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About 『About Face』 : 本家本元のペルソナとプロダクトマネジメント

◆ 誰へ何のための記事か?
○ プロダクトマネージャーや企画職の方へ
○ ユーザーの課題定義の質で悩む方へ
○ 課題定義からデザインや実装への与件整理に飛躍を感じる方へ
→『About Face』のゴールダイレクテッドデザインの方法論が、企画・バックログ優先度付・ロードマップ策定に非常に役立つのでご紹介

○ 出版業界の方へ
『About Face 3』の復刊祈願
あわよくば『About Face 4』の翻訳出版を祈願


🗒 一言サマリ

PMやプロダクト企画職こそ『About Face』で提唱されている「ゴールダイレクテッドデザイン」の素養を身につけると役立つよ

  • ゴールダイレクテッドデザインは、(インタラクション・UX) デザイナーだけのものではなく、PMやプロダクト企画職を含め、解くべきユーザー課題について考える全ての人に役立つ考え方である

  • 調査とモデリングを通じ見出されたペルソナ・ゴール(目的)は、プロダクトが取り組む課題の優先度整理の上質な input になる

  • ペルソナ・ゴール・コンテキストシナリオは、課題・価値定義 ~ デザイン・実装への与件整理の間を滑らかに繋いでくれる

🎧 イントロ: 執筆のきっかけ

皆さんは『About Face インタラクションデザインの極意』という本をご存知ですか?

長くIT業界やデザイン業界にいらっしゃる先輩方からすると、読んでない最近の若いヤツは、、、と言われかねない古典的名著ですが、現在 note 執筆時点で日本語訳されている第3番は絶版であり、価格も高騰していることから、私は長年読まずにスルーし続けておりました。

ところが、転職先でユーザーの行動実態や課題を深く理解し仕様を作るプロダクトづくりプロセスに悪戦苦闘する中で、百戦錬磨の CXO・シニアPMの方々から、まずはこれを読みたまえと強く勧められ、書籍をお貸し頂けることになり読んでみたところ、

「なぜ今までこんな素晴らしい書籍を読まずに仕事をしていたんだ、、、」

と卒倒してしまいました。
日本語訳第3版は 2008 年が初版で、当時はスマートフォンも普及していない時代の書籍でありながら、モバイル全盛の現代におけるプロダクトづくりにも普遍に通ずる方法論が説かれていました。

自身がぶち当たっていた壁を乗り越える本として非常に有用であり、ユーザーリサーチ ~ 課題定義 ~ 仕様検討の一連のプロセスの質でお悩みの方には同じく役立つのでは?と思い、本 note では本書の概要と、それを実践する中での自分なりの補足や考えについて述べたいと思います。

🚨 第3版日本語訳ver のみ読了・第4版未読であり、最新版と内容の齟齬がありましたらご容赦ください。

📜 About Face: ゴールダイレクテッドデザインの指南書

そもそも 『About Face』 とは?

Microsoft 社で Visual BASIC を開発した Alan Cooper 氏が中心となり執筆された、1995年が初版の書籍で、氏が提唱するインタラクションデザインの手法「ゴールダイレクテッドデザイン」や、インタラクションデザインのベストプラクティスがまとめられたものです。

私が読んだ第3版はタウンページくらいの大きさ・厚さで、この書籍自体のインタラクションデザインはどうなんだ?と思わされるほどに重厚で持ち歩きにくく読破するのが非常に大変な書物ではあるのですが、内容は素晴らしかったです。

複雑なデジタルプロダクトの成功には様々な要素が複合的に絡み合うことが必要ですが、そのうち主にデザイナーが担保すべき「好ましさ」= 「人々が必要としているものは何か?」「ユーザーの利便性と顧客の採用(筆者注: 使いやすいものを作り顧客に選ばれることを指すと想定)」をいかに実現するか?が本書の扱っているスコープになります。

出典: 『About Face 3』pp.36 図1-3「成功するデジタル製品の制作方法」


章立ては3部構成となっており、

Part Ⅰ:ゴールダイレクテッドデザインを学ぶ
Part Ⅱ:振る舞いと形態のデザイン
Part Ⅲ:インタラクションのディティールのデザイン

プロダクトマネージャーや企画職としてはPart Ⅰ を、デザインや細かい挙動仕様の策定やレビューに携わる際は Part Ⅱ までを読むと学びがあると思います。
※ Part Ⅲ も面白いのですが、第3版時点ではPCにおけるインタラクションデザインのベストプラクティス・Tips 集(ファイルとセーブ / ウィンドウ / ツールバーの振る舞い etc..)の色合いが濃く、インタラクションにおける普遍的な学びも溢れているものの、現代の主戦場であるモバイルアプリやスマホウェブサイトなどの企画やデザインには活かしにくい記述も多いので、気になる方だけ読むのでも良いかなと思います。

ゴールダイレクテッドデザインとは?

本書の主題である「ゴールダイレクテッドデザイン」とは、一言で言えば下記になります。

人間中心設計の観点から製品・サービスを使う人々のゴール(目的)に焦点を当て、それが達成できるデザインを行うことを指向する(インタラクションデザインの手法)。

出典: ITmedia エンタープライズ:ゴールダイレクテッドデザイン

Alan Cooper 氏本人の言葉にもある通り、本書が出版される前まではエンジニアなどによって業務の片手間に考えられがちで、タスク志向になりがちであった体験や仕様の検討プロセスにおいて、ユーザーのゴールに焦点を当てて一連のデザインを行うことが、ユーザーの利便性を高め選ばれるプロダクトになる上で重要であるというのが「ゴールダイレクテッドデザイン」の着眼点でした。

その頃までには、「ゴールディレクション」というアイデアをはっきり描いていました。たくさんのツールを考案していたのですが、タスクではなくゴールに焦点を当てるというアイデアもその中の1つでした。しかし、タスクとは機能であり、機能とはコードの集合ですから、プログラマーであればタスクに注目するものなのです。

出典: DESIGN IT! : UX Pioneers:アラン・クーパー氏インタビュー

ここでいうゴールとは何なのでしょうか?
本書内の言葉を借用しつつまとめると、「ある行動や作業をする際にユーザーが実質的に目指す最終的な状態」というのが近い表現かと思います。

本書内ではその具体例が下記のように語られています。

たとえば、セントルイスからサンフランシスコまで旅行する人のゴールは、おそらく高速で快適で安全な旅をすることだ。

出典: 『About Face 3』pp.40

この際に重要なのは、ユーザーのゴール・行動・作業を区別し、その階層構造を理解することです。

人々のある行動は、あくまで今あるテクノロジーや外部環境に依存して、あるゴールを満たそうとしている際に現れている事象であり、他方でゴールはある状況下においてあるタイプのユーザーが普遍的にそうなりたいと望む状態であると言えます。

ゴールは、行動や作業と同じものではない。ゴールは最終的な状態の予測だが、行動や作業は人が一連のゴールに達するのを助ける中間ステップ(企業内の様々なレベルにおける)である。

出典: 『About Face 3』pp.39

ゴールは人間のモチベーションによって左右されるものなので、変化するとしても非常に時間がかかる。行動とか作業は、手元にあるテクノロジを基礎としているので、ゴールと比べてずっと短い周期で変わる。

出典: 『About Face 3』pp.40

例えばブログ執筆を例にとると、誰かの役に立つ情報を発信して役に立ちたいというのは、ある種のユーザーにとって時代を超えて普遍的なゴールかなと思います。
そのゴールを満たすための具体行動として、どんな手段で構想・骨子を練るか?(昔は紙とペンで、現在の自分の場合は Notion で)、どんな手段で執筆し公表するか?(昔は書籍、少し前は個人ブログサイトで、現在の自分は note で)などが一連の行動事象として現れていると整理できます。

筆者自作:ゴール・行動・作業の階層構造

ジョブ理論を読んだことがある方がいらっしゃったら、ある特定のコンテキスト・状況における「プログレス/進歩」と近しい概念かなと感じました。ジョブ理論における「進歩」は、ある特定の状況下において成し遂げたいことであり、機能的・社会的・感情的側面を含むとされているので、ゴールダイレクテッドデザインにおけるゴールもこのような様々な側面が加味され最終的に目指したい状態であると言えそうです。

また個々の行動における課題や痛みを取り除くことを主眼に置いたデザインプロセスを「課題ダイレクテッドデザイン」と名付け、ゴールダイレクテッドデザインをそれと対比させて捉えている例もありました。
各状況の各行動における具体的な課題の解決に対症療法的に取り組むのか、ユーザーがなぜその行動をしているのか?の根源的なゴールに基づいてそれを満たす方法を考えるのかというアプローチの違いとも解釈できそうです。

出典: 結局のところ、UI/UXって何ですか?vol.3 ROLLCAKE社のCXO、伊野亘輝さんに聞いてみた 

まとめると、ゴールダイレクテッドデザインとは、あるユーザータイプのある状況下におけるゴールを探り、ユーザーがゴールを成し遂げられるような最も楽で実現可能な方法を再構築するデザインプロセスと言えるでしょう。

具体のプロセス

ゴールダイレクテッドデザインの具体のプロセスについては、既に幾つか解説記事があったのでそちらを引用し、概略を述べるに留めます。
実務観点での注意事項としては、ウォーターフォール的に進むようなものではなく、最初の図にあるように反復的なプロセスとして進むことでしょうか。

出典:UX TIMES 目標主導型設計「目標主導型設計におけるプロセス」
beBit『ペルソナ、本来の使い方 ~よくある誤解を解きほぐし、UX向上に活かす』

 手法・ツールとしてはフィールドワークやインタビューなどの調査技法、ペルソナ概念、シナリオベースデザインにインタラクションデザインの原則とパターンなどを用いる。「調査」「モデリング」「要件確定」「フレームワークの設定」「精緻化」「開発支援」の6段階のプロセスが定められており、デザイナー(インタラクションデザイナー、工業デザイナーなど)は調査段階から参加してユーザー視点で要件を確定し、これをデザインに落とし込む。

 「調査」ではフィールドワーク技法(行動観察、インタビュー)を使って製品・サービスのユーザーに関する質的データを取得する。ここでは競合製品・技術・市場・ブランドに関する調査、ステークホルダー(ユーザーや技術者など)とのインタビューなどを実施する。ユーザーの観察とインタビューは「振る舞いパターン」をもたらし、ここからユーザーのゴールやモチベーションに関するヒントを得る。

「モデリング」では、調査結果を受けてドメインやユーザーのモデルを構築する。ドメインモデルは情報フローやワークフローなどを含み、ユーザーモデル(ペルソナ)はユーザーグループを代表する架空の人物モデルである。

 「要件確定」はシナリオベース・デザイン(ペルソナ/シナリオ法)を通じて、モデリングで作成した各種モデルを後述のデザインフレームワークを結び付けていく。ペルソナを登場人物とする物語=コンテキストシナリオを作成して、これを繰り返し改良することで分析を行う。この段階の出力が要件仕様となる。

 「フレームワークの設定」では前工程で作成したコンテキストシナリオ、およびインタラクションデザイン原則、インタラクションデザインパターンを駆使して、インタラクションフレームワークを構築する。これは論理的・大局的なデザイン構造となるもので、製品・サービスの全体的なコンセプトを示す。ここにキーパスシナリオ、チェックシナリオを適用して、具体的なインタラクションをデザインしていく。

 「精緻化」は前工程に続く形で、シナリオをさらに限定的に反復的検討して、ビジュアルデザインや表現、エクスペリエンスなどの細部を組み立てていく。

 最後の「開発支援」は、実装・構築を担当する開発チームなどを支援する工程として設置されているもので、技術的・スケジュール的な制約があっても製品・サービスの意味的・概念的な完成度を低下させないことが目的となる。

出典: ゴールダイレクテッドデザイン:情報マネジメント用語辞典

この一連のプロセスの中でプロダクトマネージャーの観点から非常に参考になったのが、調査~モデリング~要件定義のプロセスです。
「ペルソナ」というツールを用いて、あるユーザー(アーキタイプ) におけるゴールや行動パターンを整理し、デザインや仕様の与件を整理していくプロセスなのですが、原著を読むと一般的な用語のイメージと異なる代物だったので、まずはその認識を揃えたいと思います。

とかく誤解されがちなペルソナ

「ペルソナ」と聞くとどのようなものを思い浮かべるでしょうか?
例えば、Google で「ペルソナ 例」と検索すると上位に下記のようなものが出てきます。

ペルソナとは、一言でいえば「理想の顧客像」です。
これは実在する人間に限りなく近い架空の存在であり、ターゲットとなる顧客の特徴を詳細にまとめたキャラクターのようなものです。

出典:『ペルソナの作り方を解説!ターゲットを絞ったマーケティングを行うために
出典:『ペルソナの作り方を解説!ターゲットを絞ったマーケティングを行うために

皆さんもこのようなものを思い浮かべたのではないでしょうか?
参照先記事でもそうなのですが、ペルソナは主にマーケティングの文脈で顧客像を明確化しプロファイルしたようなものを指す言葉として人口に膾炙しているかと思います。

ところが、『About Face』を読み進めると、ゴールダイレクテッドデザインのツールとして使われている本家本元のペルソナは似ても似つかぬものであることがわかります。

ペルソナは、民族誌学的インタビューで出会った多くの実ユーザーから集められた振る舞いデータから作られた複合アーキタイプである。調査段階で観察した振る舞いパターンをもとに、モデリング段階で形成したものがペルソナだ。
(中略)
物理学者が観察から得たデータとデータに見られるパターンの直観的な合成により原子モデルを作り出したのと同じように、デザイナは観察から得た行動パターンとその直観的な合成によりユーザーのモデルを作らなければならない。

出典: 『About Face 3』pp.95 「Chapter 5 ユーザーのモデリング:ペルソナとゴール」

被験者から観察された行動にコンテキストを与えるのがペルソナだとすると、ゴールはその行動の原動力である。ゴールのないペルソナは、コミュニケーションツールとしては役立つかもしれないが、デザインツールとしては使い物にならない。

出典: 『About Face 3』pp.107 「Chapter 5 ユーザーのモデリング:ペルソナとゴール」

ポイントは、定性調査のファクトベースで得られた振る舞い・行動パターンをもとに作られた「モデル」「アーキタイプ」であり、ある状況に置かれた際の「ゴール「行動パターン」が明確化されたものだということです。
さながら社会科学における世の中の実際の事象をモデリングして定式化していく営みに近く、ある状況を与えたらどのようなゴールのもとでどのような行動をするのか?をシミュレートできるようなモデルになっていなければならないということです。

筆者作成:「ペルソナ」のパターン

ペルソナ作成をする際に重要な観点が、調査を行って実際の行動パターンをつぶさに開いて見聞きしてみないと、どのような条件軸でペルソナ = ユーザーアーキタイプのモデルが整理できるのかは事前には皆目わからないということです。

マーケティング文脈などにおけるペルソナであれば、手元にあるデータや調査前でも想定できるデモグラフィックな分類軸、あるいはマーケティングの際のターゲティングで実際に使える軸ベースでユーザーを分類し使えるペルソナを作るなどができるかもしれないのですが、インタラクションデザインでの利用に耐えるような行動パターンによる分類というのは、よほど事前に良質な質的観察データが溜まっていたりしないと調査前の段階で正しく見出すことが難しいというのが所感です。

例えば、全く同じ年代・性別・勤め先・年収の人であったとしても、住宅ローンを契約する際のゴールや行動パターンは全く異なります。
下記参照記事内で述べられているよう、一旦完全に仮説でペルソナを分類してみた上で、
・実際の行動パターンはどうなっているか?
・行動パターンが似ているユーザー群を分けられそうか?
・そのユーザー群を分岐させる前提条件軸は何か?
を探っていき、改めて調査をベースにペルソナを作り上げていくというのが実際の動き方になるでしょう。
下記参照記事の例では、調査を通じたモデリングによりペルソナを修正しており、修正後のターゲット分類における3つのペルソナは、新規住宅ローンを探す際に全く異なるゴールと行動パターンが得られていることが推察されます。

出典:進化するユーザビリティテスト〜「ユーザー行動観察調査」の効果・効能 / 「ユーザー中心のウェブサイト戦略」pp.234 より抜粋

以上、ゴールダイレクテッドデザインの文脈におけるペルソナについて整理しました。

ゴールダイレクテッドデザイン文脈でのペルソナの具体作成プロセスについては、下記の beBit さんの記事が非常に詳しかったのでこちらも是非ご参照ください。


余談:なぜペルソナは本家本元とは異なる意味合いで普及したのか?

個人的に「ある語がどんな意味合いを持つか?」は、その語が人々の営みの中で実際どのように使われているかで自ずと決まりゆくという説に同意しているので、ゴールダイレクテッドデザインにおけるペルソナも、マーケティング界隈で使われているペルソナも、いずれも多くの人に使われている以上は意味合いとして正しいと思っているのですが、なぜこのような意味合いの違いが出るに至ったのか?は素朴に気になり調べてみました。

結論、後続のある書籍によってゴールダイレクテッドデザイン領域からマーケティング領域に用語が輸入され、次第に当初のコンテキストが失われて要件がぶれていったという歴史的経緯になっていそうでした。
もっというと、ゴールダイレクテッドデザインのツールとして使われる前は、心理学における概念、さらにもっと前に遡ると古典劇の仮面が起源のようなので、「ペルソナ」の示す意味合いは時と共に少しずつ広がっていったようですね。

(筆者注釈:ペルソナとは)
1999年、『コンピュータは、むずかしすぎて使えない!』の中で、アラン・クーパーによりソフトウェアの開発手法としてまとめられた理論だが、Microsoftのユーザー・リサーチ・マネージャーだったジョン・S.プルーイットによる『ペルソナ戦略――マーケティング、製品開発、デザインを顧客志向にする』が刊行されたのをきっかけにマーケティング手法として注目が集まり、マイクロソフト、アマゾン、フェデックス、フォードなどの大企業に活用が広まった。
「ペルソナ」という言葉は、元来古典劇において役者が用いた「仮面」のことだが、心理学者のユングが「人間の外的側面」の概念をペルソナと呼んだことから、マーケティングにおいては、「企業が提供する製品・サービスにとって、もっとも重要で象徴的なユーザーモデル」の意味で使われている。

出典:UX KANSAI #5 エクストリームユーザーとしてのオッサン。 – 職人進化論。

👨‍👩‍👧‍👦 ペルソナ・ゴールとプロダクトマネジメント

ここまで『About Face』やそこで語られている「ゴールダイレクテッドデザイン」「ペルソナ」について、原著や参考記事を交え紹介してきました。
上記の内容を踏まえ、最後にこの思考フレームがプロダクトマネジメント観点でどう活かせるか?について簡単にまとめてみたいと思います。

プロダクトが取り組む課題優先度検討の良質な input に

今回ゴールダイレクテッドデザインについて学び、この半年ほど自身の実務の中で取り入れ実践してみながらの学びとして、取り組む課題の優先度について検討する際の解像度が非常に上がりました。

個人的な見解として、プロダクトマネジメントは突き詰めるとプロダクトビジョンをより早くよりよく実現する上で、開発リソースを誰の何の課題解決から優先的に割り当てるか?という営みだと考えているのですが、その解像度がグッと上がり、

  • どのペルソナ(行動ベースのユーザーアーキタイプ)?

  • そのペルソナのどんなゴールをよりうまく満たしたい?

  • どこの行動・作業を従来のものから変えようとしている?

の優先度付を実質的にしているのだと整理が進みました。

筆者作成:どのペルソナのどんなゴールのどんな行動における課題解決がターゲットか?

従来との差分でいくと、あるテーマにおける課題解決の「誰に」の部分を、単にデモグラフィックや既知情報による分類でなく、インタビュー調査をベースに行動パターンが分岐するようなペルソナの一覧として全体像を捉えた上で、どのペルソナをターゲットにしたいのかを言語化できるようになったことで、「誰に」の優先度付がしやすくなりました。

また課題の優先度付をする際に、個別で顕在化している具体の各行動における課題に対して重み付けをするだけでなく、その行動をしているそもそもの背景意図・ゴールの連なりを炙り出した上で、どのゴールを満たすところから取り組むのか?のゴールレベルでの優先度付ができるようになりました。これはプロダクトロードマップ策定や大規模な機能開発の登り方・フェイズ区切りをする上で非常に役立っています。

🙏 おわりに: 復刻祈願

繰り返しゴールダイレクテッドデザインの内容や思考について参照できる記事にしたいと思い、長文を書き連ねてしまいました、、、最後まで読んでくださった奇特なお方々、お付き合いありがとうございました🙏

見返すほどに違った学びが得られる非常に優れた実務書だと思うので、現在日本語訳版が絶版となっているのが本当に口惜しいです。
日本のインタラクションデザインやプロダクトデザインの発展の為にも、切に復刻を願います、、、!🔥

またユーザーの行動実態把握や課題定義について皆さんがどのように取り組まれているか非常に気になっていますので、皆さんの Tips やこだわりについても是非教えてください!

Twitter: @jouykw
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