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こんな旅を希望する。


 まだ太陽が本気を出す前の、朝の柔らかい光の中で、10分とか15分くらいのんびり石畳の上を歩いて、一人二人誰かとすれ違うくらいして見えてくる小さいお店で。たぶんヨーロッパかな、コッツウォルズとか。穏やかな雰囲気の町の。

かっこいいとかじゃなくて、経験がたくさん詰まった人が、誰に急かされる訳でもなく時間をかけて淹れたコーヒーが飲みたい。

その町に慣れた3日目くらいの朝で、今日はどこを歩いてみようか考えながら、地図とか本を眺めて、分からない言葉を調べて。3分の1くらい飲んで今日の目的が決まる。

せっかくの旅行だから、お洒落にカッコつけてみたくて、そのお店の中と、窓とか扉から見える外の景色を眺める。余裕があるフリをする。ドキドキしてるくせに。でもひと口飲んでホッとして。将来はこんな綺麗な場所に住んでみたいって、大きな犬も1匹飼おうかなとか考えてみたり。

あと少しで飲み終わるって時に年配の夫婦が朝ごはん食べに来て、少し離れた席に座って、ニコって微笑んでくる。たぶんその瞬間に、やっぱ老後はここに住むべきだなって思って。最後のひと口。ソーサーの装飾が繊細で綺麗。

お会計をして、お店を出る時にもう一回、その夫婦と笑い合って、良い日をねって声もかけ合う。

来た時と同じ道を歩くけど、20分くらいかかって、すれ違う人も増えて。犬の散歩をしてる人ともすれ違って、やっぱ大型犬。

あの店、ディナーもやってるかなって調べて、夜はたぶんバーになってる。さっき決めた教会を観て、綺麗な写真を何枚か撮って、公園を散策したらまた行くと思う。


#私のコーヒー時間

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