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「江戸」の美意識と暮らす粋な毎日。   

以前、私たちJLDSが取り組むマーケティング事業の一つでもある「クラブマーケティング」について触れましたが、今回は、私が主体的に取り組んでいる「江戸美学研究会」についてお伝えします。

さて「江戸時代」と聞くとどのようなイメージがありますでしょうか?かなり昔の感じもしますが、その時代が終焉したのはわずか150年ほど前の事です。この時代は2世紀半を超えて「江戸」という一つの器の中で、文化を成熟させ続けた奇跡の時間です。

こんな260年余りもの長い間、泰平の世が続いた時はこの他に類を見ません。この時代に生まれた、優れたデザイン、卓越したモノ作り、日々楽しみを見出すセンスとアイデア、理にかなった循環社会、節度と温かみのある人間関係……その暮らしと文化は、今の私たちも共感する美意識にもつながり素敵な未来へのヒントを与えてくれます。
私たちが無意識にでも何となく共感できるのは、今に残る文化を遡れば、その基礎となるものが江戸時代に多くあるからなのだと思います。

歌川広重「東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景」(メトロポリタン美術館蔵)

江戸美学研究会は、こうした江戸の美意識をデザインやライフスタイルなどの側面から研究しています。そして学んだことを今日の楽しみに変える「時」と「場」を創造し、文化の継承・復興に繋げ、未来の文化を創ることを目指しています。

江戸の人々は、季節とともに生き、その季節を愛でました。そして行事を大切にし、無事に一年を過ごすことを祈りながら日々を暮らしました。また、遊び心を持ち、楽しみを創り出すことに長け、美しいものをさらに磨き上げることも忘れませんでした。それが「粋」という文化として今にも受け継がれています。

そんな江戸時代の人々の暮らしぶりを振り返り、美意識を学びながら、一年を通して日々の暮らしをより豊かに過ごすために手帖が「江戸帖(EDO DESIGN DIARY)」です。

江戸帖2022年版。カバーは「松の枝ぶり」「三升」「雪輪に雪華」の3柄。
2011年版の発行開始以来、江戸から続く染呉服の老舗「竺仙」の浴衣の柄を使用しています。

ダイアリーには、江戸時代のように月日を季節の節目で捉えられるように、旧暦の暮らし方、今年の暦に合わせた二十四節気七十二候、雑節、月齢、十干十二支を記しています。また、江戸時代から続く行事の解説と今年開催のスケジュールを記載しています。更には、江戸から続く伝統工芸、文化の楽しみ方、江戸デザインの代表格である家紋なども紹介しています。

2023年版も鋭意製作中!

一年をこの手帖とともに過ごす事によって、素敵な「気づき」の手助けとなり、江戸の文化や美意識に触れ、日々を豊かに過ごしていただければ。
そして、ひとりでも多くの方に共感いただき、江戸文化の継承と復興につながることができればと思っています。

このように私たちは、毎年江戸帖を発行したり、江美研寺子屋と称し浮世絵について学んだり、歌舞伎の看板などに使われる“勘亭流”を習ったり、年初めには七福神巡りをしに街にくり出したり……と、興味関心のあることを同じ想いのある方々と共に学ぶ場を創ってきました。
また、季節のお便りとして、七十二候についてや、江戸を楽しむ祭事・イベント情報などをメルマガで配信しています。

このような活動を続ける中で実感することは、興味や関心事でゆるく「繋がる素敵さ」と、誰もが生まれながらに背負っているものでありながら、なかなか一言では言い表せない「文化」の持つ豊かさです。

生活が一変し、活動がままならなかった近年の間も温かい応援や励まし、さらには感謝のメッセージをいただき、その想いを受けて励まされ続けてこられました。
また知れば知るほど、無意識で感じていたことに合点がいき、その奥深さや素晴らしさに自身も繋がっていることに気づいた時、誇りにさえ感じることもありました。

葛飾北斎「冨嶽三十六景 本所立川」(メトロポリタン美術館蔵)

今後も興味関心のまま江戸について学ばせていただくとともに、未来の文化を創る活動を皆さんともご一緒できれば何よりです。

このnoteでも、その活動の一旦をまたご紹介させていただこうと思います。

文:臼井 範俊
江戸美学研究会 主宰(三代目)
Designer/Producer
Japan Life Design Systems
Life Design Creative Strategy

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