ゲーミフィケーションと心理学 -オペラント条件編-
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ゲーミフィケーションと心理学 -オペラント条件編-

 一般社団法人日本ゲーミフィケーション協会の田中です。
今回は、ゲーミフィケーションと心理学の関係を、オペラント条件づけというテーマでお話しします。

オペラント条件づけとは、刺激を与えることで自発的な行動変容を促す手法です。その中でも4種類の組み合わせがあります。

①正の強化(刺激を提示→行動の増加)
 例:褒めると、より勉強するようになる
②正の弱化(刺激を提示→行動の減少)
 例:怒られると、イタズラをやめるようになる
③負の強化(刺激を除去→行動の増加)
 例:怒られないように、より勉強する
④負の弱化(刺激を除去→行動の減少)
 例:お小遣いを貰えなくなるので、イタズラをやめるようになる

刺激行動

刺激も多種に渡りますが、大きな音や電気を与えて肉体に刺激を加える方法、言動(音量より内容)によって精神に訴えかける刺激があります。後者は、褒めるといったポジティブな刺激、怒るといったネガティブな刺激があります。ゲーミフィケーションは、「楽しみながら」を掲げているので、ポジティブな刺激を主に扱うことになります。なお、ネガティブな刺激を与えた場合、以下の様な弊害は発生します。
・慣れにより効果はだんだん弱まる
・ネガティブな刺激を与える人やその時の環境自体を嫌いになる
・ネガティブな刺激を与えなくなると、元に戻ってしまう
上記の理由により、ポジティブな刺激を与える方が望ましいと言えそうです。

刺激


正の強化を利用した行動療法があります。現在抱えている行動上の問題(恐怖症、習癖など)を、楽しい雰囲気の中で、スモールステップで、称賛やごほうび等を用いて、新しく適切な反応(感情や行動)を習得させる技法です。これは、「スモールステップ」=「達成可能な目標設定」、「称賛やごほうび等」=「称賛を演出」といったようにゲーミフィケーションの要素と合致します。

強化を与えるタイミングつまり称賛を演出するタイミングは、 反応直後でないと オペラント条件づけは一般的には成立しないとされています。つまりゲーミフィケーションにおける「即時フィードバック」が求められています。このタイミングが、固定されているのか変動するのか、強化の反応回数によって決まるのか時間の経過によって決まるのかという組合せの4パターンがあります。
⑴ 定間隔強化スケジュール (FI)
 例:自動給餌器・固定給・ログインボーナス
⑵ 変動間隔強化スケジュール(VI)
 例:魚釣・タイムセール
⑶ 定比率強化スケジュール(FR)
 例:歩合給/成果報酬・ポイントカード
⑷ 変動比率強化スケジュール(VR)
 例:当たり付き自販機・ギャンブル・ガチャ

反応間隔時間2

上記4パターンのうち、最も行動変容を促すのは「変動比率強化スケジュール(VR)」です。これを利用して効率よく習慣を獲得することも可能ですが、反面ギャンブル等も同じ様に人を引き込む設計をしているので注意が必要です。

時間反応数イメージ

変動比率強化スケジュール(VR)は、例えば「当たり」の時以外は「即時フィードバック」を返していないのではと感じるかもしれませんが、「ハズレ」というフィードバックをその場で返しています。人は同じ期待値だとしても固定より変動にされた方がより反応し、その習慣から抜けるのも難しくなります。もしお子さんに習慣化をさせたい場合は、例えば一回お手伝いすると10円渡すより、お手伝いをするとくじが引けて、そのくじは5回に1回50円が当たるという方法をとると、トータルで回数も金額も同じになるはずですが習慣化の効率が後者の方がいいことを上記グラフは示しています。「称賛を演出」することの「演出」には、このようなタイミング工夫をすることも含まれています。

今回のオペラント条件付けは、自発的な行動変容を促します。これはゲーミフィケーションの「能動的な参加」に該当します。とはいえ、所詮は与えられた外発的な刺激です。この外発的な動機(強化)による行動変容には限界があります。ある程度の成果が見られた段階で、外発的な動機(刺激)に頼るのではなく、自ら目標設定を行い、「成長の可視化」を行いながら、内発的な動機付けに切り替えていくタイミングも重要となりそうです。では、異なる心理学の手法や理論を活用することで「真の能動的な参加」に近づくことはできるのでしょうか?
(続編に続く)

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執筆:日本ゲーミフィケーション協会 監事  田中 祐樹
https://jgamifa.jp/


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