僕の『時間の風景』
アウシュビッツ
「死だった。大人達がひそひそ囁き交わしていた秘密はセックスについてではなく、死についてだった。ルート・クリューガーは記す。彼女は1942年10歳の時、オーストリアの自宅からナチ強制収容所に連行された。アウシュビッツをはじめ三カ所の収容所に移され、脱走に成功したのは13歳の時だった。終戦後アメリカに渡り、ホロコーストについて問い続け、十数年の後、アウシュビッツを訪れる。そこで彼女が見たものは「修復をほどこした過去の恐怖の残りのような展示」「感じやすい同時代人は、