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かっぱえびせんと孤軍奮闘の育児

今はコロナ禍でインフルエンザの流行が話題にならなくなったが、私たち親子は毎年予防接種を受けて、インフルエンザ対策をしている。

あれは、息子が幼稚園の年少さんだった冬。息子がインフルエンザに感染した。そしてつきっきりで看病する私も、半日遅れで発症したのである。

病院の薬を飲んだ息子は、心配した高熱も下がって元気を取り戻し、いつものようにおもちゃでの遊べるようになっていた。一方、半日遅れで病状が進行する私は、息子の回復を喜ぶも絶不調で、39℃を超える高熱と寒気と倦怠感と、経験したことのない体中のふしぶしの痛みにダウンしていた。

しかし、どんなに具合いが悪くても幼子を抱える母は休むことが出来ない。幼稚園をお休みし、リビングでパジャマ姿のままでおもちゃで楽しく遊ぶ息子を、高熱で朦朧としながら、うつろな眼差しでソファに横たわりながら見ていた。彼は4歳になったばかりであった。4歳男子というのは赤ちゃんに毛が生えたようなもので、見ていないとうっかり危険を冒してしまうかもしれない存在である。

目をつぶって、きちんとした布団で静かに休みたい。ゆっくり眠りたい。しかし息子がいて、時おり監視しなければならないので寝てはいけない。家人は働いていて家にいない。病気で孤独でひたすらに辛かった。

お昼になり、お腹がすいたという息子にご飯を作ってあげることが出来なかった。レンジで冷食をチンするという気力と体力も、もはや尽きていた。朦朧とした意識の中で、息子に「かっぱえびせん」を渡すことが精一杯だった。お昼ご飯ではなく、おやつが出てきて喜んだ息子の笑顔に申し訳なかった。

インフルエンザでの子育ては、私の追い込まれた子育てランキングの中でも上位に入ることは間違いない。そういった極限に追い込まれた状況を積み重ねながら、母親の経験値は上がっていく。まさに満身創痍で心血を注ぎながら、私たち母親は子育てをしている。

時に病気になっても休めず、子育てに孤軍奮闘するお母さんたちに、心からエールを送りたい。その日々の奮闘の証として、いつの日か必ず、子どもの大きく頼もしくなった背中に目を細める時が来るのだから。


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