読書記録|田坂広志 『死は存在しない』
読了日:2024年9月14日
「量子力学って知ってる?この本おもしろいよ!」と知人に紹介れた。タイトルからして、最愛の人に先立たれたり、これから死を迎える人に向けられて書かれた本という印象を抱いたが、読んでみることにした。
内容は、死や我々の存在を科学的に、殊更”量子力学”の観点から説明をするのが主旨のものだが、全体的に著者の「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」に基づいて展開されていくため、結果的に科学的というよりはゼロ・ポイント・フィールドありきの世界を描いている、といった感想。
量子力学は元から私の興味のある分野ではあった。可視化できない(人類の目で捉えることのできない)粒子の波動(科学的意味での)が身の回りにあり、これが個人の想念によって人の形に見えて霊だの神だのに置き換えられているのではないか、というのが自分の元来の価値観。これらは原子(素粒子)によって生み出されていて、すなわちこの世界は、人類に見えるものは当然、”見えないもの”も全て原子が生み出しているエネルギーによって存在する、と思ってきた(当たり前のような話だが)。この”目に見えないもの”については、この本の内容と共鳴するところはあった。
大昔の若き頃、キラキラスピリチュアル(笑)や都市伝説のような類に傾倒していた時代もあって、その頃に、過去も今も未来も、この宇宙の全てが記録されているとされる「アカシックレコード」というフレーズを覚えたが、この本の著者が唱えるゼロ・ポイント・フィールドという概念の説明がまさにそれで、個人としては新しい発見はなかったのが正直なところである。
本書中に「夢」というワードが出てくるが、自分が今見ている景色は全て夢(意識的なものが見てる幻覚のような)で、自分が見知っている”世界”は自分自身から”宇宙”と言われるものの果てまで実存はしておらず、自分が死を迎えたら夢から醒めるように自分を含むこの世界ごと全部消えるのでは、という死生観を持っている私の「夢」とはニュアンスが少し違った。
また、死後にはゼロ・ポイント・フィールドに還るような説も、これは仏教などでも言われきた「ワンネス」とオーバーラップするので、ひょっとしてこの本の内容ってこれまでスピ界で語られてきたことの寄せ集め?と偏見混じりの憶測を持ってしまった。
ただ、冒頭で書いた通り、様々な形で死に直面してる人や、死そのものに恐怖を抱いているような人には、「こういう解釈の仕方もあるのか」「これが本当だとしたら自分が死んでも寂しくなはい」などと別の視野も生まれ、気持ちが楽になる人もいるのかもしれない。
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