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「自分が動かせないこと」に思い悩まない

昔、あるプロジェクトが炎上したとき、プロマネが焦りすぎて事態はさらに悪化。横で見ていると、そのプロマネは「動かせること」と「動かせないこと」を切り分けられていない。結果、動かせないことばかりにムダに時間を使い、状況はさらに泥沼に… ということがありました。

「動かせない」ことはすっぱりあきらめ、自分が「動かせること」に集中することがいかに大切か、を深く学んだ経験となりました。


しかしこの「動かせる/動かせない」の冷静な判断と適切な行動は、人間にとってそんなに簡単なことではありません。

大事なイベントの日、雨だったらどうしよう...  人はつい、こんなふうに思い悩んでしまいます。しかし当然ながら天気はコントロールできないので、悩むだけムダです。時間を使うべきは雨だったときの対策を考えること。雨は動かせないけれども、傘や雨具は動かせるということです。


これ、客観的に見ると当たり前に見えますが、事件や心配ごとに直面する当事者の立場になるとなかなか冷静な判断が難しくなるものです。

自分で動かせることに集中すれば大きなダメージは回避できるかもしれないのに、どう考えても動かせないことばかりに意識が行ってしまい、結局は何もできずに時間が過ぎていくという最悪のパターンです。



このことは、人間関係についても当てはまる部分があると思ってます。

人との関わりでトラブルに見舞われたとき、つい、相手の考えや行動のことばかり考えてしまいがちです。

「なんであの人はあんなことを言ったのか?」とか「なんでそんな風に考えてしまうのか? ありえない。」と。

そして相手が「まっとうに」振る舞いさえすれば、トラブルなんて起きていないのに.. と憤る気持ちが抑えられなくなる。よくあるパターンです。


しかしながら、自分がそう思っている限りは、問題はほぼ解決しません。いくら相手に抗議しようと、説得しようと、他人の気持ちや行動というものは基本的には動かせないものだからです。

論破、みたいな言葉がはやるようになってしまいましたが、たとえ相手を言葉で言い負かしたところで、その人が心の底から改心するなんてことはありません。単にこちらに対する恨みを残してしまうだけです。


だから、いくらこちらに正義があると思っていても、相手を自分の思い通りに動かそうなんて考えは捨ててかかったほうが良いと思っています。それに固執している限り、トラブルは増え、人間関係は悪くなる一方です。


▶自分が「動かせる」ものは何か


僕は20代の終わりに初めて起業しましたが、今から振り返ると、当時はまだまだできていないことだらけでした(まあ、今もそうなんですが 笑)

とくに「人の心」についての考え方は、至ってなかったと反省しています。起業家たるもの、人の心を変えられるくらいの説得力やリーダーシップがあったほうがいい、などと考えていたように思います。

そのため、ごく初期に会社にジョインしてくれたメンバーとぶつかることも少なくありませんでした。しかしこちらとしては、「なんで分かってくれないんだろう?」というような気持ちばかりが募ってしまいます。

そして、だんだんチーム全体に険悪なムードが漂い、ちょっとこれはまずいな… という状況に陥ってしまったのです。


そのときある先輩起業家に「メンバーの気持ちを変えられないんです」と相談したら、「気持ちを変えるべきなのは松本さんのほうじゃないの?」と諭されました。

これにはガーンときました。

自分の意見を曲げるなど「負け」であり、リーダーとしての面目を保てないんじゃないかなどと思い込んでいたのですが、その先輩は「俺なんていつも自分から曲げっぱなしだよ(笑 )。自分が正しいなんて限らないからね」とあっけらかんと言います。


その先輩は、「動かせるのは自分の方」だと分かっていたということです。相手ではなく、自分自身を変えてみることが大切だと。

そしてその結果として、周囲も変化し、動きます。その先輩は、信頼できるリーダーとして、会社の全メンバーからものすごく尊敬されている社長でした。


結局のところ、自分が動かせるのは自分だけです。自分の行動こそが、もっとも思い通りにコントロールできるものです。天気が悪い、社会が悪い、他人が悪いと怒ったり悩んだりしているだけでは、状況は改善しません。

だから、動かせないものにムダな時間を使わないこと。いつもやるべきは、自分自身を動かすこと、思い切って変えてみることだと思います。


これは、頭では分かっていても、日々の忙しさの中でつい忘れがちなことです。いつも、もっと意識しておかねばと思っています。


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Voicyで、この内容についてさらに掘り下げました。よろしければぜひお聞きください


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