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読書記録|H・ギルバート・ウェルチ『過剰診断』

読了日:2021年6月1日

 医療の在り方を考えるきっかけになる一冊。医療の裏側がよくわかる。

 カットオフ値等の数値の変更、必要以上の検査や手術、見つけなくていいものを見つけて病人にし、多くの薬を処方される…といった過剰診断が以前から横行している。

 それは本当に患者を思ってのことか、それとも利益第一主義なのか。

 病院といえども”経営”をしている以上は利益を追うのは当然必要なことではあるが、そのために病気ではない人も過剰診断で”病人”に仕立ててしまってはいないか?

 最近の新型コロナウイルス感染症でも、こういったことが横行していたように思う。
 人や動物は常に細菌(菌やウイルス)曝露しているし、体内にも多くの種類と量の細菌を飼い(ひょっとしたら人や動物が細菌に飼われているのかもしれない)、それが健康な状態であるにも関わらず、何も症状がない人を検査し、その者から目的のウイルスを拾い、”発症(細胞感染)”はしていないのにただ在る(陽性)というだけで感染者扱いをし隔離する…
 それは全くもってひどい有様だった。経済にも甚大な影響が出て、人々は他人をまるで即死の感染症に冒された者かのように扱い、顔を隠すことが習慣となり…、振り返ってみても狂った社会としか思えない。

 「無症状(不顕性)感染」という言葉に世間は真新しさを感じ、そのウイルスに怯えていたが、細菌による「無症状(不顕性)感染」なんてものは経験してない人を探す方が難儀だ。
 例えばヘルペスウイルスは普段から殆どの人の体内に潜んでいて静かにしているが、疲労やストレスで体の免疫システムが崩れた時に発症する。
 「無症状(不顕性)感染」を感染者と見做すなら、ヘルペスウイルスを持っている人を感染者と呼び、感染者扱いをせねばならなくなる。
 陽性とは、そのウイルスが在るというだけで、細胞感染(発症した状態)とは別であり、発症した状態というのはくしゃみや咳、皮膚症状等で体内からウイルスを外へ吐き出している状態のことをいい、そうでないなら基本的に”感染者”ではない。

 先のパンデミックでは、基本的な知識もないままに、マスメディアやセンモンカの言葉を鵜呑みにした国民全体が起こした騒動といえよう。つまり人災である。

 そういった要素もあり今まで目に見えなかったことを可視化した結果、3年以上も続くパニックを起こした。
 それには、検査を過剰にやり続けた過剰診断による部分が大きかったように思う。

 本書は多少専門的ではあるが、図と合わせて解説されているので、医療の知識がない人でも内容は理解できるようになっている。
 自らも病気に過剰に怯えないために、ぜひ一読していだたきたい。

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