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【小説】ユーメと命がけの夢想家

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主人公「僕」が、毎週テーマに基づいた小説を1本描き、その内容を、梅茶から姿をあらわした〈ユーメ〉と語らいながら、「書きつづける」ことを日課にしていく物語。
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2021年12月の記事一覧

【目次とまえがき】書きつづけるには、書きつづけるしかない【ユーメと命がけの夢想家】

【目次とまえがき】書きつづけるには、書きつづけるしかない【ユーメと命がけの夢想家】

毎週金曜日22時頃更新!

【ユーメと命がけの夢想家】
目次

000:雨の日の朝食
001:黄昏時
幕間001:加虐と被虐
002:秘密の恋
幕間002:適切な努め
003:トキメキ二重奏
幕間003:焦燥と設計
004:きらめく星空
幕間004:三幕構成と本を読むということ
005:帰宅したら、何だかものすごいことになっているのですが
幕間005:構造と理屈なき展開

↓2月4日(金)22時

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幕間001:加虐と被虐【ユーメと命がけの夢想家】

幕間001:加虐と被虐【ユーメと命がけの夢想家】

前回目次◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「これはもう遥か昔の話になるんだが」
 作品を書き終えた僕は、ワークチェアに身を沈ませた。当然、話し相手はユーメである。
「インターネットの世界では、かつて猫のキャラクターが席巻していた時代があったんだ」

「あれは〈猫〉と呼べるような代物かしら?」
「まあ、いいじゃないか。モナーとかギコとか、文字や記号だけで作られたキャラクターがいて、そのなかに

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001:黄昏時【ユーメと命がけの夢想家】

001:黄昏時【ユーメと命がけの夢想家】

前回目次◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 黄昏は、誰そ彼、から転じたものらしい。そのことを、中3の古典で習った。暗くなってきて、目の前の人が誰だか分からなくなる時間、つまり夕方ってことだ。黄昏時。その字面もあわせて、当時の俺はカッコいい名前だな、なんて思ったりもした。
 でも、よくよく考えてみると、「誰そ彼」、と疑念を抱くのは、夕方だけではないってことに気が付いた。
 黄昏時は、孤独を抱

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000:雨の日の朝食【ユーメと命がけの夢想家】

000:雨の日の朝食【ユーメと命がけの夢想家】

目次◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 寒いな、と、思うのだった。
 そのあとで、自動車が水たまりを過ぎる音を耳にする。いや、逆か。この音を無意識のうちに聞くからこそ、世界は寒くつめたく冷ややかで、どうしようもないことを知るのだ。

 うっすく目を開けてみると、再生を終えた動画のリンク欄があった。布団の脇に、仕事道具として手に入れたノートパソコン。それと半身をベッドから投げ出すような格好で

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