ジョー、いろいろ語る

本業は法律家。でも、数え切れないほどある趣味の方が大事。 くだらないブログ(http…

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本業は法律家。でも、数え切れないほどある趣味の方が大事。 くだらないブログ(https://www.joesas.net/ja)と真面目なアメリカの政治に関するサイト(https://www.joeseiji.com/)を運営。

最近の記事

トランプは副大統領候補として誰を選ぶか

2024年大統領選の予備選(指名争い)に決着がつき、注目は副大統領候補の指名に移った。民主党の副大統領指名候補はカマラ・ハリス(Kamala Harris)現副大統領になることが確実なので、ここでは主に誰が共和党の副大統領指名候補になるかを解説していく。 副大統領候補はどのように指名されるの?予備選を勝ち抜いた大統領指名候補(共和党の場合はドナルド・トランプ前大統領、民主党の場合はジョウ・バイデン現大統領)が自ら希望する副大統領候補を指定し、当該候補が党大会での承認を経た後

    • トランプが被告人である4つの刑事事件の大統領選への影響

      ドナルド・トランプ前大統領は現在、4つもの刑事事件の被告人である。これら刑事事件の詳細と大統領選への影響、およびトランプが大統領に就任した場合の赦免の可能性について解説して行く。 トランプはどのような刑事事件に巻き込まれているの?①トランプの会社が間接的に元ポルノ女優に支払った口止め料について、当会社は虚偽的に「弁護士費用」として計上した ②大統領退任の際、トランプは政府の機密文書を持ち出した ③大統領選で敗れたにも関わらず、トランプは選挙の結果を覆そうとした ④大統領選に

      • トランプまたはバイデンが撤退・死去したらどうなる?

        2024年の大統領選の予備選は早々と決着がつき、ドナルド・トランプ前大統領が共和党の指名候補に、ジョウ・バイデン現大統領が民主党の指名候補になることが確実となった。もっとも、トランプとバイデンはそれぞれ77歳と81歳と高齢である上、バイデン大統領は低迷する支持率に悩まされている。党の大統領指名候補が死去または撤退する可能性が否定できないので、ここではその場合どうなるのかを解説する。 今後の大統領選の流れは?この先も(形式的ながらも)予備選は各州が定めたスケジュールに則って実

        • 大谷はお金に無頓着であってはいけなかったのに無頓着だったから、詐欺にあってしまった

          大谷翔平の元通訳、水原一平が米国で起訴された。起訴状を読めば、大谷が知らないところで水原が1600万ドル(約25億円)をも窃盗していたことは、もはや疑いの余地がない。 水原の欺瞞は相当深かった。 大谷の野球選手としての給料が振り込まれていた銀行口座には、水原のメールアドレスと電話番号が登録されていた 賭博業者への送金は、すべて水原のモバイルやパソコンから行われていた 銀行から本人確認の電話があった時、水原は大谷に成りすまして大谷の個人情報を伝えていた 詐欺師が支配し

        トランプは副大統領候補として誰を選ぶか

          大谷翔平の通訳だった水原一平の違法スポーツ賭博問題について、アメリカの法律とスポーツ選手の詐欺被害の観点で解説

          大谷翔平の通訳、水原一平の驚愕的な違法スポーツ賭博問題。アメリカの法律とスポーツ選手の詐欺被害について一定の知識があるので、解説してみようと思う。 事実確認2024年3月時点での報道を踏まえると、次のことは事実と考えてよさそうである。 水原一平は違法なスポーツ賭博を運営していたマシュー・ボーヤー(Mathew Bowyer)に450万ドル(約6.8億円)もの借金があった 少なくとも2回、「Shohei Otani」の口座からボーヤーの関係者に50万ドル(約7500万円)

          大谷翔平の通訳だった水原一平の違法スポーツ賭博問題について、アメリカの法律とスポーツ選手の詐欺被害の観点で解説

          小室圭の異動と日本製鉄のアドバイザーになるとの憶測について考えること

          最近、小室圭が入所2年目にして違う部署に異動し、USスチールの買収を発表した日本製鉄のアドバイザーになるのではないかとまで憶測されている。 小室圭がいる世界にいたことがあり、彼が所属していたローウェンスタイン・サンドラー法律事務所(Lowenstein Sandler)から内定を貰っていた者として、僕なりの考えを述べてみたい。 異動は任意米国の企業では、日本のような「辞令」の概念がない。異動も転勤も、自分から申し入れるか、会社から打診されて受け入れるかのどちらかであって、

          小室圭の異動と日本製鉄のアドバイザーになるとの憶測について考えること

          小室圭の世界にいた時の僕は、危うく金銭感覚が狂うところだった

          小室圭がいるような法律事務所に在籍していたことがある僕は、給与と金銭感覚の面で随分と波乱万丈な道を歩んできている。 実は僕は、キャリアを公務員として始めた。いずれは企業法務に携わるつもりでロースクール時代に法律事務所から内定を貰っていたのだが、少しは「人のために尽くす」という弁護士の本来の姿を経験した方が自分のためになるだろうと思い、1年間だけ、ニュージャージー州で裁判官の助手であるロークラークという仕事に就いていた。 この仕事を通じて僕は判例の下書きを作成するなど、とて

          小室圭の世界にいた時の僕は、危うく金銭感覚が狂うところだった

          小室圭の勤務先でレイオフ(大量解雇)があっても、彼の年次は対象に含まれない

          アメリカのIT企業によるレイオフ、いわゆる大量解雇が日本でも物議を醸しているが、景気が後退するといずれは大手法律事務所も煽りを受けるのがアメリカである。特に金融に依拠しているM&Aなどの分野が強い法律事務所は、景気の動向に左右されやすい。(余談となるが、会社更生や訴訟といった分野は、反対に景気悪化に強い) そうなると気になるのが、コーポレート関係の仕事がしたいと言って小室圭が就職した法律事務所Lowenstein Sandler(ローウェンスタイン・サンドラー)が、16人解

          小室圭の勤務先でレイオフ(大量解雇)があっても、彼の年次は対象に含まれない

          ニューヨーク・ニュージャージーの現役弁護士から聞いた、小室圭の勤務先の評判

          小室圭が所属しているLowenstein Sandler(ローウェンスタイン・サンドラー)は、僕自身内定を貰っていたのでそれなりに馴染みのある法律事務所だ。さらには、Lowensteinの本拠地であるニュージャージー州で学生時代を過ごし、小室圭と同様にニューヨーク州の法律事務所で働いていたので、ニューヨークとニュージャージーの法律事務所の事情に関して詳しい友人が多くいる。最近アメリカに行ってきたので、そんな彼らに今のLowensteinの評判を聞いてみた。 僕の元々の印象ま

          ニューヨーク・ニュージャージーの現役弁護士から聞いた、小室圭の勤務先の評判

          日本語が宝の持ち腐れになってしまうから、僕は小室圭の法律事務所の内定を辞退した

          小室圭が無事ニューヨーク州の司法試験に合格したそうである。これで彼もやっとニューヨークの弁護士としてスタートを切れる。 実は僕は、小室が現在勤めているLowenstein Sandler(ローウェンスタイン・サンドラー)と呼ばれる法律事務所から内定をもらっていた。小室の先輩になっていたかもしれないと考えると、ちょっと感慨深い。 当時、僕はLowensteinの他にもう一つの法律事務所から内定をもらっていた。二つの事務所は大きく性質が異なっていたのだが、今振り返ってみても、

          日本語が宝の持ち腐れになってしまうから、僕は小室圭の法律事務所の内定を辞退した

          低い投票率も金も無能な政治家も、「政治」にはつきもの

          僕にとっての政治とは、次のようなものである。 僕の政治に対する考えは、概ねこの一文に凝縮されている。 僕は選挙の投票率が低くくても致し方ないと思っている。国民の誰しもが「日常生活を生きていくことに精一杯」なのだ。政治が日常生活の範疇にある人は永田町くらいにしかいなく、一般の人にとっての毎日は政治とは無縁だ。投票日でさえも、生活に余裕がない人なら仕事をしているだろうし、生活に余裕がある人なら友人との食事を優先してしまうだろう。いずれにせよ、わざわざ近所の小学校まで足を運んで

          低い投票率も金も無能な政治家も、「政治」にはつきもの

          投票率なんかより肝心なこと

          投票率は低くて当たり前僕に言わせてみれば、投票率が低いなんて当たり前だ。 投票という行為がどういうものなのか、冷静に考えてもらいたい。 日曜日という休日に、投票所という場所にわざわざ足を運び、列に並んで待たされた挙句、赤の他人の名前を書くのである。 さらには、「あなたの一票が政治を変える」といったきれいごとがよく謳われるが、都内の有権者数は11,290,229人。「あなたの一票」にはたった0.000009%の影響力しかなく、論理的に考えれば、一票が都政の行方を変えるこ

          投票率なんかより肝心なこと

          二階俊博を評価できなくては、政治は理解できない

          この5年間、自民党を牛耳ってきた二階俊博幹事長は尊崇に値する。 70年近い歴史がある自民党で、幹事長の最長在任記録を更新し続けていること自体、相当な功績である。自民党は単なる古い政党ではない。田中角栄や金丸信、竹下登や小沢一郎といった、権力を維持することに長けていた者が築いてきた政党であり、彼らの記録を塗り替える二階は只者ではない。 しかも、二階の凄いのは、通常だったら到底、自民党内でこんなに権力を振れるような経歴の持ち主ではないところだ。 ほとんどの人が忘れているよう

          二階俊博を評価できなくては、政治は理解できない

          司法試験に二回落ちた小室圭が優先すべきは、職ではなく試験

          哀れなことに、小室圭がニューヨーク司法試験に2度目も落ちてしまったそうである。彼が辿ってきた米国ロースクールへの進学と彼が望むロイヤーとしてのキャリアを経験してきた者として、僕なりに彼が今後どうすべきなのかを考えてみた。 現在すでに弁護士扱いまず現状をおさらいすると、小室圭はニュージャージー州の一流法律事務所であるLowenstein Sandler(ローウェンスタイン・サンドラー)のニューヨーク支部に勤務している。これは大阪に本拠点を置いている法律事務所の東京オフィスに所

          司法試験に二回落ちた小室圭が優先すべきは、職ではなく試験

          世界最古の米国憲法から日本が学べること

          僕が米国憲法について語るとき、必ず最初に指摘するのが米国憲法の古さである。1788年に発効した米国憲法は、成文化された憲法としては世界で最も古い。 歴史の浅いアメリカなのにそんなはずはない、と考える人は多い。しかし、1788年の世界を振り返っていただきたい。その頃の日本は江戸幕府第11代将軍徳川家斉の時代。欧州は君主制。テレビどころか電気もない時代はだいぶ昔である。 たった70年の憲法史しかない日本が、230年もの歴史を誇る米国から学べることは少なくない。 たとえば、常

          世界最古の米国憲法から日本が学べること

          時には一般常識からかけ離れる、犯罪者を代理する弁護士の倫理観

          米国では弁護士は特に反感を買う職業だが、その理由の一つとしてよく挙げられるのが、「弁護士は凶悪犯罪者でも弁護する」というものだ。 犯罪事件における弁護士の倫理観とは、実は複雑だ。 「殺人者にも人権がある」とよく言われる。これは先進国の法的理論としては正しいだろうが、被害者とその家族のことを考えたら、たとえ弁護士であってもそう簡単には割り切れない。過失殺人ならましても、計画的殺人において被害者の権利をそっちのけに加害者の権利の云々を語ることは、非常識にさえ思える。 しかし

          時には一般常識からかけ離れる、犯罪者を代理する弁護士の倫理観