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第8話 傷ついたバッファローたちとの遭遇

あくる朝、スカシとシノブとクレタが朝食を済ませると、スカシは山に
芝刈りに、シノブは川に洗濯に・・・それはちゃう(笑)

話を戻して・・・スカシとクレタは、シノブの両親が訪れた時のためにと、屋外に接客用の椅子とテーブル、それに立ちかまどを作り始めた。
 シノブは修行と学習を主目的に島に来ていたので、薬草や生薬の知識と
経験を深めるべく、川辺に薬草採りに出かけた。

スカシの立ちかまど造りにはチームワークは必要なため、サルモノクレタは仲間のサルたちを呼んで、スカシをサポートした。材料は倉庫に保管してあった木材と木材通しを結ぶための麻ひもを使用した。
(参考 http://bshamamatsu30.com/?p=151

サルたちの協力のおかげで、接客用の椅子とテーブと立ちかまどが
完成した。スカシは感謝をこめてクレタとサルの仲間たちに、
塩味を利かせた『ミックチュベジタブリュウ』をごちそうした。
 そこに、薬草採りを終えたシノブが戻ってきた。

スカシ
 「シノブさん、おかえりなさーい。 ずいぶん、たくさん採って
 きたんだね。」

シノブ
 「ただいま~。 うん、ちょっと多かったかな? ってか、
 スカシさん、すごい! 立ちかまどまで造っちゃうなんて。」

スカシ
 「テヘ(照れ笑い)。 クレタたちのおかげだよ。 ありがとう。
 シノブさんもお腹がすいたでしょう。 ランチにしようか?」

スカシは早速、かまどに火を点けて雑穀米ご飯とハーブ茶用のお湯を
沸かし始めた。こうして、やわらかな風と越冬ツバメたちのコーラス、
草花の匂いを感じながら、のどかなお昼のひと時を過ごしていた。

ポカポカ陽気と満腹感でうとうとしかかった時だった。何やら、鳥たちが
騒がしくなり、アリンコチエが何かが近づいてくるのを伝えていた。
その突然の訪問者は傷を負ったバッファロー夫婦だった。

スカシはバッファローたちの様子に氣づくと、急いで草を敷いて、そこに
横になるようにバッファローたちに促した。すると、バッファローたちは
念話でスカシに話しかけてきた。

オスのバッファロー
 「あんたがスカシさんか、急にすまない。 実はかあちゃんと
 川で水浴びに夢中になっていたら群れとはぐれちまって。 
 すぐ群れのあとを追ったんだが、迷っている内に冬眠準備を
 している熊の縄張りに入り込んだらしい。 命は助かったが
 熊の怒りに触れてこんなことに。
  んで、ここに来れば何とかなるんじゃないかと、風の便りに
 たどり着いたというわけで・・・。」

メスのバッファロー
 「スカシさん、シノブさん、ごめんなさいね。」

スカシ
 「氣にしないで。 傷が癒えるまでここで休んだらいい。 
 ちょっと横になって、傷口を見せて。」

バッファローの突然の訪問に警戒していたシノブだったが、スカシの様子を見ている内に、「助けなきゃ」という思いが強くなっていた。

シノブ
 「スカシさん、彼らを安心させてあげて。 あたいは里に伝わる
 秘伝の薬をさっき採ってきた薬草で作るから。」

スカシ
 「シノブさん、助かるよ。 ありがとう。 バッファローたちには
 安心するように、そして治るから大丈夫だよって伝えるね。」

シノブは、ケイヒ・シャクヤク・ダイオウ・ジオウ・ソウハクヒ・
トウキ・カンボウイの7種類の生薬にゴマ油を混ぜ合わせて
“金創膏(きんそうこう)”を作った。

    *金創膏(きんそうこう)
     ケイヒ・シャクヤク・ダイオウ・ジオウ・ソウハクヒ・
     トウキ・カンボウイの7種類の生薬にゴマ油を混ぜ合わせて
     作ったもの。(https://bs.tbs.co.jp/alpha/archive/30.html

シノブ
 「バッファローさん、これから傷口に“金創膏(きんそうこう)”を
 塗っていくわね。 ちょっと染みるかもしれないけど、我慢してね。」

スカシも念話でバッファローたちに伝えた。

スカシ
 「シノブさん、すごいね。 薬剤師さんみたい。」

シノブ
 「昔から忍者は自分たちで傷の手当てもしてきたし、戦で負傷した
 兵士たちの治療をすることもあったらしいの。 衛生兵とかって
 聞いたことあるでしょ? 
  そういうこともしてきたから薬草や生薬の知識や経験も
 豊富らしいの。 最近では西洋医学に押されて廃れてきちゃって
 いるけど、あたいらは、昔ながらの治療法とか薬草や生薬といった
 自然治癒が見直される時が来るんじゃないかっていうのがあって、
 ずっと学び続けてきたの。」

スカシ
 「シノブさん、その考え方って素晴らしいと思う。 俺も
 大賛成だよ。 俺も薬の知識が知りたいなぁ~。」

シノブ
 「スカシさんもいろんなもの造れてすごいと思うわ。 今度は
 あたいも一緒に造りたい。 薬の知識や造り方も教えてあげるから、
 あたいにも、木や土や石を使った道具や建材や家屋の造り方も
 教えて~。」

仲の良い二人を、クレタとサルの仲間たち、それにバッファローたちがほのぼのした感じで見ていた。それに氣づいたスカシとシノブは顔を赤くした。

    テレレレッテレー♪
  スカシの無人島クエストに、バッファロー夫婦が加わった。
  新しい仲間に名前をつけましょう。

スカシはバッファローのオスに「アタシノジョー」、
メスに「ウシケンヨウコ」と名付けた。

そして、アタシノジョーとウシケンヨウコが安心して、傷の治療に専念して静養できるようにと、スカシとシノブ、それにサルモノクレタと仲間のサル達も協力して小屋を建てた。
 そして、お腹が空いたら食べてもらうようにと、塩味を利かせた『ミックチュベジタブリュウ』をお皿に盛りつけ、ため池で汲んだ飲み水用の桶も
置いておいた。

そして夕食時を迎えた時、スカシとシノブはクレタと仲間のサル達も
囲炉裏のある部屋に案内して、一緒に夕飯を楽しんだのだった。

スカシ
 「明日の朝、アタシノジョーとウシケンヨウコの様子を見てみよう。 
 それと、麹の出来栄えも確かめないとね。」

シノブ
 「そうね。 傷口の様子を見て、薬も調合してみるわ。 でも、
 まさか、実際に薬草の知識が役立つ時が来ようとは思ってもみな
 かったわ。 麹もちゃんとできてるといいわね。 なんだか、
 毎日が変化に富んでいて、今までの島での暮らしが嘘みたいに
 楽しいわ。」

こうして、シノブが島に来てから2日目の夜が更けていった。

  この物語はフィクションであり、作者である私の妄想から
  産まれた空想物語です。したがって、登場する人物や名称などは
  実在のものとは異なりますので、ご注意願います。


        つづく

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