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30人のチームで世界を狙う。AI創薬ベンチャーが、事業・組織・個人の成長を楽しみながら目指す未来

新薬開発のネックとなる莫大な時間や費用を、AI(人工知能)の力で大幅におさえられる可能性を持つ、AI創薬事業。

AIとバイオ、そしてロボティクスを統合したバイオ医薬品の分子設計技術を製薬企業へ提供しているベンチャー、株式会社MOLCUREのコーポレート責任者である吉崎岳さんにお話をうかがいます。

経理畑一筋でキャリアを積みあげた吉崎さんは、なぜ40代からベンチャーへ挑まれたのか。
組織拡大中ベンチャーならではの課題。
そして、MOLCUREが目指す未来とは。

担当はJAPAN FASの俵家と大沢です。



キャリアの先輩をご紹介

株式会社MOLCURE
Vice President of Corporate, Finance

吉崎 岳 氏

横浜国立大学経営学部卒
2001年 株式会社日立製作所 入社
2008年 PricewaterhouseCoopers 入社
2012年 株式会社リクルート 入社
2020年 株式会社BONX 入社
2022年 株式会社MOLCURE 入社


※所属・役職は取材当時のもの


ベンチャーしか見ていなかった


――まず、「AI創薬ベンチャーへの転職」という道を選んだ理由をうかがってもよろしいですか?


MOLCUREは、転職エージェントに紹介してもらって知りました。

前職もベンチャー企業で、しくみや制度をゼロイチでつくれることにやりがいを感じていましたし、バックオフィス全般に担当できるのがいいなと思っていたので。転職活動時には40歳を過ぎていましたが、ベンチャーしか対象にしていなかったですね。

ずっと大切にしてきた価値観として「半径5メートル以内にいる人を幸せにしたい」という想いがあります。
そもそも幸せってなんだろう? と考えてみたときに、「心と体が健康であることが幸せのベースである」という考えに至り、健康に寄与する医療業界で働きたいと強く思いました。

業界を絞って選考を受けていくつか内定をいただいたなかで、MOLCUREがおこなう創薬事業の社会貢献度の高さに惹かれて、入社を決めました。

あらためてキャリアを振り返ってみると、年を重ねるにつれて「社会課題解決に寄与する会社で働きたい」というほうへ軸が変わっていったように思います。


バランスのとれた経営陣


――そのような経緯で入社されたMOLCURE社の経営陣は、吉崎さんから見て、どんな方々ですか?


CFOの根岸と私はベースとなる価値観がとても似ており、コミュニケーションがとりやすく合意形成がスムーズにできて、仕事が非常にやりやすいです。

ふたりとも合理的傾向が強く、「ベンチャーってスピードやアウトプットが重要だよね」という価値観を持っていて、こちらが1言えば8、9は伝わっているなと感じるくらい、似ているなと思います。

一方で、CEOの小川とCSOの玉木はアカデミア出身で論理的思考力が強いです。サイエンティストということもあって、ゼロイチの発想でアイデアを出してくれます。「そんな考え方もあったんだ」と新たな気づきが多く、刺激を受けますね。


彼らの得意な分野が、事業会社出身の根岸や私とは異なっており、社内でいい役割分担ができていると思います。

研究や技術面は小川と玉木が中心となってリードし、制度やガバナンスなど会社運営に関することは根岸と私の提案がスッと受け入れてもらえるような環境です。

薄れないチャレンジ精神

――新卒から前職までのお話も聞かせていただけますか。

若いころは、さまざまな経験を積めることなど成長を重視した会社選びをしていました。

軸として持っていたのは「ベーシックスキルを強めたい」。
ただずっと根底にあるのは、「ワクワクできるか」。

未経験の分野にチャレンジしたい気持ちは、今も昔も変わりません。

新卒で日立に入社し、最初は工場の経理部門で原価計算や管理会計を担当し、次に海外商品を企画する部署へ移り、東南アジアの工場に行って現地の人たちとやりとりをする機会を得ました。

7年間がんばって働いて、「自社で得られるスキルはある程度備わったかな。やれることはやったな」と感じるようになったのです。

そして「他社も見てみたい。いろんな経験をしたい」という気持ちが生まれて、コンサルティング業界へ転職することにしました。
普遍性のあるスキルを身につけたいという気持ちもあったのかもしれません。


――ベンチャーやスタートアップ企業への興味を持ち始めたのは、いつごろですか?


ベンチャーに興味を持つようになったきっかけは、3社目のリクルート社での経験からです。

リクルート入社後、IPOプロジェクトにアサインされてⅠの部・Ⅱの部の作成や規程の導入などをしていました。
2017年、新規事業に特化している社員数100人規模の子会社へ出向になりました。経理体制が整っていない子会社へ出向させてほしいと、自分から人事部に掛けあったという経緯です。

小さな会社で机を並べながら、経理経験が少ない人たちといっしょに業務の可視化をしたり未整備業務を整えたりしていきました。それだけでなく、内部統制や法務といった幅広い業務を経験できました。

そのときに新しいしくみをつくる楽しさを知ったことによって、自分の価値観が明確になったように思います。

自然な流れで、次の転職先としてベンチャー企業を考えるようになりました。

「事業を前進させる」という大事な役割


――現職ではどんな業務を担当されていますか?


業務範囲はバックオフィス全般ですが、「事業を前進させること」が今の自分に期待されていることだと認識しています。攻めを重視する時期なのかなと。

攻めといってもいろいろありますが、とくに意識しているのは事業への投資です。
コストを下げるために工数をかけるよりも、早く、かつ複数回アウトプットできるように伴走しています。

たとえ話ですけど、ロボット開発において、予算を意識しすぎるあまり開発・製作に時間がかかるような状況が起きたとしますよね。そのときに「あと数百万円出したら、もっと早まりますか?」ということを私からヒアリングしていき、もしも「早まる」という返事だった場合には、実際に投資をします。

攻守のバランスやキャッシュバランスを考慮することはもちろん重要ですが、「事業を前進させるために必要な投資はしましょう」と、メンバーにきちんと伝えて実行していくことが、大事な役割のひとつだと思っています。

――いま抱えている課題はありますか?

もっとも苦労していることは、チーム作りですね。

事業を推進するための余力が厳しくなってきていると感じていて、新たな知見やキャパシティをもたらしてくれるメンバーをもっと増やしていきたいです。推進スピードを上げるためにマネジメントのニーズが高まってきていると感じており、内部からの登用や外部からの採用でマネジメントを強化したいと考えています。

さらに、チーム作りを支える人事制度も絶賛構築中です。事業だけでなくメンバーも成長するための、MBO(※Management by Objectives、目標管理制度)をどうするか? どうやって評価するのか? 給与にどうやって反映させるのか? という制度作りが、おもな課題です。

人事労務のプロフェッショナルがいないので、本をごそっと読むなどして手探りでやっています。

――その一方で、ファイナンス面は順調だとお聞きしましたが。

そうですね、最近もデッドファイナンスで調達できました。

バイオ分野は理解することが難しいこともあり、積極的ではない金融機関もあります。正直、内部にいる私でもバイオって理解するのが難しいなと思いますね。

AI創薬という不確定要素が多く投資先行型のビジネスにも関わらず融資してくださったことに、非常に感謝しています。

引き続き、エクイティファイナンスに取り組んでいきます。


世界的にも稀有な事業・ダイバーシティ&インクルージョン・挑戦できる環境


――吉崎さんが思う、MOLCURE社の特長を教えてください。

当社の事業はAI×バイオ×ロボットという事業モデルで、世界でも非常に稀有で、おもしろいです。

それから、ダイバーシティを受け入れやすい会社ですね。当社メンバーの半分は外国人で、性別も宗教も本当にさまざまです。社内メンバーとの会食には、フードダイバーシティに対応してくださるお店を選びます。

英語を使う機会があるのも当社の特長です。
全社向けには英語・日本語の2言語併記で発信し、月に1度の定例会議は英語で話す、というルールがあります。

使いたい人はどんどん使えますし、人によっては必要最小限で済みますし、使用頻度はその人次第だと言えますね。


――日本語がまったく話せなくても問題ないですか?


本音を言ってしまうと、バックオフィスとしては日本語ができる方が望ましいです。

今いるバックオフィスメンバーは全員日本人で、人事系のセンシティブな内容を扱うこともあって、そこを英語ですべて伝えきれるかと考えたときに……ちょっと自信がないです。

――どんな方に仲間に加わってほしいとお考えですか? また、コーポレートの新しいメンバーに期待したいことはなんでしょう?


当事者意識をもって自走できる方ですね。手を挙げてくれる人にどんどん業務をおまかせしていくカルチャーの会社なので、まかせてもらってゼロベースで業務フローを作れるところに魅力を感じてもらえると思います。

また、上場レベルの経理処理に向けたプランニング、整備できていない業務フローの制定などをやっていただきたいなと考えています。
周囲を巻きこみながらコミュニケーションを取り、インパクトを出すような役割を期待します。


ぶっちゃけ経理は、どこもやることは大きく変わらないんです。医薬業界の経験がなくても、基本的に大丈夫だと思います。

ただ、急成長している企業を内側から経験できるというのはめったにない機会ですし、自分次第で成長機会はたくさんあり、キャリアを考えてスキルや経験値をあげたい方にとってはすごくいい環境だと思いますね。


この大変さとおもしろさが味わえるのは、今だけ


――会社の急成長を実感するのはどんなときですか。

コーポレートとしてわかりやすいのは、お客様が確実に増えていることです。それも、だれもが知っているような、世界のトップランキングに位置する企業から引き合いがきています。

組織が順調に拡大している点も成長を感じています。従業員数は現在35名を超えました。

サイエンティストやエンジニアの工数管理をし始めたところだったり、複雑な課題が増えてきていたり、そういったことにも急成長を実感します。


やらなければならないことがたくさんあるなかで、事業フェーズにあった施策を優先順位をたてて組み立てていくのが、今の、この会社のおもしろさです。

大企業と比べると整っていないことはたくさんあるし、あらゆるボールを拾っていかないといけないので大変ですが、仲間とコミュニケーションを取りながら乗り越えていきたいと思っています。


AI創薬のデファクトスタンダードへ


――それでは最後に、MOLCURE社の今後の展望を教えてください!

今後も成長が見込まれるバイオ医薬品市場で、AI・バイオテクノロジー・実験自動化ロボットのループのさらなる進化を通じて、優れた医薬品候補を生みだしていきます。

そして、国内外の製薬企業・バイオテックとの共同研究パイプラインを着実に増やし、MOLCUREがAI創薬のデファクトスタンダード(※)になると同時に、3万以上ある有効な治療薬のない疾患を無くしていくことに貢献していきたいです。

※デファクトスタンダード:公的な標準化機関からの認証ではなく、市場における企業間の競争によって、業界の標準として認められるようになった規格

引用:野村総合研究所 ナレッジインサイト 用語解説

吉崎さん、ありがとうございました!


株式会社MOLCURE|https://molcure.com/


「人工知能・進化分子工学を統合したペプチド・抗体分子設計技術」を製薬企業・バイオテック企業に提供し、医薬品の共同研究パイプラインを多数構築することで、新規医薬品創出の加速に貢献するスタートアップ企業。


※写真はすべてMOLCUREオフィスにて撮影
※写真撮影時のみマスクを外していただきました


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企画/JAPAN FAS株式会社
写真・文/Yui Osawa


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