【追悼】田村正和さん 「死」は別れではなく、人生を振り返るきっかけ
先日、4月に名俳優である田村正和さんがなくなったことが発表になりました。
享年77歳。亡くなるにはまだ早い、もっとご活躍を見たいと思う役者さんでした。
まずは、ご冥福をお祈りいたします。
もっと活躍を見たいとは思いますが、2018年に出演した代表作『眠狂四郎 THE FINAL』を最後に、演技をすることはありませんでした。
若かりし頃の眠狂四郎を観たことはありませんが、最後の眠狂四郎を演じて、田村正和さんご本人が、「これではアカン」と自身の演技を嘆き、放送も観なかったんだとか。納得できる演技ではなかったのでしょう。
若かりし田村正和さん
スポーツ選手であればわかりやすいもので、目標がなくなったり自分が納得するパフォーマンスができなければ、きっぱりと引退するものです。演技においては、年齢を重ねるからこそできる演技もあるかとは思いますが、自分にしかわからない限界があるのでしょうね。
自分自身を演じる苦悩
有名なエピソードですが、田村正和さんは普段から「田村正和」を演じていて、時にそれが疲れることもあるそうです。矢沢永吉さんや、菅原文太さんにも通じることかもしれませんが、普段から「田村正和」というキャラクターを演じ続けることは、とても疲れることだと思います。
有名になることで、ファンのイメージを壊さないよう、人前で食事したり買い物をしたり、日常を見せないようにしていたそうです。普通の人なら、まずできない生活をしていたと思います。少なくとも、私だったら、ありのままで自由に生きられないのは、堅苦しいしできません。
もう「田村正和」を演じなくてもいいのでしょうけど、役を降りるのが「死」と引き換えなのは、いささか切ないものがありますね・・・
『古畑任三郎』の再放送から感じること
田村正和さんと言えば、何と言っても「古畑任三郎」ではないでしょうか。三谷幸喜さんが脚本を務め、シリーズにもなった大人気ドラマ。20年以上前のドラマではあっても、今観ても古臭くなく、レベルの高い面白いドラマです。
先週末には、スペシャルで放送された、松嶋菜々子さんがゲストの回と、あのイチローさんがゲストとして唯一演技をした回が再放送されました。今はまだTVerでも観られるので、ご覧になっていない方はぜひ!
他にも、Youtubeでは過去の放送が軒並みアップロードされて、田村正和さんのご活躍を見ることができます。
もちろんこれは、田村正和さんが亡くなったことでの追悼です。もう新たな姿を見ることができないので、過去を振り返ることしかできないし、過去の作品を見たいと思うものです。
放送当時は楽しみに観たものですが、Youtubeでアップされていると、ついつい観てしまいます。ただ、正当なアップロードではない為、アップされては削除されて、を繰り返しています(笑)
テレビでは、イチローさんと松嶋菜々子さんのゲスト回が再放送されましたが、完全再放送してくれれば、そういったいたちごっこアップロードはなくなる、ということもないでしょうけど(^^;、やっぱりテレビで見たいですよね。
人間、ダメだと言われるからやりたくなる。そんな、抑圧するから反発するという本質も見えてきますね・・・
それはいいとしても、田村正和さんを追討したい気持ちだけは、間違いないと思います。ただ、その死を利用して稼ぎたい、という輩はいただけませんが。
いずれにせよ、それだけ田村正和さんという方の残したものが、とても大きいということがわかります。
思い出のドラマ
『古畑任三郎』は言わずもがなですが、私にとっては、思い出のドラマが2つあるので紹介します。
『パパとなっちゃん』
キョンキョンこと小泉今日子さんと親子で共演したホームコメディー。娘を溺愛する親バカっぷりが、ダンディーな田村正和さんが演じることで、シュールに見えて面白かったのを覚えています。
1991年に放送され、主題歌の『あなたに会えてよかった』はミリオンセラーにもなりましたが、私もCDを買ってよく聴いたものです。
正直、私は小学生だったので、ドラマの詳しい内容は覚えていませんが、田村正和さんを観た初めてのドラマで、感動したのを覚えています。再放送やアマプラで観られるなら、30年振りに観たいですね。
『総理と呼ばないで』
1997年に放送された、三谷幸喜さん脚本のドラマ。田村正和さんが、低支持率に悩む総理大臣を演じましたが、当時の世相を表したコメディだと言えます。
古畑任三郎とは違い、頼りないダメ総理、というような役だったと思いますが、格好いい姿ではなく、情けなく格好悪い姿の演技は、逆に格好良かったものです。
このドラマがなんと!5月31日から、再放送されるではありませんか!!
フジテレビ、やるな!だったら、『古畑任三郎』も再放送して欲しいですね。キムタク回や風間杜夫さん回は、訳ありだそうですが・・・(JニーズやSザエさん問題)
時代は変わりましたが、今はまた内閣が揺れているので、ドラマを見ることで、何か感じるものがあるのではないでしょうか。
他にも、多数出演されていますが、唯一無二の名演技で、素晴らしい役者でしたね。
名優・田村正和の生き方も【道楽】
最後の作品となった『眠狂四郎 THE FINAL』を演じた後、思うような演技もできなくなり、引退を考えたそうです。そこで、マネージャーさんにこう漏らしたそうです。
「僕はもう、やりきった。いつ死んでも良い」
事実上、それが引退宣言だったのかもしれません。
そんな風に言って死んで行けるのは、とても幸せなことなのかもしれません。おそらく、ほとんどの人が、「死に際を選ぶこと」はできないでしょう。不慮の事故に遭ったり、思いも寄らない大病を患ったり。自ら命を絶つ場合は、自分で選んでいるように見えるかもしれませんが、「やりきった」と満足して死んで行くわけではないでしょう。
ただ、「田村正和」という役者としては、やりきって満足だろうとは思いますが、田村正和という個人にとって、やりきった人生だったのか?とは思ってしまいます。でもきっと、田村正和さんなら、言葉の通り、やりきったんだろうなとは思いますが。
「もうやり尽くした」と言えることは、それも一つの【道楽】的な生き方だろうと思います。田村正和さんも「道楽家」だったんですね。
田村正和さんほどのものは残すことはできないかもしれませんが、どんな結果を生み出すにせよ、道中を楽しみ尽くして、「もうやりきった」と言って死んでいきたいと思います。やりたいことはまだまだ沢山ありますからね!
田村正和さんの生き方に学び、「やりきった」と言える人生にしたいと思います。そして、少しでも田村正和さんのように、自分の死がまた、誰かにとって何かのきっかけになれば、嬉しい限りです。死ぬまで生きるぞー!
田村正和さん、たくさんの感動をありがとうございました!
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