『新感染半島 ファイナル・ステージ』

韓国発の特急列車を中心としたゾンビ・サバイバル映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』の公開から約3年、同じヨン・サンホ監督による続編が公開!が、傑作だった前作とは打って変わって、ありきたりな近未来ゾンビサバイバル映画に変貌を遂げてしまった。

 

 

ロメロの『ゾンビ』と傑作B級映画『カサンドラ・クロス』のような列車内パニックを組み合わせた前作は、斬新さこそはなかったが緊迫感があり、ゾンビ映画の傑作として楽しめた。

しかし、本作は近未来という時代設定にしたからか、あらゆる「こういう映画にしたい」という「こういう映画」のツギハギを見せられているかのようなゾンビサバイバルだった。

 

全体的な終末感と全速で襲って来るゾンビ、それをシューティングゲーム感覚でただバシバシ撃つ姿はまるで『バイオハザード』。それも雰囲気は『バイオハザード: ザ・ファイナル』。けど、『バイオハザード』は抗ウイルス云々の攻防や常に付きまとったアンブレラ社の存在が面白くあったが、『新感染半島 ファイナル・ステージ』にはそういう背景がほとんなく、しかも目的はゾンビが蔓延する朝鮮半島内にある大金があるトラックを強奪する、というもの。その火事場泥棒のような発想にアイデアの貧困・枯渇ぶりが伺える。

 

新型コロナウイルス蔓延前に作り上げたために、せっかくリアリティ満点な船内パニック設定も全く生かせず、またあらゆるウイルスに対抗する概念も嘘臭い。よもやの傑作からまさかの駄作な続編が生まれてしまった。1万歩譲って、『バイオハザード: ザ・ファイナル』なら楽しめるワンチャンはあるのかな。

 

評価:★★

 

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