見出し画像

「用心棒」他、多くの作品に影響を与えたダシール・ハメットの「血の収穫」

ダシール・ハメットの「血の収穫」を久しぶりに読んだ。前に読んだのは学生の頃だと思うので、30年以上ぶりである。家の本棚を探してもなかったので、池袋のジュンク堂まで行って買った。


このハードボイルドの名作を改めて読んだのは、ある本に「黒澤映画の「用心棒」は、この小説の翻案」と書いてあるのを見て、今、「論座」で連載している「名作映画の原作を読んでみた」で使えると思ったからだ。

著作権法的には「翻案」ではない。が、「用心棒」がこの小説から影響を受けているのは事実で、黒澤監督自身、「ほんとうは断らないといけないくらい使っているよね」と語っている。
このように、「血の収穫」と「用心棒」には密接な関係があるのだが、「血の収穫」の影響を受けた作品は「用心棒」だけではない。映画、小説、漫画などさまざまなジャンルに渡って、無数に存在する。

たとえば小説では、大藪春彦の「血の罠」、筒井康隆の「おれの血は他人の血」、船戸与一の「山猫の夏」、馳周星の「不夜城」などが「血の収穫」の系譜に連なる作品である。
ハメットの作品では、ハンフリー・ボガード主演映画の原作である「マルタの鷹」が有名だが、後世に与えた影響は、「血の収穫」の方がはるかに大きいのだ。

それはともかく、この小説を読むのは2回目だったが、前に読んだ時とは全然印象が違った。訳が新しくなったからではない。私が歳をとったからだ。

この物語の主人公のコンティネンタル・オプは40歳。身長は5フィート6インチ(約168センチ)、体重は190ポンド(約86キロ)。学生の頃に読んだ時は、「太り過ぎの中年男」と思ったのだが、今の私からみると40歳は若いし、86キロも驚くほどのものではない。痩せてる方だ。

#読書感想文

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,831件

#映画感想文

67,412件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?