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メーカーの生産管理職から農家へ転身。 TKG小川農園の薄井さんに聞く これからのライフデザイン。(第3話)

(取材・文=高玉)

今後の新時代におけるライフデザインや、サバイブしていくためのヒントについて、株式会社TKG小川農園の代表 薄井健吾(うすいけんご)さんに全3話でお話をうかがっています。

千葉県山武市にある薄井さんの農園では、おもに無農薬の「水耕栽培」という栽培法で野菜作りを行なっています。

今回は食料危機時代にサバイブしていくヒントや、秋の旬野菜の簡単調理法、野菜が苦手な子どもへのアドバイスなどについて深掘りしていきます。

買うことが全てではない、
半自給自足のススメ。

61イベント出店時

世界的な食料危機問題に関して意見を聞くと、薄井さんは「買うことだけが全てではなく、必要なものをある程度、自分で作って生活すれば良いのでは」といいます。

ただ、いきなり兼業農家というのはハードルが高いので、都市部に住みながらシティファーマーよろしく、キッチンやベランダでちょっとした栽培はできないものかお聞きしました。

自宅で一番簡単にできるのは、ヒヤシンス用の花瓶を使って栽培する方法。根だけ水に浸かるようにすれば、簡単に水耕栽培ができるそうです。ヒヤシンス用の花瓶がなければ、ペットボトルを使って手作りしても!

自宅で簡単!ペットボトルで水耕栽培
①ペットボトルの上部をカット
②カットした飲み口部分を上下反転して上にかぶせる
③植物の根が飲み口部分の下に出るように配置して完成

水耕栽培におすすめなのは、調理に活用できるバジルやパセリ。切ったものをさしておくだけで、どんどん根が出て成長するそうです。ハーブ類は外だと育ちにくいものもあり、家の中の方が栽培しやすく、見た目もお洒落で香りも良いのでおすすめとのこと。

またかいわれ大根や豆苗は、一度使ったあとに水につけておけばすぐに芽が出てきます。もしカビてしまう場合は、水をこまめに変えていない可能性があるとのこと。浄水器の水のようなきれいな水だとすぐ腐ってしまうので、塩素で消毒された水道水を使ったほうがカビにくいそうです。

水耕栽培ではありませんが、パクチーはベランダのプランターで作るのにおすすめだそうです。香りが強いので虫も来ないとか。 またラディッシュなどもおいしく作れるそうです。春から秋まで長く収穫できるミニトマトも作りやすく、たくさん実がなるので、使いたい時にすぐ使えて良いと教えてくださいました。

人気はサツマイモ。
秋の旬野菜の簡単調理法。

53出店時野菜

薄井さんの農園では秋の一番人気はサツマイモだそうです。

サツマイモの調理法は、レンジでチンするだけでもおいしく、大学芋も簡単にできるのでおすすめだそうです。スープやスイートポテトにしても良いとのことでした。

あとはかぼちゃ。煮るだけで甘くておいしく、少し手間はかかりますが、サツマイモ同様にスープにしても良いそうです。調理法ではありませんが、かぶや水菜も旬で美味しいそうですよ。

また地域柄、秋は落花生が旬だそうで、この時期は乾燥させていない生の落花生が出まわるそうです。塩ゆでや、揚げて食べるだけでおいしいそうです。地元ならではの秋の味覚ですね。

一番の解決法は、本当においしい
野菜を食べさせること。

52水耕野菜サンチュ

実は私の3歳の息子は大の野菜嫌い。どうしたら野菜を食べてもらえるか、幼稚園児二人の父親でもある薄井さんに、アドバイスをもらいました。

やはり、野菜の形が分からないように調理を工夫するのが一つだといいます。小さい子は歯ざわりの問題で、葉物野菜を嫌う傾向が見られるそう。レタス、キャベツ、ほうれん草、小松菜などは炒めものなどだと、どうしても食べにくいようなので、薄井さんのお宅の場合はスープにしているそうです。

しかし根本的な解決法としては「本当に美味しい野菜を食べさせること」だと薄井さんはいいます。

例えばトマトなら味がしない酸っぱいものではなく、本当に甘いトマトを食べたら印象が変わる。 人参でも緑臭いものではなく、とても甘くてジューシーなものを食べさせる。そういう経験を繰り返せばおいしさに気付き、野菜嫌いではなくなるといいます。

実践するには、ネットなどで直接農家から新鮮な野菜を購入するのが一番ですが、それ以外ではスーパーの直売コーナー(スーパーの仕入れよりは新鮮)で買うのがお手軽とのこと。また地方に足を伸ばした際に直売所を見かけたら、新鮮な野菜や地元の特産が買えるのでおすすめだそうです。

「うちの野菜を食べれば、みんな野菜を好きになる」薄井さんは控えめながらきっぱりとこういいました。

農家に転職して6年目。手探りで新しいことに挑戦し、前職で培った様々な経験を生かしながら、心と体・環境を含めたウェルビーイングなライフスタイルを実践する薄井さん。

お話を伺って私が感じたのは「自分にも人にも環境にもやさしい」こと、「食べる」ことは、持続可能な未来への糧だということ。私も今日からシティファーマーを目指してキッチンで水耕栽培をやってみようと思いました。

(おわり)

株式会社TKG小川農園
住所:〒289-1223 千葉県山武市埴谷504
電話:050-3390-0364
URL:https://www.facebook.com/pg/tkg.ogawafarm/


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