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『レンタルなんもしない人』11話 アンチとの直接対決
いよいよ、『レンタルなんもしない人』は、今夜が最終回!
新しい生き方を示す「レンタルなんもしない人」を取り上げてきましたが、特集コラムも残り2回!あまりPVは高くないですが(笑)、何かのきっかけになればと思い、存分に「道楽」の視点でお送りしているので、ぜひ読んでいただければと思います。
今回は、ついに!レンタルさんと、アンチの直接対決!ドラマの一つの物語が完結します!
あらすじ
今回はオープニングゲストはなく、レンタルさんが「レンタルなんもしない党」を立ち上げるという始まり。
まぁ、当然現実ではなく、嫁の夢オチ(笑)
イラストの仕事を始め、過仮眠をしてしまった。ちょうどレンタルさんが帰ってきたが、何か臭う。今日の依頼は、「臭い缶詰を見守ってほしい」という依頼。次の依頼は、「くさや焼くのを見守ってほしい」というもの。「レンタルなんか臭い人」と揶揄されるが、肝心の話し合いができず、暗い顔の奥さん。
仕事を始めたことで、洗い物も溜まっていた。
そして、今回のメイン依頼は、レンタルさんのアンチである、ユーサク。「夢コンクール」というイベントのゲストとして呼ぶことに。
「新しい生き方をした変わった人」という名目で、審査ゲストとして呼ぶが、「審査」は何かしていることになるので、当然NG。「ただ座っているだけでいい」と頼むと、まさかのOK。
イベントの準備をするユーサクは、ポスターの確認をする。営業だったユーサクがイベント部に異動になったのは、広告の企業ロゴの誤植に気がつかなかったからだった。今回のイベントのポースターを確認すると、
「ん」が「に」になっていた。「まいっか」と流そうとするが、きちんと訂正を依頼。「なんでこいつの為に・・・」という言葉が漏れる。すると、自分を認めない父親の言葉が蘇る。
「やりたくもない仕事をするくらいなら、うちに来い」
ため息をつくしかなかった。
イベント当日、ポスターはしっかりと修正。
会場に、レンタルさんがやってくる。楽屋口がわからず、正面入り口にやってきてしまう。居合わせたユーサクが、文句を言いながらドアを開け、挨拶をする。
「今日は依頼、なかったんですか?」と聞かれると、「もう一人の私になってほしい」という、女子大生からの依頼。タピオカを飲んで、カラオケ行って、エステに行ったり、女子大生っぽいことをしたそうな。
楽屋で、仕事の内容を話すユーサク。審査員として、話を聞いた上で、点数をつけてほしいとのこと。レンタルさんは、「なんかすることになる」と言い、断ろうとする。しかしユーサクは、「直感的に思った数字を書いてくれればいい、ポスターにも出ちゃってるから、うまいことお願いします」と強引に話を進める。
そこでトラブルが。
審査員の一人が遅れるとのこと。ユーサクの機転で、リハーサルはリモートですることに。
リハーサルが始めり、登壇者のスピーチが始まる。途中、他の審査員がレンタルさんにも話を振るが、「僕に何か言える資格はないので」と言うのみ。
リハが終わると、レンタルさんから「審査はできかねます。交通費はいらないので、帰らせていただきます」という連絡が入る。
ユーサクの本音爆発
ユーサクは急いで楽屋へ向かうが、レンタルさんはいない。帰ろうとしているところをギリギリ追いつくユーサク。
「始まる前に帰るなんて、無責任すぎませんか?」
「自分には場違いだと感じたので」
「こっちが困るとか、考えないんですか?」
「考えましたが、すみません」
レンタルさんの為にポスターを修正したユーサク。イベントを任され、大変だったのはごもっとも。しかし、レンタルさんは
「人の夢を、評価したくないです」
と言い、帰ろうとする。そんなレンタルさんに、ユーサクは頭を下げる。
「どうか!どうか!お願いします!」
それでもレンタルさんは、頑なに断ると、
「頑張ってる人間の足引っ張ってんじゃねぇよ!」と逆ギレしてしまう。
「俺だってなぁ、あんたなんかに頭下げたくねぇんだよ!仕事だからやってんだよ!
正直、あんたなんて呼びたくなかったよ。こっちもなぁ、読んだからにはちゃんとやってんだよ!だからなぁ、あんたも来たからにはちゃんとやってくれよ!こっちの気持ちも知らずに、帰ろうとしてなんもしないなんて、ただたんに嫌なことから逃げ続けてるだけじゃねぇかよ!
そんな生き方無しだろう!そんな風にしたら、世の中回んねぇんだよ!どんなに大変でも、歯食いしばって、しがみつくしかねぇんだよ。それが人生ってもんだろ?」
ユーサクの、今までの思いが爆発する。
それを聞いたレンタルさんの答えは、
「特にないです」
「どんだけ無気力なんだよ!?こっちはなぁ、あんたと違って、必死に生きてんだよ!やりたくねぇこともやってるし、嫌いな奴とも付き合ってる!その悔しさをバネにして頑張ってんだよ!」
ユーサクの怒りは収まらない。
「頑張っても評価されないし、誰も見てくれねぇよ。いつも誰かと比べられる。でもさ、それでも必死に自分奮い立たせて、這いつくばって、今この場所に立ってんだよ!
なんであんたみたいな奴が、結婚して子供もまでいんだよ!真面目に生きてるやつが馬鹿らしくなるような生き方してんじゃねぇよ!
俺はなぁ、絶対あんたみたいな生き方は認めねぇからな!」
「それで、いいと思います」
レンタルさんは、反応しない。そこに現れた、ユーサクの弟。兄の仕事を見に来たのだった。
「兄がお世話になってます。兄貴、仕事頑張ってます?」
レンタルさんは答える。
「とても楽しそうでしたね。トラブルが起きた時、笑顔で対応されていました。
とても、楽しそうでした」
審査員の一人が遅れ、リモートで対応していたユーサクを、レンタルさんは見ていた。「誰も見てくれない」と言っていたユーサクを、認めたくないレンタルさんが見ていた。そう言い残し、レンタルさんは出て行ってしまう。
レンタルさんを追うユーサク。
「おい!レンタルなんもしない人。一個だけ、謝るわ。
俺、ずっと前からさ、ツイッターで、あんたのこと批判しててさ」
「はい。知ってます」
「え?アンチって気付いてたの?」
「まぁ」
「じゃあ、なんで引き受けたの?」
「面白いことになりそうだなって。アンチ活動してる人に、自分を貸し出したら、面白いことが起こりそうだなって」
「炎上させたのに、怒んねぇのかよ?」
「火のないところに、熱気は生まれませんから」
珍しく、自分の価値観を語るレンタルさん。
「人に何か言われるとか、他人の評価とか気になんないの?」
「気にしてます。傷つくし。なんで見ず知らずの人に、こんなこと言われなきゃいけないんだろう。でも、気にし過ぎて『なんもしない』をしないのは、嫌だったので」
レンタルさんなりのプロ意識に、冷静になるユーサク。
「なんで、そんなに貫けるんですか?」
「他に、できることがなかったので。僕は、ここにいる人たちみたいに、いろいろなことができるわけではないので」
「レンタルさんの、夢ってなんなんですか?」
「ずっと、なんもしないことですね」
呆れて笑うしかないユーサクだった。
依頼を終えたレンタルさんの報告ツイート。
「『夢コンクールに来て欲しい』との依頼。なんもしない約束だったが、なんかすることになったので、初めて交通費をもらわず、途中で帰ってきた。それなのに、依頼者が満足そうで、謎だった」
レンタルさんが帰った後、審査員は二人となり、無事イベントは終了した。ユーサクの表情は、どこか満足げだった。
イベント終了後、父親に電話をするユーサク。面会に来ていた弟は、その様子を見ていた。ユーサクは、父親の申し出を、正式に断った。今の仕事は楽しくないし、父の病院に行った方が、いい人生になるかもしれないと。でも、「自分の外側じゃなく内側で、自分の夢を見つけたい」と言う。「そんな甘い生き方じゃ、何者にもならないだろう」と言う父。それでもユーサクはこう言う。
「なれなくてもいいよ」
と電話を切った。
夫婦の衝突
いつもの帰り道。その日も、本押し売りおじさんはいなかった。
帰宅すると、依頼を途中で辞めたことを知っていた奥さんは、「こんな時間まで何してたの?」と聞くと、「なんもしてない。ぼーっとしてた」と言う答えに、「そっか」と、何か言いたげな反応。そして、フリマで売ろうとする服の写真を撮っていると、「いくらくらいで売れるの?」と尋ねるレンタルさん。
「1500円くらい?」
「あ、今日もらうはずだった交通費と一緒だ」
ため息をつく奥さん。「ちょっと疲れちゃった」と言うと、「さきさんも、たまにはなんもしないようにしてみたら?」と声をかける。
「そんなわけにはいかないんじゃないかな。生きてると、なんかしなくちゃいけない時がある。なんもしない人だって必要だけど、なんかする人だって、必要だってある」
徐々に本音が溢れていく。
「君のなんもしない活動は、応援してるよ?でも、なんもしないの裏で、誰かがなんかしてる。そのことは、ちゃんと理解してくれてるんだと思ってた」
カーテンを隔てて、話し合う二人。
ついに奥さんは、レンタルさんに通帳を見せる。
「何度も、言おうと思ったんだけど。結構、貯金が減ってて・・・。このままの形じゃちょっと、いや、だいぶまずい。
君に何かして欲しいわけじゃない。けど、生活をするためには、何か考えなきゃいけない時期がきてる気がしてて」
空気を読まない、依頼メールが。
「でもさ、そんなに夢中にならなくてもいいんじゃない?
仕事じゃないんだから」
一言も返せなかったレンタルさん。
奥さんが、子供をお風呂に入れて上がると、レンタルさんがいない。スマホには、
なんとも言えない、奥さんの表情だった。
レンタルさんを通して、自分を見つめ直すユーサク
レンタルさんのアンチだった、ユーサクからの依頼。ついに直接対決となりました。最初は、レンタルさんに嫌がらせで依頼したのかと思いましたが、そこまで腐ってはいませんでした(笑)
しかし、その依頼内容は、だまし討ちのようでもありました。
結局、レンタルさんは途中で帰ることにしますが、そのおかげで、ユーサクは、本音を話すことができ、自分の本音に気付くことができたんだと思います。
自分のことは棚に上げて、自分の都合ばかりまくし立てるユーサク。それでも、認められない、認めたくないレンタルさんが、「誰も見てくれない」という不満を解消してくれたわけです。結局、父から「うちに来い」という話も断り、自分自身の生き方を見出そうとしたのだと思います。
ユーサクは「既定路線の代表」
ユーサクという存在は、「既定路線の代表」と、私は見ていました。レンタルさんは、ある意味、我が道を行く「道楽家」です。
今回、ユーサクの熱のこもったセリフをそのまま掲載しましたが、それは、既定路線に従って生きる人の叫びなのではないでしょうか?
私は今、個人事業主として仕事をしていますが、以前にはちゃんと勤めていたことがあります(笑)。ただ、会社に勤めて働くことは、だんだん嫌になってきて、ユーサクが言っていたように、「嫌なことでもやらなきゃいけない」からやっていたと言えます。それなりに耐え、我慢し、無理もしてきました。レンタルさんだってそうです。死にそうになるところを、奥さんが救い、「なんもしない人」となって、生きています。必死かどうかはわかりませんが、ちゃんと生きています。
次の項目で述べますが、生きていれば、お金がかかるし、生活にはお金が必要。なんもしないことで、お金は稼げないのなら、生活はできなくなっていくのも事実です。
ただ、やりたくもないことをやって、自らの首を絞めてしまうのは、生きて行くために働いているはずなのに、本末転倒です。死ぬ為に働いているようなものです。
成功し、お金がある芸能人であっても、自ら死を選ぶ方がいます。成功したらしたで、ユーサクのようなアンチも生まれるし、今度は失う恐怖も出てきます。
今回の「夢コンクール」じゃないですが、「夢を叶えることが、幸せとは限らない」と、私は思っています。夢を持つことは大事。ですが、夢を叶えればいいわけではない。何より、夢を叶える「道中」こそ価値があり、最も大事なものだと思っています。それこそが、「道楽」です。
特に今の時代は、生き方は多種多様になり、これからの時代、もっと変化していくことと思います。全ては変化していくので、変化をせずに、今まで通り進んでいたら、いずれは行き止まりか、流れに飲まれてしまうかもしれません。
夫婦の衝突
前回から匂わせていましたが、生活費が底をつきそうになり、奥さんはイラストレーターの仕事に復帰しました。レンタルさんは、相変わらず、「なんもしない人」として、活動中。しかし、お金にはならず、自分が必死に稼ごうとしている1500円を、「あ、今日もらうはずだった交通費と一緒だ」なんて言われたら、私だったらブチ切れてますよ(笑)
できうる限り冷静に話した奥さんは、凄いと思います。さすがのレンタルさんも、依頼メールを確認せず、奥さんと話を続けましたが、お風呂から上がったら、依頼に行ってしまった。
これは、バツが悪かったのでしょう。その気持ちもわかります。
以前、奥さんのご両親が訪ねてきたときに、「理解はできないけど、君のやってることに意味があること『だけ』はわかった」と、どうにか認めました。
その時は、夫婦の絆で乗り越えましたが、余裕がなくなってきたら、そうも言ってられません。
レンタルさんは、勤めていたときに、既定路線の苦しみから、死にそうになっていたわけですが、奥さんが助け出しました。そこで、レンタルさんにとって「自分らしい生き方」をするようになり、夢は?と聞かれて、「ずっとなんもしないことです」と答えました。それは、「死」?とも思いますが、「面白いことになる」とも言っていたことから、レンタルさんなりの考えがあるということですね。
ただ、レンタルさん自身も、既定路線の土壇場JCTから新人生を歩んだものの、自分の中の見たくないものや、今の自分自身と、向き合う必要に迫られたというのが、今回のポイントだと思います。
新人生は、楽な道ではない
「土壇場JCT」とは、道楽舎が生み出した用語ですが、以前のコラムで取り上げているので、チェックしてみてください。
「土壇場JCT」で、新人生に進んだとしても、それで終わりではありません。実は、既定路線以上の困難な道なのです。障害も多く、向き合うことも多い。ただ、自分が望む道なんだから、進めるはずなんです。
いわば、既定路線が、指示された山を登らないといけないのに対し、同じ登るでも、自分自身で山を選ぶことができるわけです。既定路線であれば、会社や上司のせいにすればいいですが、新人生ではそうもいきません。全て自分の責任です。人によっては、その方が辛いかもしれません。
私は、人に言われてやるくらいなら、自分で選びたいし、自分の人生の責任は、自分で取りたいと思うので、今の方が生きやすいです。まぁ、自信を持って言えるまで、何年もかかりましたけどね(^^;
既定路線を悪く言っているように聞こえるかもしれませんが、会社に従う代わりに、会社が守ってくれるのも事実です。それが会社の役割でもあると思います。
実力がないのに、無理に土壇場JCTでインターチェンジしたら、正直めちゃくちゃ大変です。むやみに、インターチェンジするものではありません。実は、とても勇気がいります。人生をリセットする、手にしたもの全てを手放すくらいの覚悟がいります。
それだけは言っておきます。
ただ、新人生じゃないと、既定路線では得られない宝が得られるので、冒険心を持っていたり、道楽心を持っている方は、ぜひ道楽舎で遊びましょう!!
自分らしい生き方をするのか、既定路線で周りに合わせて生きて行くのか。どちらが自分に合っているか、考えるきっかけになればと思います。
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