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【Zatsu】世の中をひっくり返すもの2

まじめな話。
前回の3行まとめ
ホンモノは減っていない。ニセモノが増えただけ
考えるんじゃない、感じるんだ!
「オラ、わくわくすっぞ」といえたら成功

自分がかつて感じた3つの「特別なワクワク感」とは実のところ何だったのか。それを順番に掘り下げていこうという企画。
いま、これビール飲みながら書いています。

1.インターネット

これはいわずもがなでしょう。個人がマスに対して発信する手段を得た(しかも安価で、というのがポイント)。

ネットの黎明期はホームページブームがあったり、2chが流行ったり。もちろんビジネス的な可能性を模索する動きもありつつ、でも大多数の個人ユーザにとっては「自己表現の場を得た」というのが、とにかく画期的だったんだと思う。しかも、瞬時に、大量に発信できる。
例えるなら、みんな等しくカンヌ授賞式の壇上に上がり発言の機会を持てるようになった、みたいなものかな。まともなスピーチができる人なんて数えるくらいしかいないけど、それでもそういう舞台が登場し、参加できる(安価で)というのが革命的にすごい。

いまSNSで有名人とやりとりができる、それがスゴイという声もあるけれど、「従来なら入り込めなかった場所へ立てるようになった」ということの素地はこの時点ですでに確立していた。権威の壁が崩壊したんだ(のちにある程度押し戻されたが)。そして、「瞬時・大量」という時間や物理制約からの解放。

これはひとつの巨大インフラが誕生したことに対する畏怖、全部をひっくり返しかねない潜在的な可能性に対するワクワク感なんだろうね(後付けの理屈からすると)。
自分もこの流れに乗っていろいろやった。
今みたいにプラットフォームが出来上がっていて「なんでもありますよ、さあ好きなものを選んでください」という時代じゃなく、当時は何もない無人の荒野で、何をするかはアイディアと腕次第。だからいい。舞台はある。互いが刺激しあいながら、いかに相手を感心させるか、でしのぎを削っている。まさにスタートアップ時代。Flash職人なんてまさにそれ。

耕されていない土地がいかにスバラシイか、が分かるよね。区画整理され分譲された肥沃な畑には大きな魅力を感じない。たぶんおいしい野菜はできると思うけど、見たこともない突然変異の野菜は採れないんだ。

その荒野でのし上がれる人は、とうぜん一握り。でもそれはたいした問題じゃないんだよ。やりたいことがあって、やれる自信(根拠なんてあやふやでいい)があって、参戦する人間が多数存在する(ようするに潜在マーケットがある)、そしてそれが継続するとなればbetする価値がある。
――と言うのは簡単だけど、実際にそれを見極めるのは非常に困難。そこでまず必要となるのがイノベータ的な感性。
どうせ先のことなんて、だれにもわからないんだ。成功者になれれば儲けもの。それよりも純粋に楽しそうだからやってみる。誰もやっていないことを自分がやっているという楽しさ、優越感、だな。だから失敗してもへこたれない。成功だけがモチベーションになっているわけじゃないから。
「夢あるねぇ」「おもしろいじゃん」「やってみようよ」を感じるアンテナと、この先に待ち受ける「何か」についての自由な発想、妄想、アタマのやわらかさ。そのフィルター越しにインターネットを見た時に、「こりゃ大変だ、夢あるどころのさわぎじゃねぇ」といえるかどうか。
マーケター的な分析はそのあとだよね。事業化にあたっては当然必要だけど、損得勘定の前に分析対象に目をとめて興味を持ち拾い上げるというプロセスがある。

では、その「おもしろいじゃん」が言える人、鼻が利く人、ってほかの人とどこが違うのか。それは、やりたいことのストックを持っているかどうかじゃないかな、と思う。
頭の片隅にいつもやりたいことがあって、でもそれは制約があり実現できない。でもやりたい。やれればとんでもなく面白いことは間違いないと確信している。でも権威の壁、時間や物理の制約があってできない。
そういうときにテクノロジーの進歩などで扉から光が漏れてくると、自分の潜在意識が声をかけてくれるんだ。「ちょっと待てよ、これって例のアレじゃない?」これがワクワク感の正体だよ。
なんのことはない、普段からの自分の仕込みが反応したってことだ。

おそらくインターネットに大きな可能性を感じた人たちの頭のなかって、多かれ少なかれこういう展開があったんじゃないかなと思う。
自分の場合、「おもしろいじゃん、やってみよう」は確かにあった。
ただ、当時まだ少年だったおれは市場を外から眺める視点なんて持ち合わせていなかったので完全に参加者、ユーザとして楽しんだわけだけど、それでも異常な興奮というか、ワクワク感は他とは一線を画す特別感があったね。

おもしろいものを発見する感性は、じつはみんなに備わっているというのが自分の見解。ただし、「やりたいこと」がないと発動しないんだ。「やりたい、でもできない」を普段から持ち続けている人には、ワクワクからお声がかかる。その声を聞き逃さないことが大事。
一方で、やりたいことを持っていない人には、お声がかからない。「インターネット? パソコン通信の延長でしょ?」で終わっちゃう。

センスを磨く? 感度を上げる? それもいいけどさ、そんなこと簡単にできるのかね。それよりも自分がやりたいことを具体的に突き詰めて、たくさん持っておくほうが大事だと思うんだ。
イノベーションが既存物の新しい結合(シュンペーター)だとすれば、結合元を抱えていない人にお声がかからないのは、そりゃそうだよね。

つづく


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