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自由と公共性は両立するか

こんにちは😃
日本リベラルアーツ協会では「続・大人になるためのリベラルアーツ」に準拠した
読書会の第11回を12月2日(木)に実施しました。
今回のテーマは「自由と公共性は両立するか」です。
本に準拠した4つの問いについて対話しました。話題提供の内容と、当日のダイジェストもご覧ください👀

1問目
日常生活において、あなた自身が自由と公共性の矛盾・葛藤に直面した経験があればその具体例を挙げ、実際にどのように対処したか述べなさい。

・急いでいるからといって、赤信号を突破してはいけない。
・金銭が必要だからといって、窃盗は許されない。
→正当な手続きで税金などを定める。
→定められた税金は逆に支払う義務がある。
・マンションの騒音問題、ペット飼育問題 
→私的空間(自宅)であるにも関わらず、公的な規制を受ける。
・「時間の裁量」…人によって時間感覚が異なることで、「空間」でなく、
「時間」的に「私」が「公」に制限を受けることがあり得る。
・自由にトイレに行けない環境。
人間の基本的営み、自然な生理現象ではあるが。
・「反ワクチンデモ」
→ワクチンに関して考えを公表する自由と、ウイルスに対する脅威からの自由。
・法律的議論
→公有地であれば、法令による規制を除けば、何をしても原則は自由だが、
実際には各自治体の「ルール」(「条例」までは行かない
「ベンチで横にならないで下さい」など)にが存在し、条例ではないので
取り締まりの対象にはならなくとも極めて強いメッセージとなり得る。
→一方、自己の私有地であれば、こちらも法令による規制を除き自由なはずだが、
マンション管理組合や町内会などによってルールづくりが行われる場合が多い。
→また、他人の私有地(店舗、私立学校、会社など)では、
法による規制を侵害しない範囲で、原則その所有者の決めた規制に従う必要がある。
→都市部での生活は非常に窮屈と見ることもできる。(楽器演奏者にとっては、自由に演奏できない環境。)
→地方部では違った窮屈さがある。

2問目
自分の経験とは別に、自由が公共性に抵触するような事例をいくつか想定し、それぞれのケースにおいて両者の境界線をどこに引くべきか論じなさい。

◎その境界線はどこにあるか。
・文字化されているか、暗黙のルールか。
・「公園のルール」「地域のルール」「学校のルール」など正当なルールであっても、
一部の声の大きい人の意向であって、一般の人、または弱者に特に弱いことがある。
→正当(違法ではない)だが、良いルールとは言えないもの。
→「文字化してるが境界線を超えるもの」の代表例は校則。
・公序良俗の範囲で制限する必要性はあることは一致、どう良いルールづくりをするか。


3問目
フランスの「人権宣言」や日本国憲法の記述を参考にしながら、一般に自由と公共性の関係はどうあるべきかについて論じなさい


『他者を害しない』『公共の福祉に反しない限り』 
・感情論はマズイ。
→「美しさ」でルールを押し付ける(校則や公園のベンチ利用など)のは危険。
→「単に気に入らない」という理由での批判で、身動きをとれなくするのはさらに危険。
(ネットリンチの例)
→一方、感情も、自分ごととして、他者を尊重した方が良い。法的な配慮が必要な場合もある。
→例えば火葬場の近くに住んでも実害はないが、それに嫌悪感を抱く人の気持ちにも寄り添う必要はある。
『他の構成員に同じ権利を与える』
→火葬場の例。
→原子力発電所など、実際の危険があっても、対岸の火事のような態度は問題。これも自分ごととして他者を尊重しなければならない。
・人間は他者なしで生きられないのだから。


4問目
アーレントの議論を参考しながら「公共性なくして自由はない」という考え方について自由に論じなさい。

韓国の光州事件
→大統領を一致団結して辞めさせようとした。
→「一致団結」は思考停止してないか。
←思考した結果なら良い。そうでなければマズい。
・社会契約説
「万人の万人による闘争を防ぐべく、権利を誰か(王など権力者)へ委譲する。」(ホッブズ)
「権力者は市民の権利の受託者に過ぎず、その権利を侵害する場合、民衆はそれを除去できる。(革命権)」(ロック)
→ホッブズの議論は絶対王政を正当化したが、それでは王の好き勝手となり公共性が守られない
(万人が万人と闘争をしない、というだけ)なのでロックの議論が登場した。
→現在では革命ではなく、主に選挙という手段による。
『公共性なくして自由もない』
→思考停止は、この議論全体をを否定し、自由はもちろん失われ、公共性もある一部の権力者の好き勝手となる。
「万人が万人と闘争をしていない」程度の状態に回帰してしまう。


感想とおわりに

 今回の話は、政治への関心や民主主義を守るための根底的な議論となり、終盤に近づいてきた本書籍に基づく対話に相応しい、活発な対話となりました。

参加した方の感想です😊

・グループによって対話が違うのが面白いです
・火葬場、憲法など普段は思いも馳せないところに考えが及びました。
・普段口にしている公共性、自由などについて知ることができました
・1番楽しみにしていた会でした。自由について考える良い機会になりました。アーレント読みたいです‼️

 今回も、法学、政治学、教育学、工学、心理・福祉系や、キリスト教関係など、
多様な専門を持つ方々にお集まり頂き、各々の専門や経験、立場を基に活発な対話が出来ました。
今回ご参加下さった皆様、ありがとうございます!!

また、リベラルアーツ協会のSlackやTweetでも感想を共有して片ざった方がいます。ありがとうございます✨


次回は12/9(木曜)21:00(日本時間)よりオンライン(zoom)で「プライバシーと治安は両立できるか」
というテーマで開催します!
 多くの人にご参加いただけること、楽しみにしています!

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