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清川名店街をゆく(福岡)

博多駅の近くにある清川交差点あたり。ここにかつて清川名店街というビルがあったことを知っている人は、どれくらいいるだろうか。いまの清川商店街じゃないよ。PCからサルベージされた過去の映像群をどうぞ。


たぶん15年くらい前だったと思う。この名店街をどうしても見たくて、飛行機で東京-福岡の1泊2日の小旅行。若気の至りとはいえ、親御さんの立場からするとちょっと心配になる行動力です。


福岡放送の角を曲がってすぐ、ひときわ時間の流れが緩やかな区画があった。清川名店街。心が伝わるお買い物、と書いてあります。


アーケードにたどり着くと、一部の店舗(八百屋など)は威勢のいい掛け声を出しているんだけれど、他はほとんどシャッター街と化していました。とりあえず、案内板を探してみる。


屋上が駐車場なんだね。地下が飲食、地上が名店街……か。まずは名店街を探索してみよう。


探索を開始したのはいいんだけれど、入り口が見つからない。八百屋の隣は行き止まりだし、他は全部シャッター。嫌な予感がする。回り込んでみると工事用の覆いの向こうにビルの背中が……。色といい、質感といい、やはり申し分のない物件です。一級品です。右奥にはビル併設のアパート(マンション?)まである。いわゆる中野ブロードウェイ方式。何とか潜入口を確保したい、その一心でさらに回り込むと地下への入り口を発見した――


うわぁ、やっちまった! 一足遅かった。本日は閉店。この場合、もう明日は来ないと考えたほうがいいです。しかし、えー、マジか。遠路はるばるきたのに、いきなり詰みとかあんまりだろ。


わきには併設アパートの郵便受けがあった。同潤会アパートにあるような年代物で、もう二度と使われることはないんだろうな。


このままでは引き下がれない、なんとかルートはないか、と八百屋の裏にある暗い階段を突破し2Fへ。しかし、そこには案内板はあったものの、ゴミの山で埋め尽くされていました。


2Fの名店街も完全閉鎖。もはやアンタッチャブルな状態。真っ暗なうえにグチャグチャです。いつごろ廃墟と化したんでしょうか。まだ年数はそれほど経っていないみたいだけど。


地下にもぐってみましたが、当然のことながら飲食街へとつながるであろう通路はシャッターで閉鎖。目にするのはほかの商業施設の案内ばかり。


途方にくれつつ地上出口へ。ここは、たしかに優良物件でした。営業当時であれば、どれだけ震えたか。けれど、今はもう呼吸することをやめたコンクリートの塊でしかありません。往年の勇姿を思い浮かべつつ、後ろ髪を引かれながらこの場を去りました。来るのが少し遅かった。あぁ~、もったいない。


――そして、いまから数年前のこと


仕事でひさしぶりに博多を訪れた。となれば、当然気になるじゃないですか。すでに取り壊されたことは知っていたけど、かつての遺構のカケラにでも触れられれば。


地下道の入口に「清川名店ビル方面」だと?! こ、これは期待せざるを得ない。


サンセルコの店舗案内はあいかわらず


テナントはわりとふつう。よし、サンセルコはこんなもんでいいだろ。それよりも、「清川名店ビル方面」だよ。ボクたちのこころの1ページ。想い出フォトグラフ。いよいよ、この通路の先だ。長かったよ、あの感動が今よみがえる……


って、オイ! 通路がねぇじゃんかよ、コノヤローッ。コンクリで完全に埋められている? うそでしょ。久しぶりの再会を果たせると思ったのに。まぁ、地上の建築物がすでに撤去されているんだから、地下街だけ残っているわけないのは冷静に考えればそうなんだろうけどさ、だったら案内板も直しておかないと……ねぇ。期待しちまったじゃねぇか、くそ。




清川名店街は最初の撮影のあと、すぐに取り壊されたらしい。ネットで探してもここの情報ってホント少ないんだよね。写真も記事もほとんど出てきませんでした。郷土資料館とかに行けばあるのかもしれないけど。
この近くには柳橋連合市場という場所もあり、いまも現役でかなりオススメ。昼間でも薄暗いのがちょっとコワイけど、雰囲気あります。2回目に行ったときは馬刺しのお店でランチ喰ってきた。バカウマ。


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