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AIと一緒にお料理

料理をする際、検索エンジンで検索をすればクックパッドやクラシルをはじめとした、数多くの便利なサイトが結果に出てきます。調理中の工程の写真や動画が載っているサイトもあり、普段料理をしない方にとってもとても心強いです。

では、対話型のAIを使用したらどうでしょうか。敢えてAIを使用することに意味はあるのでしょうか。今回は料理の超初心者を振舞いながら、ChatGPT 4o(執筆時点で最新のバージョン)にアシストしてもらった例を紹介します。


親子丼

レシピの生成

まずは、レシピについて尋ねてみます。

何人前なのか書かれていなかったため確認すると2人前でした。

これまでの他の記事を読んでくださった方や、日頃から対話型AIを利用している方はカンが働いたかもしれませんが、こういった細かい指示は先に気がついたようであれば、先に指定した方が会話のラリーが少なくなり、手間が省けます。

特に無料ユーザーは、決まった時間の間に利用可能な会話の回数が決まっていますから、どのようなプロンプト(指示)を出して無駄なやりとりの回数を減らすかは無視することができない部分になります。

さて、AIが提示した一般的なレシピをそのまま使うのであれば先述の料理に特化したウェブサイトを利用した方が早かったり、様々なバリエーションのレシピから選ぶことができたりと敢えてAIを使うメリットが感じられません。そこで、いくつかのハードルを設けてみたいと思います。

はじめに、一般的な量よりも多く作りたい場面を想定し、具材の量などを希望通りに調整することが可能なのか試してみると、一瞬で新しい量が提示されました。わざわざ計算し直す手間が省けるのは、とても便利ですね!

◯人前ではなく、ご飯の量で調整も可能でした

レシピの微調整

次はレシピで提示された具材等が実は足りていなかったり、買い忘れてしまったというような実際の家庭でもありそうな問題に加えて、少しわがままな注文、料理初心者が分からなそうな疑問もぶつけて、どこまで対応できるのか検証しました。

出汁やみりんといった調味料がない、また代わりに提示されたものもないと話したら、代案をくれました。

調味料などの再調整はありませんでしたが、鶏がらスープなしでも可能だということはわかりました

料理の用語が分からない

煮立った状態や薄切りなど、料理に使われる用語を理解していないフリをしました。薄切りについては、画像で説明も求めてみました。

たまねぎを半分に切ってから繊維に沿って、または繊維を断つように端から切るのが一般的ですので、100%正しいイラストは残念ながら生成されませんでした。
また、微塵切りのように見えるイラストが左下にあったり、手順の番号がおかしかったりと、この辺の信頼度はまだ低そうです。

調味料の測り方について質問

大さじ、小さじなども普段料理をしない方には、一体どのくらいの量なのかやどう量るのか分かりにくい用語かと思います。
今回は、小さじスプーンしかないという場面を想定して質問しました。

計算方法なども丁寧に教えてくれました。
ただし、厳密には量るものによって、一口に大さじ/小さじといってもグラムで表すと違いがあるようで、今回は、AIはそこまでの説明を提示していませんでした。より厳密な分量で調理したい場合は注意が必要、または先にプロンプトに明記しておくと良いかもしれません。

参考
https://www.haseko.co.jp/branchera/magazine/article/recipe-technic12.php

写真から煮え具合を判断させる

卵がどの程度固まっているか写真から判断させることも一応、可能でした。
写真1枚目のタイミングでは、まだ固まっていない生の部分からもう少し煮える指示をくれたり、2枚目のタイミングでは、もう少し固まったことが判断できています。

ただし、ChatGPTは半熟と判断していますが、実際には半熟よりも固まっており、正確性は完全に信頼できるほどは高くありませんでした。
(また、写真を撮っている時間や、AIとのやり取り中も熱で変化してしまうことも考慮しなくてはなりません。)

ホットケーキ

レシピの生成

続いてホットケーキでも試しました。
使用したホットケーキミックスの袋の裏に書かれている作り方は200gのホットケーキミックスを使用したものでしたが、今回は300gに変更して指示を出しました。

また、実験のためイジワルをして、袋裏の作り方に書かれている牛乳と卵の量は伝えずに指示を出しました。その結果、ChatGPTに提示された牛乳や卵の量の割合は、許容範囲の誤差に見えるものの、商品を販売している会社の正式なレシピとは一致しませんでした。

この点について、ChatGPTに材料の分量の不一致についての意図の有無や、予想される出来上がりの違いについて質問すると、材料の量については間違いであると回答し、袋に書かれている分量が正しい旨と、同じ割合の牛乳と卵の量で300g用のレシピを際提示されました。

しかし、ChatGPTが提示した分量で作った場合とオリジナルレシピで作った場合のレシピについての出来上がりの違いについては、比較的しっかりと述べており、また明らかにおかしい分量ではない為、インターネット上にあるレシピサイトなどから探してきた可能性も十分に考えられます。従って、ここでは問題とはしません。

ホットケーキミックスを300gで作るという条件を忘れていた為、追加で指示を出しました

写真から焼き具合や盛り付けの判断

フライパンに入れたばかりで、殆ど火が通っていない状態ですが、表面のプツプツで気泡が出てきて返しどきと判断してしまいました。当然まだひっくり返すことはできませんでした。

その後も、人の目から見るともう少し焼いた方が良い状況でしたが、ChatGPTの判断ではひっくり返すタイミングだと判断していました。

完全に判断を任せてしまうと、生焼けだったりと上手くいかない場面も

中が生焼けくらいの状態から少し焦げている焼き過ぎの状態まで検証しましたが、焼き加減(焦げ具合等)のチェックは、親子丼の際よりもかなり正確に判定できていました。

採点の基準などは一貫性を持たせる為、採点についての最初の指示でしっかり決めておいた方が良いでしょう。実際、1枚目の方が焦げていますが、焦げている場合の減点について言及した2枚目の方が低く評価されました。

途中で採点基準を追加で指示したため、より焦げていた1枚目よりも厳しめの評価になりました

別日に、生焼けに近い状態から理想的な焼き加減まで調整しながら再度実験しました。初めに評価の基準(焼かなすぎたり、焼きすぎた場合は減点)を伝えておいたことで、安定して評価を下していました。

内側が生焼けなことは言及していませんが、焼き時間が足りないことを理解しています

写真に写っている、適当に盛り付けられたクリームの形などを分析し、より美味しく見せるためのアイディアなどを提供してくれました。

余談ですが、スフレ風に作るためにメレンゲを作るバージョンでも検証しました。
機械の泡立て器ではなく、手動で可能かどうかの質問や、写真からメレンゲの出来具合の判断などを行いました。メレンゲについては、ツノの立ち具合などを正確に読み取ることが出来ており、驚きました。

教育現場での活用法を考える

さて、ここまでChatGPTを料理中に使った例を紹介しましたが、最後に一体教育現場ではどの部分に使える可能性がありそうか考えていきたいと思います。

分量の計算等の時間の節約

実際の学校の現場では、各班の人数がすべて同じとは限りませんし、急な欠席者が出たりすることもあるかもしれません。

レシピが一人前で書かれている場合は、計算のし直しもそこまで手間ではありませんが、例えば、4人分が3人分に変更になるなどや、数量的に計算がめんどくさい場合など、そこの計算に時間をかける必要がないときに代わりに計算させて時間を節約するのは便利だと思います。

評価

薄切りについてや、焼き加減、盛り付け等を評価させました。完全にAIに評価を頼り切ってしまうと均等のサイズで切れていなくても、切れていると評価が甘すぎたり、実際にはできていないことを出来ているものとして扱われてしまう可能性があります。(逆に、教員目線では教養範囲であるものが厳しく評価されてしまうこともあるかもしれません。)

しかし、焼き加減など後から写真を見返した際に最終的な評価をする教員が判断できるようなものに関しては写真を残すことは、調理後にゆっくり評価する際の判断材料としても残り、AIの下した評価云々が間違えていても役立ちそうです。
もちろん、スマホやデジカメ等を使用して写真だけ残すことも可能ではありますが、グループごとにチャットを作成して分けておくことで、一連の流れを簡単に記録しておくことが出来ます。

予期せぬ問題が起こった際の対応
使用する具材が足りなくなってしまったり、調理の工程でミスをしてしまった際などにChatGPTなどのAIに問題を説明することで、どのようにするとリカバリーが可能かアドバイスをもらうことができる可能性があります。
また、使いたい調理器具が無い場合にも、代用品のアイディアなどを期待することができるでしょう。

例として、親子丼の調理中、卵が使えなくなった場面の想定で代案を求めてみました。

卵の固まり具合を評価項目に設定した場合は、そもそも評価ができませんが料理自体ができなくなる自体は防げそうです。

レシピの開発

より実験的な使い方としては、具材であったり栄養価など一定の縛りの中で、オリジナル料理やアレンジレシピを作り、もしその通りに作った場合に美味しくできるか予測させたり、材料の分量の修正の提案などをさせることもできるでしょう。

これは冷蔵庫の中の写真、または冷蔵庫の中にあるものの情報をチャットで伝え、それらを使って作れる献立を考えさせるという使い方の応用的なアイディアです。

教員の代わりに状態の判断

複数のグループが同時に作り始める為、煮え具合や焼け具合などについて生徒から確認をしてほしいと呼ばれた際にすぐに行けないこともあるかと思います。
そんなときに前述のように写真を添付してAIに判断させることで、その問題を解決させるという手も考えられます。仮にAIが不正確な判断をしてしまったとしても、生徒がどのタイミングで本当は先生に見てもらいたかったのか後から知ることができます。

特に火を使っている場合は1分違うと、状態が大きく変わることも予想される為、「先生がすぐに来てくれなかったらちょっと焦げた」というような事態が防げそうです。

まとめ

 今回は料理のお供にChat GPTを使い、そこから教育現場で使えそうな可能性を探ってみました。教育のプロである先生方が、この記事をヒントに、より有効な活用法を見つけられることに繋がれば幸いです。
今後も現場で使えそうなアイディアの紹介や、日々進化していく様々なAI関連の情報をお届けしますので、よろしければスキやフォローをしていただければ幸いです。

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