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人事部長〜闘病編⑤〜

病気が分かってから手術まで1ヶ月半かかった。
最短でいろいろやって頂いていたが
僕の中の時計は進みが遅かった。

手術後に僕のがんの全容が分かるのだが
【分からない】ことが一番の恐怖だった。

『手術したら治ります。』


みなさんは手術って経験ありますか?
僕はこれが初めてでした。
いろいろ自分の知識と違うことが多かった。

手術室って、歩いていくのか。。。
タンカみたいので運ばれないのね。

大きい病院だからか、
モンスターズインクの
扉の前で待機するモンスターが
ずらっと並んでいるように
手術待ちの人と先生方が並んでいる。。。

手術台で寝転ぶと、先生や看護師さんたちは
普通に世間話をするんだな。。。

麻酔って無臭なんだ。。。

。。。

15時に麻酔から覚める。
かなりの震え。ガクガクして左腰が痛かった。
しばらく回復室に入れられて
震えが治るのを待った。

手術を終えた執刀医?が
ポケットに手を突っ込みながら
僕を麻酔から起こした看護師と話している。
これはドラマで見た光景に近い。

看護師がバタバタあたふたしてるのを
執刀医が制す。
会話は忘れたが、世の会社でよくある
上司と部下の会話だ。

この看護師は、患者への話し方が少し抑圧的で
かつ、仕事はあまり周りが見えていないのか
執刀医らしき人からは、
結構な物言いで注意されていても
同年代だからか、舐めてるのか
耳に入っても右から左なのが
麻酔から目覚めた僕でさえわかってしまった。

エレベーターで15階へ。
ひとり部屋。
部屋に戻ってもしばらく震えが止まらず。

やっと震えが落ち着いたころ
妻と母が部屋に来てくれた。

妻と母とは普通に会話をしていたが、
途中で僕は気付いた。

普通は『うまくいって良かったね!』
と言われるだろう。と。
妻も母も『良かったね!』
となかなか言ってこない。

きっと何かあったのだと。

主治医に直接会ってなかった僕は
思い切って
手術がどうだったかを
妻と母に聞いた。

腹膜まで転移していて
開腹手術に切り替えた。

見えるものは切ってくれたが
肝臓の手術はせずに
大腸と腹膜のがんをとって
手術を終えた。と。

僕のがんは手術では治らなかったのだ。
涙も見せずに、淡々と落ち着いて
事実を話してくれた妻に感謝している。

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