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レジェンド&バタフライ

鑑賞:2023年1月@TOHOシネマズ新宿

魅力のほとんどが役者で成立している作品でした。

東映70周年企画を大友監督と古沢脚本に託して乗り切っています。
2時間半に感じない良作です。ただ、短くできたんじゃないのかと言われてしまうでしょう。信長の変遷を描くには、これでも短くしてあるとは思います。大作に相応しい要件をどう満たすのか苦労されたのではないでしょうか。

予想以上に夫婦の話がメインで、それを信長でやるのはシンドいというか、だれが企画立てたんだと各所から恨まれそうなお話です。既存の時代劇として見ないで欲しいという思いがあるならば、とても、成功しています。

東映京都撮影所に潤沢な予算を投下するべく企画されたのでしょうか。殺伐としたシーンがぽんぽん出てくるのが東映ぽい。延暦寺の怨念を本能寺で返すあたり、京都らしさを感じます。

ラストの描き方は、まさかファンタジーか?夢オチか?という脚本家の遊びに翻弄されます。共犯になれた感じです。古沢さんが好かれるのは、こういったところなのでしょう。お茶目。

木村拓哉さん、とても良い歳の重ね方をされていて、トムクルーズを狙っているのかと思わされます。ただ、良くも悪くもいつもの仕草が目立ちました。どうしても本人がレジェンドそのものなので、新境地は望みが薄いかと思いきや、多くの武将を預かるオッサンをやってのけたのは好印象です。どうしても爽やかなんですが、なるべく爽やかさオフにした責任世代を演じるのに成功していると思います。

難しいのが綾瀬はるかさん。めっちゃパフォーマンス良い。アクションさすがです。しかし木村拓哉さんの相手役感が重くのしかかってしまい、持ち味は出させてもらえていないのではないでしょうか。ふさわしい役柄に巡り合うのは簡単なことではないのでしょう。

そして…こんなにおいしい役はなかなかないぞ、というのがキャスト3番手の宮沢氷魚さん。明智小五郎…じゃなかった、明智光秀なので、重要だし3番手もわかるんですけど、あんまり登場しません。おいしいところだけキッチリ出てくるのです。めっちゃ扱いが良い笑。仕草、話し方は印象的で、バッチリなのが、また誰かに恨みを買うのでは笑。

対照的に、メインの夫婦を囲む伊藤英明さんと中谷美紀さんが良いトスを上げるのに扱いが小さい(しょうがないけど)。もうちょっと見たかったです。
同じく信長の脇で支える橋本じゅんさん。おいしさ半分、もっと見たい半分。単純にもっと見たかったです。

総じて、東映京都撮影所のために作られたと言っても過言では無い作品でした。80年を目指して頑張って👍


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