手を育成するためにはお金も時間も必要で、企業は相当な覚悟を持って採用を決断します。そんな中で、待遇まで厳密に求められてしまうと、面接官に「なんか面倒臭い人だな」と思われてしまいます。

どうしても知っておきたい場合は事前に調査するか、ポジティブな聞き方をするとよいです。

・商流は何次が多いか
→決算情報・資本金・社員数・実績等をHP等から調査/予測する

・主要取引先はどんな会社か
→決算情報・資本金・社員数・実績等をHP等から調査/予測する

・希望年収の〇〇万円は可能か
→「こういうことが出来るようになると、年収はどのくらいですか?」というような『こちらが頑張ること』を前提とした質問の仕方をする。あるいは転職会議やオープンワーク等の口コミサイトを確認する。

・教えてもらえる環境か
→「ゆくゆくはマネジメントにもチャレンジしてみたいと考えていますが、御社はチームでの参画も実績がありますでしょうか。」というような『こちらが頑張ること』を前提とした質問の仕方をする。あるいは転職会議やオープンワーク等の口コミサイトを確認する。

・残業、休日出勤、夜勤はあるか
→「残業は月に○○時間程度であれば経験がありますが、これ以上発生することもありますでしょうか?」というような具体的な数字を出して確認する。あるいは転職会議やオープンワーク等の口コミサイトを確認する。

未経験からエンジニアを目指すこと、しかも真っ当な企業で初期から経験を積むことを考えるならば、多くを望まない姿勢でいた方が良いです。

地雷企業の見分け方

つづいて、地雷企業の見分け方を紹介します。

・未経験者を大量採用している企業は避ける
面接で「月に何名くらいの未経験者が入社されていますか。」と聞いてみてください。その時に『5人以上』だったら危険です。(この5人という数字、『完全に筆者の主観』なのであしからず。)

会社によって未経験者を受け入れられるキャパシティがあります。このキャパシティはリスク許容度であり、具体的には何ヶ月の待機に耐えられるかということ、あるいは何人までなら育成枠にアサインできるかということです。

会社規模が小さいのに月に何人もの未経験者をコンスタントに採用しているのであれば、育成キャパを越えている可能性があります。育成キャパを越えていると、ほとんどの場合、しわ寄せをエンジニアが受けることになります。非ITの現場にアサインされる等ですね。

育成キャパは当然のことながら会社の規模や財務状況、採用方針によって大きく違ってくるため、変数が多すぎて正確に割り出せません。なので超主観で5人としました!(異論は認めまする。すんません。)

・平均年齢や経験年数が若すぎる企業は避ける
企業のHPでエンジニアの平均年齢や経験年数の分布、担当フェーズの割合を確認しましょう。例えば、創業10年の企業で平均年齢が27歳だとしたら若すぎます。中堅レベルのエンジニアが社内で育っておらず辞めていっているということなので、中堅以降のエンジニアの満足度が低い可能性が高いです。社内のエンジニアの経験年数が1~2年の方がほとんどの場合でも同じことが言えるでしょう。また、会社として受注している案件の割合で運用フェーズが80%のように極端に高い場合は、上流フェーズに上がりづらい可能性が高まります。

当然例外もあります。若い企業であれば平均年齢が低くても「中堅が育っていない」とは判断が出来ないです。運用フェーズが中心であっても、運用の中で担当する業務が設計構築なのか保守監視なのかによっても違います。そのため、言葉尻だけで判断するのではなく、得た情報を元に何が言えるのか、どういう環境である可能性が高いのかを分析してみてください。そして、そこで湧いてきた疑問点を面接でぶつけましょう。

STEP4:1年目は技術よりも経歴を作ること

無事、良さげな会社に入社出来たとします。でもまだ安心はできません。まずは1年間の経歴を確実に作りましょう。
詳しくはこちらの記事を参考にして欲しいのですが、

1年目は自分の技術でもすぐに対応できてしまうような簡単な案件に配属される可能性が高いです。最初から設計構築のような上流フェーズに携われることもあるのですが、すごく稀なケースと考えておいた方が良いです。

そんな中で1年経たずに『勉強にならない』『環境が悪い』とすぐに案件を離脱してしまうと、それだけでキャリア形成において非常に不利な状況に陥ります。

以下はエンジニアのひとつの経歴年数に対して、人事や営業が抱くイメージをまとめたものです。お取引のある企業様にも意見を伺いましたため、大きくはズレていないかと思います。

▲ひとつの経歴年数に対して人事や営業が抱くイメージ

1年未満の経歴には、企業としてはどうしてもエンジニアの勤怠不良や早期退場のリスクを感じてしまうものです。

リスクが高いと認定されたエンジニアの不幸

・会社の中で優先順位が落ちる
良いポジション(=良い経験が積める案件)に配属される可能性は低いと考えられます。

良いポジションとは、良い経験が積める、チームで参画できる、残業が少ない、人間関係が良い、テレワークがある等、エンジニアにとって魅力的な要素が多い案件です。

このような案件は会社とエンジニアが大事に育ててきた案件です。リスクが高いエンジニアがアサインされることで、お客様からの信頼が揺らぐ可能性があり、それは即ち案件の消失を意味します。

そのため良いポジションには、会社が期待しているエンジニアが充てられることが多いです。

逆に、リスクが高いと認定されてしまったエンジニアは、消失しても損失が少ないような会社の中でも優先度の低い案件を充てられてしまう可能性が高いです。

このような案件は、学びが少ない、勤務地が遠い、残業や夜勤がある等、エンジニアに不人気な要素が多い案件です。

依怙贔屓(えこひいき)だろうと感じるかもしれませんが、会社が優秀な人材に良い機会を用意することは会社の成長にとって大事なことです。どのような会社でも普通に行われています。

・選べる案件の幅が狭くなっていく
SESエンジニアの案件選びは椅子取りゲームの構造に近く、ひとつの案件の席を複数企業・複数エンジニアが奪い合います。

つまり良い案件は競争率が高いということです。リスクが高いと認定されてしまったエンジニアはここでも競争に敗れてしまいます。

結果、競争率の低い案件しか選べない可能性が高くなります。

・負のループに陥る
引き合いを受ける案件数が減り、競争に敗れ、頼みの綱でもある社内で抱えている面談不要で参画できるような案件においても選ばれる優先順位が低いとなれば、条件の悪い案件に妥協して参画せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。

ですが、条件の悪い案件でエンジニアがモチベーションを保つことは難しいです。次第に不満が膨らんでいき『環境が悪い』と考えて転職することでしょう。

しかし、そもそも経歴書が汚れてしまっているため他社の人事からも避けられてしまうことになります。そして、ここでも競争に敗れ、条件の悪い企業への入社を余儀なくされます。

結果、転職を繰り返してしまいます。

早期退場するくらいなら1年続けた方がマシ、重要なのは案件を選択する際に道を間違えないコト

案件を早期退場すると事態が悪化する可能性が高いため、少なくとも1年間は継続して参画した方が良いです。

1年間続けることで『1年間真面目に働ける』という客観的事実がスキルシートに記載されます。逆に、1年未満の経歴が並んでしまうと、リスクの高い人材と捉えられてしまい、いかに技術力が高くても勝負の土俵にすら上がれない可能性が高まります。

これは案件に入ってから軌道修正を試みるのでは遅いという意味でもあります。参画する案件を選択する段階で、自身の要望を自社とすり合わせていくことが重要です。

STEP5:2~5年目は技術の柱を作ること

2年目を迎えることが出来ればひとまず安心です。貴方には『資格』『検証経験』『1年間の実務経験』があります。まともな企業であれば、2年目には技術にしっかりと携われるような案件に参画できるはずです。

ここでも、いきなり設計構築を望むのではなく1年ごとにひとつずつスキルが追加されれば御の字だというくらいの気持ちで、経歴を汚さないように気を付けながらじっくり働きましょう。

1年目はひとまずコマンド操作が出来るような案件であれば十分です。2年目は保守あたりが良いです。3年目に構築、4年目に設計、こんな感じでステップアップ出来ることが理想です。

このあたり、以下の記事でも解説しています。

広げるより深めることが大事

中堅エンジニアには技術領域を拡張することよりも、まず上流工程へ挑戦することをお勧めします。

上流工程は企業から投資対象として見られる年齢でないと、そもそも挑戦の機会が少ないためです。

上流工程を経験した後に、柱となる技術の周辺の技術を学ぶのが良いです。まずは柱を立てる、そして裾野を広げるということですね。

ひとつの基準としては要件定義や基本設計に携わること。このフェーズを担当できるようであれば、当該分野に関しては専門家と言えるでしょう。

STEP6:6年目以降は割と自由

6年目以降のよくあるパターンは以下でしょうか。

・より専門性を深めてテックリードを目指す
・技術の裾野を広げてインフラ全般を見られるようにする
・プロジェクトマネージャーやコンサルティングを目指す

5年も働くと、周囲のベテランエンジニアとも関わる機会が増えて、さらに自身の適正がスペシャリストなのかジェネラリストなのか見えてきます。

その過程において、自分の進みたい方向性は自ずと見えてくるでしょう。やりたいように突き進んでください。

まとめ

  • STEP1:求人の応募前に資格を取る

  • STEP2:求人の応募前に検証経験を得る

  • STEP3:就職活動を開始

  • STEP4:1年目は技術よりも経歴を作ること

  • STEP5:2~5年目は技術の柱を立てる

  • STEP6:6年目以降は割と自由

キャリアアップがスムーズにいくと5年程度で設計から担当出来るような一人前のエンジニアになれます。とはいえ最短レベルだと思います。長距離マラソンのつもりで焦らずにじっくりいきましょう。

ここまで読んで下さりありがとうございました!

最後に宣伝 /インフラエンジニア募集中★

筆者が代表を務める株式会社CAIRN(ケルン)はインフラエンジニアに特化した高還元SES企業です。

・ 契約単価に連動した報酬体系なので評価基準が明確です。
・ITインフラに強い営業網で豊富な案件からプロジェクトを選べます。
・ 独自の研修制が多数あり、学びなおしが出来ます。
・厚生労働省認定のホワイト企業です。

▲給与テーブルの抜粋
▲厚生労働省 安全衛生優良企業認定ホワイトマークを取得


インフラエンジニアにとって良い環境を整えています。
ご応募お待ちしております。
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