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経済に関するメモ(13) 【デリバティブ】

本メモは経済の基礎的な内容に関するメモです。


1. デリバティブ

…先物取引、スワップ取引、オプション取引

1-1. 経済の見方
・為替を見る
→債券・金利を見る
→株式を見る
→コモディティを見る
→デリバティブを見る


1-2. スペキュレーション(投機)
…リスクをとって相場の先行きを当てることで損益を得る取引


1-3. アービトラージ(裁定取引)
…実際の価格と理論値の乖離を利用した取引・裁定取引
→アービトラージの余地があるのは
❶先物価格・現物価格・金利の関係に歪みが生じている場合
❷プットコールパリティに歪みが生じている場合
❸同様の経済効果をもたらす商品間に価格差が生じている場合


1-4. ヘッジ
…リスクを回避しつつスプレッド収益を積み上げる取引


1-5. 限月
…取引期限、当限、2 番限、、、

→どれくらいの取引期間を想定するか、どこの限月に投資するかが重要、別の金融資産
→年末までに価格上昇すると考えれば12月限を取引する


1-6. 限月間スプレッド
…当限と2番限の差
→下にいけばコンタンゴ 、上にいけばバックワーデーション


1-7. コンタンゴ(順ザヤ)
…現物価格が低く、先物価格が高くなる
→需要少ない・供給多い、先物になるほど費用や金利がかかる
→期先物売り、期近物買いで儲け、貯蔵コストを上回れば儲かる、通常は底入れサイン


1-8. バックワーデーション(逆ザヤ)
…現物価格が高く、先物価格が低くなる
→需要多い・供給少ない、現物での買い意欲が高い、将来の需給緩和期待


2. 先物取引 11項目

2-1. 先物取引
…原資産を将来の受渡日にあらかじめ約定された価格で決済する取引

→値洗いが行われポジションの解消は満期までに現在のポジションの反対取引で行える
→将来に関する市場取引であるため確実に取引を行うための工夫が必要

・売り手の損益
決済日の市場価格>約定価格→損失
決済日の市場価格<約定価格→利益

・買い手の損益
決済日の市場価格>約定価格→利益
決済日の市場価格<約定価格→損失


2-2. 先渡取引(フォワード取引)
…先物取引と同様だが顧客ニーズに合わせたものがディーラーの仲介により行われる取引
→原則として現物決済が行われる
→先物取引と先渡取引は、取引書取引か店頭取引かという点で取引形態は異なるものの経済的効果は同様である


2-3. ex) 先物取引の値洗い・証拠金
t=0、$${x_{f0}}$$=22000円
→1000枚買い→2億2000万円
維持証拠金800万円

t=1、$${x_{f1}}$$=21900円
→2億1900万円−2億2000万円=−100万円
維持証拠金700万円

t=2、$${x_{f2}}$$=21950円
→2億1950万円−2億1900万円=50万円
維持証拠金750万円

t=3、$${x_{f3}}$$=21930円
→2億1930万円−2億1950万円=−20万円
維持証拠金730万円

t=4、$${x_{f4}}$$=21600円
→2億1600万円−2億1930万円=−330万円
維持証拠金400万円


2-4. ex) 先物価格の決定
現物価格x、投資期間T、年利r
→t年後$${x(1+r)^T}$$、複利では$${(1+\frac{r}{t})^T}$$

$$
x_f=x  e^{-rt}
$$


2-5. 為替の先物価格
…現物価格に通貨間の金利差を反映、現物の等価のCFを各通貨で運用した元利合計から


2-6. ex) 為替の先物価格
現物レート150.00円/ドル、決済日12ヶ月後
円金利0.6%、150.00円/ドル→150.90円/ドル
ドル金利5.5%、1.00ドル/150.00円→1.055ドル/150.00円

先物レート$${\frac{150.90円}{1.055ドル}}$$=143.03円/ドル


2-5. 先物為替予約
❶スポット
…約定の2営業日後に受渡を行う為替取引

❷スワップ
…現物為替と反対方向の先物為替、約定対象は為替レート差


2-6. ex) 先物ドル売り、12ヶ月後決済、為替予約1万ドルを複製
現物レート150.00円/ドル、12ヶ月物現売スプレッド1.40円/ドル

❶スポット市場で1万ドルを150.00円/ドルで売る
決済日=スポット日
ドル売り150.00円/ドル・1万ドル=150万円受け取る

❷スワップ市場で現物買い・先物売り、先物レート143.03円/ドル
現物買い
決済日=スポット日
ドル買い150.00円/ドル・150万円=1万ドル受け取る

先物売り
決済日=3ヶ月後
ドル売り143.03円/ドル・1万ドル=143.03万円受け取る


2-7. 金利の先物価格
…直物価格よって規定されず、スタート日までの金利と期間エンド日までの金利から逆算


2-8. ex) 3ヶ月物Tibor、6ヶ月後にスタート
6ヶ月物Tibor=0.57%、9ヶ月物Tibor=0.61%
→フォワードレートを考える
$${r_{6,9}=\frac{(\frac{1.61\frac{9}{12}}{1.57\frac{6}{12}})-1}{\frac{3}{12}}}$$=0.568%

→金利先物価格に換算
$${100-(0.568\frac{360}{365})=99.44}$$


2-9. ex) 円短期金利先物でのアービトラージ
2024年10/13、Tibor先物、2024年12限、価格99.82
2024年12/15〜の3ヶ月物Tibor=0.18%

→2営業日後に受渡より
2024年10/15に受渡を行う預金金利
1ヶ月=0.0907%、2ヶ月=0.0943%、3ヶ月=0.2879%、6ヶ月=0.2671%
→年末をまたぐ金利が高い
→3ヶ月と6ヶ月から5ヶ月を考える
5ヶ月=0.2879+(0.2671-0.2879)$${\frac{2}{3}}$$=0.2740%

2024年12/15〜の1ヶ月物Tibor
1.2879$${\frac{3}{12}}$$=(1.0943$${\frac{2}{12}}$$)(1+r$${\frac{1}{12}}$$)
r=0.675%

2024年12/15〜の3ヶ月物Tibor
1.2740$${\frac{5}{12}}$$=(1.0943$${\frac{2}{12}}$$)(1+r$${\frac{3}{12}}$$)
r=0.394%

→2024年10/13時点での「2024年12/15〜の3ヶ月物Tibor」は0.214%低い水準になっている


2-10. 株式・コモディティの先物価格
…現物価格に先物決済日までの金利を乗せたもの


2-11. ex) 金の先物価格
金現物価格2000円、3ヶ月後先物決済、金利0.40%

金先物価格=2000(1.004$${\frac{3}{12}}$$)=2019.95円


3. スワップ取引 16項目

3-1. スワップ取引
…当事者間で経済価値が等しいと判断したCFを交換する取引


3-2. ex) 先物取引とスワップ取引
為替現物レート150.00円/ドル、期間3ヶ月(90日)、円金利1.5%、ドル金利4.0%

先物レート$${100\frac{1.015\frac{90}{360}}{1.04\frac{90}{360}}}$$=99.38

最安銘柄90、交換比率$${C_f}$$0.9、クーポン9、$${r_f}$$=3.0%

先物価格
$${{x_fC_f}=(90-4)(1+r_f)^5}$$
$${x_f}$$=1141.2


3-3. 通貨スワップ取引
…異なる通貨間の元利を交換する


3-4. 金利スワップ取引
…固定金利と変動金利を交換する


3-5. 金利スワップ取引の性質
❶オフバランス性
❷信用リスク、被信用リスクの軽減
❸転売、精算
❹差金決済
❺高い市場流動性
❻柔軟性


3-6. 金利リスクをとるためのコスト
❶自己資本比率の低下
❷クレジットスプレッド
❸決済事務
❹事務ミスによる損害
❺現物保管
❻取引スプレッド


3-7. 金利計算要素
❶利払いサイクル
…QA(3ヶ月ごと)、SA(6ヶ月ごと)、PA(12ヶ月ごと)

❷日数計算
…マネーベース(日数/360)、ボンドベース(日数/365 or 30/360)、単利や IRR


3-8. 金利スワップ取引の信用リスク
…相手型が契約を履行しないことによる損失
→将来の受取金利と支払金利の差額


3-9. 金利スワップの取引手順
❶取引対象とする金利スワップの特定
❷ブローカーへの発注(直接取引の場合は④へ)
❸ブローカーからの取引相手が出現した旨の連絡
❹取引相手の信用リスク調査(期間と想定元本によるクレジットライン管理が一般的)
❺発注・合意した固定金利レートで約定
❻口頭で取引内容の確認(コンファーム)
❼Fax や書面での取引内容の確認
❽契約書の締結


3-10. プレーンバニラの金利スワップを特定するための要件
❶固定金利をPayかReceiveか
❷期間(spot date(2 営業日後)から1〜10年と短期先物金利の4連続限月に対応した1年)
❸名目元本価額
❹固定金利の金利水準
❺固定金利の利払いサイクルと日数計算方法
❻変動金利の指標(基本的に LIBOR)
❼利払い日の設定と休日の取り扱い
❽資金決済方法、契約書等の事務処理方法


3-11. ブローカー利用
❶発注前にブローカーが持っているプライス(積極的な両サイドの指値)と地合いの確認
❷発注は直通回線電話か外線電話、海外は電子通信機器(ロイターディーリングシステム等)
❸複数ブローカーへ注文して約定可能性を高めてもいいが全て約定する可能性もある
❹取引相手の属性などについてあらかじめ注文
❺発注後にブローカーを通じた価格交渉となることもある
→メリット、短時間のうちにそこそこ競争力のある取引相手が見つかる
→デメリット、取引執行前に市場が動く恐れがある、手数料


3-12. ブローカーに指値する際の注意点
・Firm
…発注を取り消すまでいつでも指値したレートで取引に応じる義務を伴う発注

・Indication
…約定直前に取引意思を確認、指値の段階では取引意思を伴わない発注


3-13. マーケットメーカー
…直接取引の発注先、常に売りと買いの両サイドの価格を提示する、取引スプレッドが収益


3-14. ISDA 契約書
…ISDA が作成した金利スワップ取引の契約書雛形、Master Agreement(包括的)と Supplement(補完的)


3-15. 金利スワップ取引の時価計算
・金利計算のベース
…複利

・CFの時価の考え方
…現在価値、金利スワップ取引は交換される金利のCFの現在価値が等しい

・IRR
…単利では見えないCFの発生時点の差による運用成果の違いを反映させた複利利回り

・複利係数 Compound Factor
…現時点の1の価値が将来においていくらの価値になるか

$$
Compound  Factor=1+複利運用益
$$

・割引係数 Discount Factor 
…将来の1の価値が現時点においていくらの価値になるか

$$
Discount  Factor=\frac{1}{ Compound Factor}
$$

・NPV、純現在価値
…現時点から発生する全ての CF のネット現在価値、NPV=0が原則

・補間、Interpolation
…市場で建値の対象になっているポイントの間に存在するポイントの建値を補うこと

・スポットレート、Spot rate、ゼロクーポンレート
…中間利払いがない CF の年利

$$
(1+Spot rate)^t=Compound  Factor
$$

・フォワードレート、Implied Forward rate
…LIBORと金利スワップ建値から逆算した将来のある期間の金利理論値


・時価評価
…損益管理の基礎となる、金利リスク(ポートフォリオの評価損益の変動)をコントロールするため

・管理上の損益、パフォーマンス
管理上の損益 =財務上の損益(実現損益)+評価損益(予定される潜在的損益)

・財務上の損益
…経理ルールに基づき損益計算書に上げられ、法律に基づき投資家や預金者に開示されるべき単年度の損益
→評価損益は含まれない、税務処理の基礎


3-16. 金利スワップ取引の時価計算方法
❶取引から予定される全CFのNPVを算出
…計算負荷が大きい
→固定金利のCFは満期まで確定
→変動金利のCFは市場実勢金利からフォワードレートを計算し利払い毎に CFを計算

❷資金平残ラダー表に基づくポートフォリオ時価の表計算シートによる簡易計算
ⅰ) 金利確定部分につき、3ヶ月ごとのポートフォリオの運用・調達ネット平残ラダー表の作成
資金取引、運用サイド
金利スワップ取引、Receiveサイド
金利先物取引、買いサイド
ポジション、各ラダー期間のネット平残
持ち値、各ラダー期間平残の平均金、平残期間に応じて表示

ⅱ) 各ラダー期間に対応するフォワードレートを算出
…金利スワップの市場建値を補間してスポットレート、金利スワップレート
→複利係数
→各ラダー期間でフォワードレート

ⅲ) 各ラダー期間に内在している期間損益(FV)を算出
期間損益FV=各期間のネット平残 × (各期間平残の平均金利−各期間のフォワードレート) × 日数計算

ⅳ) 期間損益(FV)の現在価値を算出
$${\sum \frac{各期間のFV}{対応する複利係数}}$$ 


4. オプション取引 58項目

4-1. オプション取引
…ある原資産を、予め決めた期日(満期、行使期日)の
予め決めた時刻(カットオフタイム)までに
予め決めた価格(行使価格)で売る権利(Put)や買う権利(Call)の売買取引
→Exercise(権利行使)、Expire(権利失効)


4-2. アメリカンタイプ
…満期日前にいつでも権利行使可能


4-3. ヨーロピアンタイプ
…満期日にのみ権利行使可能


4-4. なぜオプションか?
…単純な為替や金利によるヘッジでは他の人も複製できるので安売り戦争となってしまう


4-5. 現物とオプション
❶リスク要因
…現物は相場の方向性、オプションは相場方向性に加えて変動の幅と時間

❷ヘッジコスト
…現物はいくらに収まるかわからない、オプションはオプション料

❸市場相場のリスク
…現物は方向性にしかリスクを取れない、オプションは変動性にリスクを取れる

❹行動
…現物は~円まで上がりそうだから買い、オプションは~円以上にならなそうだからCallの売り


4-6. 損益
・インザマネー
…利益が出ている、本源的価値あり

・アットザマネー
…損益がゼロ、本源的価値なし

・アウトザマネー
…損失が出ている、本源的価値なし


4-7. オプション価格(オプションプレミアム)
…本質的価値+時間価値
→コールオプションの価値は原資産の市場価値が高くなるほど大きくなる、本質的価値が大きくなるため
→アウトザマネー・インザマネーが進むほどオプションの権利行使可能性は0%・100%に近づく
→オプションの選択権の意味合いが薄れ原資産のポジションに近い存在になる


4-8. 本質的価値
…今権利行使を行ったときに得られる価値
→原資産価格と権利行使価格の差額


4-9. 時間的価値
…今権利行使をした場合と比較して将来の期待利益として得られる価値
→オプション価格と本源的価値の差
→満期日が近づくにつれ減少し、満期日にはゼロになる


4-10. 時間的価値を生む要因
❶行使期限までの期間T
…長ければ大きい、短ければ小さい
→長いほど相場変動の確率は高くなりプレミアムは大きくなる

❷市場価格の予想ボラティリティσ
…高ければ大きい、低ければ小さい
→大きいほど相場変動の期待は大きくなりプレミアムは大きくなる

❸行使期限までの金利 r
…低ければ大きい、高ければ小さい
→低いほど借入費用が小さくなりプレミアムは大きくなる


4-11. 差金決済取引
…差額だけをやり取りする


4-12. コールオプション
…原資産の価格が上がった後に、原資産を上がる前の価格で買える
→権利行使されると買われる、買う権利

❶原資産の価格が上がった場合
市場価格25000円、権利行使価格25500円
市場価格26000円になる、SQ値

・コールの買い
…約束した権利行使価格25500円で売ってもらう、買うかどうかの決定権あり
→権利金、プレミアムを売り手に渡す、200円
→26000-25500-200=300

・コールの売り
…市場価格26000円なのに約束した権利行使価格25500円で売れと言われたら売る、プレミアムは返さなくていい、200円
→25500-26000+200=-300

❷原資産の価格が下がった場合
市場価格25000円、権利行使価格25500円
市場価格24500円になる、SQ値

・コールの買い
…権利を行使しない
→権利金、プレミアムを売り手に渡す、200円
→0-200=-200

・コールの売り
…売らなくていい、プレミアムは返さなくていい、200円
→0+200=200


4-13. プットオプション
…原資産の価格が下がった後に、原資産を下がる前の価格で売れる
→権利行使されると売られる、売る権利

❶原資産の価格が下がった場合
市場価格25000円、権利行使価格24500円
市場価格24000円になる、SQ値

・プットの買い
…約束した権利行使価格24500円で買ってもらう、売るかどうかの決定権あり
→権利金、プレミアムを買い手に渡す、200円
→-(24000-24500)-200=300

・プットの売り
…市場価格24000円なのに約束した権利行使価格24500円で買えと言われたら買う、プレミアムは返さなくていい、200円
→-(24500-24000)+200=-300

❷原資産の価格が上がった場合
市場価格25000円、権利行使価格24500円
市場価格25500円になる、SQ値

・プットの買い
…権利行使を行使しない
→権利金、プレミアムを買い手に渡す、200円
→0-200=-200

・プットの売り
…買わなくていい、プレミアムは返さなくていい、200円
→0+200=200


4-14. ポートフォリオインシュアランス
…株式から生じる損失を補償するオプションの組み合わせを考える
→株価下落可能性から株式を守るために売却が考えられる
→株価上昇時の利益獲得可能性まで諦めてしまう
→オプションの始まりは保険


4-15. プロテクションプット
…株式を守るためにプットの買いを行うこと

・株価Sが45ドル未満に下がる可能性
→権利行使価格Kが45ドルのヨーロピアンプットを買う
→株価Sが45ドルより上がった場合は株式のみを保有することになる
株価Sが45ドルより下がった場合はプットを権利行使し45ドルで株式を売却する


4-16. 債券とコールオプションの買い

・株価Sが45ドル未満に下がる可能性
→額面価格が45ドルのゼロクーポン債と権利行使価格Kが45ドルのヨーロピアンコールを買う
→株価Sが45ドルより高い場合はコールを権利行使し、権利行使価格Kの45ドルに債券からの額面受取りを充当して株式を買うことができる
株価Sが45ドルより低い場合は45ドルで債券からの額面を受取る


4-17. プットコールパリティ
…プットとコールは本質的に等価であることを表す式
→プットはコールから作れるし逆もしかり
→コールはレバレッジをかけた原資産のポジションに価格下落時の保険であるプットを加えたもの
→コールオプションの価格C、プットオプションの価格P

$$
C=S-K+P
$$


4-18. 権利行使価格Kと株価S
・他の条件が同一であれば
権利行使価格Kが低くなると、コールは高くなる・プットは低くなる
権利行使価格Kが高くなると、コールは低くなる・プットは高くなる

・権利行使価格Kが一定であれば
株価Sが高くなると、コールは高くなる・プットは低くなる
株価Sが低くなる、コールは低くなる・プットは高くなる


4-19. CDS
…特定の会社がデフォルトした時に一方の当事者からもう一方へあらかじめ定められた金額が支払われる


4-20. CDS のプレミアム
返済に必要な額>企業の資産価値
→企業価値が下がればプットはインザマネーとなり権利行使して差額を受け取る

返済に必要な額<企業の資産価値
→企業価値が上がればプットは無価値となるが返済に必要な額が手元に残る


4-21. CDSは企業の将来見通しとデフォルト可能性に対する投機手段として用いることができる
…当事者間の相対取引であるため買い手がポジションを解消したくなってもできない
→新しい当事者との間でポジションを相殺するために新しいCDS 契約を結ぶ
→正味のエクスポージャーは増加しなくてもそれぞれの取引に対して契約が生成されていくことに注意


オプションの評価

4-22. ❶二項オプション評価モデル
…1期間で株価Sは2つの値のいずれかしかとらないという世界を仮定し、
この仮定の下でリスクのない債券と株式から構成されるポートフォリオによりペイオフを複製するモデル

・一物一価の法則を用いることで二項ツリーの各状態に至る確率を知ることなく価格を求めれる
…各状態に至る確率は参加者の信念の一部であるため見積もることは難しい

・それぞれの点の間隔を短くして二項ツリーの時点の数を増やすことで現実的なモデルを構築
…コンピューターであれば数千の期間であっても短い時間で価格を計算できる

・株式の単位数Δと債券の単位数Bを連立することで価格を求める$${Δ=\frac{C_u-C_d}{S_u-S_d}, B=\frac{C_d-S_dΔ}{(1+r_f)}, C=SΔ+B}$$
$${SΔ+B=(S_uΔ-f_u)}$$

$$
C=\frac{e^{-rt}-d}{u-d}
$$


4-23. ex) コールオプションの計算
株価S…50ドル、権利行使価格K…60ドル、金利r…3.0%、満期T…2年

→2年目上昇した時、3年目から2年目の価値を求める
$${Δ=\frac{C_u-C_d}{C_u-C_d}=\frac{0-6}{72-54}=-0.3333}$$
$${B=\frac{C_d-S_dΔ}{1+r_f}=\frac{6-54(-0.3333)}{1.03}=23.30}$$
$${C=SΔ+B=60(-0.3333)+23.30=3.3}$$ 3.3ドル

→2年目下落した時、3年目から2年目の価値を求める
$${Δ=\frac{C_u-C_d}{S_u-S_d}=\frac{6-19.5}{54-40.5}=-1.0000}$$
$${B=\frac{C_d-S_dΔ}{1+r_f}=\frac{19.5-40.5(-1.0000)}{1.03}=58.25}$$
$${C=SΔ+B=45(-1.0000)+58.25=13.25}$$ 13.25ドル

→2年目から1年目の価値を求める
$${Δ=\frac{C_u-C_d}{S_u-S_d}=\frac{3.3-13.25}{60-45}=-0.6633}$$
$${B=\frac{C_d-S_dΔ}{1+r_f}=\frac{13.25-45(-0.6633)}{1.03}=41.84}$$
$${C=SΔ+B=50(-0.6633)+41.84=13.25}$$ 8.68ドル


4-24. ❷ブラックショールズのオプション評価モデル
…二項オプション評価モデルの時間間隔と1期間あたりの株価の動きをゼロに近づけ、期間の数を無限大に増やすことで導かれるモデル

・N(d)
…標準正規分布の累積分布関数、正規分布に従う確率変数がdより小さい確率

$$
d_1=\frac{log\frac{S^*}{K  e^{-rt}}}{σ\sqrt{T}}+\frac{σ\sqrt{T}}{2}, d_2=d_1-σ\sqrt{T}
$$

$$
Δ=N(d_1), B=-K  e^{-rt}  N(d_2)
$$

$$
C=S^*Δ+B=S^*  N(d_1)-K  e^{-rt}  N(d_2)
$$


4-25. ex) コールオプションの計算
株価S…30ドル、権利行使価格K…20ドル、金利r…4.0%、
満期T…1年、ボラティリティσ…20%、配当利回りq…5.0%

$${S^*=\frac{S}{1+q}=\frac{30}{1.05}=28.57}$$
$${K  e^{-rt}=\frac{K}{1+r}=\frac{20}{1.04}=19.23}$$

$${d_1=\frac{log\frac{S^*}{K}}{σ\sqrt{T}}+\frac{σ\sqrt{T}}{2}=\frac{log\frac{28.57}{19.23}}{0.2\sqrt{1}}+\frac{0.2\sqrt{1}}{2}=2.08}$$
$${d_2=d_1-σ\sqrt{T}=2.08-0.2\sqrt{1}=1.88}$$

$${N(d_1)=0.030}$$
$${N(d_2)=0.018}$$

$${C=S^*  N(d_1)-K  e^{-rt}  N(d_2)=28.57(0.030)+19.23(0.018)=9.37}$$ 9.37ドル


4-26. インプライドボラティリティ、予想ボラティリティ σ
…オプション価格から逆算して求められたボラティリティ


・ブラックショールズモデルのパラメータのうちボラティリティだけは観察できないため推定する
→ボラティリティが時間経過とともに変化しないと仮定すると満期日が異なるオプションを評価できる


4-27. 現在コールオプション価格
…満期価格が権利行使価格を上回る期待値−権利行使による取得費用の期待値
→原資産価格の変動でオプション価格が瞬間的にどのように変化するかを求める必要
→オプションの価格式を原資産価格で偏微分
→デルタ


4-28. デルタ Delta
…原資産価格の変動に対するオプション価格の変化量
→Sが1.0%上昇すると、Cは~%上昇する
→原資産価格が権利行使価格を上回る確率

$$
Delta=e^{-rt}  N(d_1)
$$

デルタ+0.100、原資産が100円上がるとオプション価格は10円上がる、上回る確率10%
デルタ+0.300、原資産が100円上がるとオプション価格は30円上がる、上回る確率30%
デルタ-0.1、原資産が100円上がるとオプション価格は10円下がる、下回る確率10%
デルタ-0.3、原資産が100円上がるとオプション価格は30円下がる、下回る確率30%

→逆行リスクを相殺するのに必要な原資産の数量
→デルタニュートラル、変動の方向性ではなく変動の大きさを予想して利益を出せる、ボラティリティでリスクをとれる


4-29. ガンマ Gamma
…原資産価格の変動に対するデルタの変化量
→Sが1.0%上昇すると、デルタは~%上昇する

$$
Gamma=\frac{e^{-rt}  N(d_1)}{S_0  σ\sqrt{T}}
$$


4-30. シータ Theta
…時間経過に対するオプション価格の変化量

$$
Theta=\frac{S_0  e^{-rt}  N(d_1)  σ}{2σ\sqrt{T}}+S_0  e^{-rt}  r  N(d_1)-K  e^{-rt}  r   N(d_2)
$$


4-31. ベガ Vega
…予想ボラティリティの変動に対するオプション価格の変化量
→σが1.0%上昇すると、オプション価格は~%上昇する

$$
Vega=S_0  e^{-rt}  N(d_1) \sqrt{T}
$$


4-32. ロー Rho
…リスクフリーレートの変動に対するオプション価格の変化量
→$${r_f}$$が1.0%上昇すると、オプション価格は~%上昇する

$$
Rho=K  e^{-rt}  N(d_1)  T
$$


4-33. ❸リスク中立確率によるオプション評価モデル

・二項オプション、ブラックショールズオプション評価モデルは各状態に至る確率を知らなくて良い
→確率を知っていた場合は期待ペイオフを資本コストで割引いて計算するが資本コストの推定は難しい
→参加者がリスク中立的だと仮定すると資本コストは正確に推定できる

・リスク中立確率を計算しておくことで期待ペイオフを金利で割引いて計算できる

・モンテカルロシミュレーションでは乱数で生成した経路(パス)により原資産価格をシミュレーション
→それぞれのペイオフを平均して期待ペイオフを推計する
→乱数発生のところでリスク中立確率が用いられるためペイオフの平均値は金利で割り引く


4-34. リスク中立確率 ρ
…リスク中立の世界での株価と一致させるために調整された後の確率

$$
ρ=\frac{(1+r_f)-d}{u-d}=\frac{e^{-r_ft}-d}{u-d}
$$


4-35. ex) リスク中立確率によるオプション価格の計算
株価 S…20000円、権利行使価格 K…15000円、
金利 r…5.0%、1 年後の変動u…1.8 倍、d…0.6倍
$${ρ_1=\frac{(1+r_f)-d}{u-d}=\frac{1.05-0.6}{1.8-0.6}=0.375}$$
$${ρ_2=\frac{(1+r_f)-d}{u-d}=\frac{1.05-0.7}{1.2-0.7}=0.70}$$

→2年目から3年目で上昇する時の期待ペイオフ
$${P_u=\frac{28200(0.70)+10200(0.30)}{1.05}=21714}$$
→2年目から3年目で下落する時の期待ペイオフ
$${P_d=\frac{0(0.70)+0(0.30)}{1.05}=0}$$

→コールオプションの価格
$${C=\frac{21714(0.375)+0(0.625)}{1.05}=7755}$$

→2年目のΔとB
$${36000Δ_2+1.05B_2=21714}$$
$${12000Δ_2+1.05B_2=0}$$
→$${Δ_2=0.9048, B_2=-10340}$$

→3年目上昇時のΔとB
$${43200Δ_2+1.05B_2=28200}$$
$${25200Δ_2+1.05B_2=10200}$$
→$${Δ_3u=1.0, B_3u=-14286}$$
→リバランス$${Δ_3u-Δ_2=0.0953}$$

→3年目下落時のΔとB
$${14400Δ_2+1.05B_2=0}$$
$${8400Δ_2+1.05B_2=0}$$
→$${Δ_3u=0, B_3u=0}$$
→リバランス$${Δ_3u-Δ_2=-0.9048}$$


センチメントとオプション

4-36. 価格上昇期待
❶コール買い
❷コール買い、プット売り


4-37. 価格上昇期待、上限あり
❶コール買い、低デルタのコール売り
❷Knock-outコール買い


4-38. 価格上限期待
❶コール売り


4-39. 価格下落期待
❶プット買い
❷プット買い、コール売り


4-40. 価格下落期待、下限あり
❶プット買い、低デルタのプット売り


4-41. 価格下落期待、下限あり
❶プット売り
❷Knock-outプット買い


4-42. 価格下限期待
❶プット売り


4-43. 価格変動期待
❶コール買い、プット買い、ストラドル
❷低デルタのコール買い、低デルタのプット買い、ストラングル


オプションの実需

4-44. ❶通貨オプション

・輸出企業、生保、損保、投信顧問会社、信託銀行、証券会社
→円高リスクのヘッジ、外貨売却(外貨プット買い、外貨コール売り)

・輸入企業
→円安リスクのヘッジ、外貨購入(外貨プット売り、外貨コール買い)


4-45. ❷金利オプション

・一般企業
→金利上昇リスクヘッジ、固定金利調達、金利スワップで固定金利支払(Cap 買い、Payer‘s Swaption買い)

→金利低下リスクヘッジ、固定金利運用、金利スワップで固定金利受取(Cap 売り、Receiver‘s Swaption買い)


4-46. ❸債権オプション

・銀行
→債権価格げらリスクヘッジ、債権売却、債権先物売却(プット買い、コール売り)


4-47. ❹株式オプション

・一般企業、銀行
→株価下落リスクヘッジ、株式売却、株価指数先物売却(プット買い、コール売り)


4-48. ロイターディーリングシステム
…各交信回線ごとにメールアドレスに相当するアルファベット4文字→ID 確認
→言葉は極力省略され、挨拶文や決済口座情報は予め登録しておく
→リアルタイム更新、入力間違いは X を続けて入力し訂正、印刷することで約定の確証とする


4-49. オプションの取引

❶市場参加者
・エンドユーザー
…本業で生じる為替や金利リスク調整のためにオプションを用いる

・ディーラー
…オプションの売買を本業とする金融機関

・マーケットメイカー
…市場リスクを極力ヘッジしつつ常時市場に両サイドの建値を提供する金融機関

❷建値方法
…1単位当たりのオプション料で建値、銀行間では予想ボラティリティ、デルタヘッジをセットで取り込む

❸オプション取引の執行
…直接取引(金利オプションは電話、通貨オプションはロイターディーリング)、ブローカー経由


4-50. 権利行使事務
…自動行使でなければ権利行使を行わなければ行使期限で無効となる
→インターバンクでは金利オプション、為替オプションともに東京時間の 15 時がカットオフタイム
→行使手段としては金利オプション(電話)、通貨オプション(ロイターディーリング)
→カットオフタイム直前には権利行使事務が殺到する


4-51. 一般オプション取引の実務
❶ディレクションディーリング
…デルタ、原資産の市場価格
→アウトザマネーのオプションを持ちデルタをオープン、原資産とオプションを組み合わせて方向性にリスク

❷ボラティリティディーリング
…ベガ、原資産の市場価格の予想ボラティリティ
→デルタリスクをヘッジしつつ予想ボラティリティの変化にリスク、上昇なら買い、下落なら売り
→予想ボラティリティの変化に反応しやすいアットザマネーに近くて行使期限の長いオプションを用いる

❸ロング(ショート)ストラドル
…原資産の市場価格の変動スピード
→ストラドルを持つ、オプション料が市場変動幅より小さいなら買い持ち、市場変動幅より大きいなら売り持ち


4-52. エキゾチックオプション取引の実務
…原資産や行使価格の決定方法、ペイオフ構造が通常と異なる、エンドユーザーのニーズに対応

❶Asian Option
…ペイオフが行使期限までの期間中の原資産市場価格平均に依存

❷Barrier Option
Knock-out Option
…行使期限までの期間中に原資産市場価格が一定水準に達すると失効、外貨預金とのセット

Knock-in Option
…行使期限までの期間中に原資産市場価格が一定水準に達すると発効

❸Digital Option
…行使期限において原資産市場価格が行使価格に達すると決めた一定額が支払われる

❹Compound Option
…ペイオフが行使期限までの期間中に原資産市場価格が付けた最高値・最安値に依存

Look-back Put
…期間中の最高値で売ることができる権利

Look-back Call
…期間中の最安値で買うことができる権利

❺Extendable Swap
…金利スワップの満期において短期金利(LIBOR など)が一定水準に達していれば満期延長


4-53. オプション組み込み商品の実務
…預金またはローンとオプション取引を組み合わせた商品、エンドユーザーと金融機関双方の事情により好まれる

❶顧客がオプションの売り手となる組み込み商品
・オプション料
…顧客が受け取る
→予想通りのとき利益はオプション料で確定、損失は無限定

・預金商品
…オプション料の分だけ金利が高いが相場動向に関係なく金利確定、円高(ドル建て)、円安(円建て)

・ローン商品
…金融機関にとってリスクが大きく一般的ではない


❷顧客がオプションの買い手となる組み込み商品
・オプション料
…顧客が支払う
→利益はオプション料以上得られる可能性もある、損失はオプション料に限定

・預金商品
…満期において元本を確保する必要があり、預金の金利部分を原資としてオプション買い、外れれば支払ったオプション料の分だけ利息金利は低くなる、逆であれば利息金利上昇

・ローン商品
…オプション料の分だけ利息金利が高い、変動金利ローンにおける金利上昇ヘッジなどに使用


4-54. エンドユーザーのリスクヘッジ
…変動金利ローンの借り手が将来一定以上の金利上昇へのヘッジとしてキャップ(金利上限)付きローンとする
→ローンとキャップを組み込み商品とするエンドユーザーのメリットは
❶契約や決済の事務を軽減
❷ヘッジ対象との対応関係が明瞭
❸ヘッジ対象とのCFが理解しやすい


4-55. エンドユーザーのリスクテイク
…エンドユーザーがオプションの買い手、預金の利息でオプション買い、満期のペイオフが利息となる
→通貨オプションであれば為替レート連動型、株価指数オプションなら株価指数連動型
→エンドユーザーにとってはオプション単体で市場リスクをとるよりも手を出しやすい


4-56. オプション組み込み商品の例

❶キャップ付き変動金利ローン=変動金利ローン+キャップ
…5年の変動金利ローンで変動金利の上限を設ける

・通常の変動金利ローン(6 ヶ月ごとに更改)
…期間5年、金利6ヶ月Libor+1.00%

→キャップ購入
…期間5年、指標金利6ヶ月Libor、上限金利1.20%、キャップ料2.00%(年利 0.40%)

→キャップ付き変動金利ローン
…期間5年、金利6ヶ月Libor+1.40%、上限金利1.20%
カバー…変動金利での資金調達、キャップ買い


❷固定・変動選択権付き預金=預金+スワップション

・通常の 3 ヶ月物スーパー定期預金
…期間3ヶ月、金利0.20%

→3年物変動金利預金(3ヶ月後開始)
…期間3年、指標金利「トリプル」の変動金利

→Payer‘s Swaption 売り
…スワップ期間3ヶ月後スタートの3年、スワップ固定金利0.75%、
スワップ変動金利「トリプル」の変動金利、スワップション料0.25%(年利 1.00%)

→固定・変動選択権付き預金
…期間3年3ヶ月、最初の3ヶ月の金利 1.20%、
残り3年の金利0.75以上→0.75%、
残り3年の金利0.75未満→「トリプル」
→3ヶ月先からのフォワードレートが金利先高であれば2段階目の金利水準が高く魅力的
→スワップ市場で金利の予想変動率が高まるほどスワップション料は高く、1 段階目の金利水準を高く設定可能


❸株価指数連動預金=預金+株価指数オプション
…3ヶ月物預金利息が14000円以上の日経平均株価に連動

・通常の3ヶ月物スーパー定期預金
…期間3ヶ月、金利0.20%

→日経平均コール買い(日経平均株価上昇期待型)
プット買いで日経平均株価下落期待型
…行使期限3ヶ月、行使価格14000円、オプション料500円(1単位あたり)

→株価指数連動預金
…期間3ヶ月、利息、
日経平均株価が14000円以上→コールオプションの価格
14000円未満→0円
→元本100万円のとき買えるコールは1単位、日経平均株価1円上昇で収益は 1/100万
→元本1000万円のとき日経平均株価15000円まで上昇
→(15000―14000)1000 万円(1/100 万)=10000(年利 0.40%)
→カバーは短期資金運用、コール買い


❹ノックアウト条項付き先物為替予約セット外貨預金=預金+通過オプション(Knock-out-Option)

・通常3ヶ月物外貨預金
…期間3ヶ月、金利4.14%

→Knock-outプット買い
…行使期限3ヶ月、行使価格112.45円、消滅為替レート99.20円、オプション料2.80円/1 ドル

→Knock-outコール売り
…行使期限3ヶ月、行使価格112.45円、消滅為替レート99.20円、オプション料2.84円/1 ドル

→ノックアウト条項付き先物為替予約
…ドル売り予約、期日3ヶ月後、売り価格112.45円、消滅為替レート99.20 円、オプション料差 0.04 円/1ドル(年利 0.14%)

❺ノックアウト条項付き先物為替予約セット外貨預金
…期間3ヶ月、金利4.28%、
ドル円レート99.20円到達しない→ドル元利は 112.45 円で円に変換されて償還
ドル円レート 99.20 円到達→ドル売り予約が消滅してドルで償還
→カバーは外貨の短期資金運用、Knock-outプット買い、Knock-outコール売り


4-57. オプション内包スキームの実務
オプションの性質(非線形な利益)を有する商品、債券や資金取引の CF にオプションを付加

❶金利オプション内包スキーム
・コーラブル債
…投資家が発行体に対して債券 Call 売り、金利水準低下でデュレーションが小さくなる

・米国モーゲージ証券
…①と同様

・期限前弁済ペナルティのない固定金利ローン
…銀行が借り手に対して Receiver‘s Swaption 売り
→金利水準低下でデュレーションが小さくなる

・中途解約ペナルティのない定期預金
…銀行が借り手に対して Payer‘s Swaption 売り
→金利水準低下でデュレーションが小さくなる

・キャンセラブルスワップ
…スワップ当事者の一方が他方に対して原スワップのCFを打ち消す取引売り


❷株式オプション内包スキーム
・ワラント債
…発行体が投資家に対して株式コール売り

・転換社債
…発行体が投資家に対して株式コール売り


4-58. オプションの営業
❶顧客のニーズ
・市場リスクを負担し預金の金利水準をあげたい→オプションの売り
・コスト限定で市場リスクをとりたい→オプションの買い
・すでに負担している市場リスクをヘッジしたい→オプションの買い

❷顧客のマーケット観
・金利、為替、株価のどれを見るか
・上昇の期待→コールの買い、プットの売り
・一定水準以上の上昇を期待しない→アットザマネーのコール売り、ノックアウト条項の付加
・下落の期待→プットの買い、コールの売り
・一定水準以上の下落を期待しない→アウトザマネーのプット売り、ノックアウト条項の付加
・膠着の期待→ストラドルの売り
・変動の期待→ストラドルの買い


5. デリバティブを考えるメモ

…普遍のものではない、その時その時のメモ、思考プロセスが大事

5-1. ショートは連続的に取らないといけない
…行ったり来たりではなく、行け行け行け
→悪い材料、また悪い材料、また悪い材料、恐怖の増幅
→1~2週間のシナリオを描いて、1つでも悪くなければ撤退


5-2. SQ
…デリバティブという幻想的なものの現実的な価値がわかる瞬間


5-3. オプションレースの終わりはSQ
…次は11月限
→株式のスポット価格、ストライク、ボラティリティ、オプション価格
→このオプション価格を売買する
→ボラティリティが高いほどストライクは高くなる、ストライクの価格がスポット価格に近いほどオプション価格は高くなる、レースの終わりが遠くなるとオプション価格は高くなる



5-3. バブルは経済指標の中に決定的な痕跡を残す
…雇用者、労働市場でもバブルが起きる


5-4. テスラ・グーグルなどは失速
…アマゾン・マイクロソフトは切り返し、クラウドサービス
→失速傾向を見たい、四半期ごとのパフォーマンスを見る、長期金利の影響、4.0%を超えると超大型株でも力を発揮できない
→上昇に順張りするならコールを買う、上昇に逆張りするならプットを買う
→スポット価格が407ドル、コールはストライクが410〜430ドルを見る、プットはストライクが385〜405ドルを見る
→デルタは40%あたりが狙い目


5-5. 米国債のフィッチの格付けがAA+へ格下げ
…国債の利回りは上がらない
→日本株式市場は1万枚動かすAIが激しく動かした、データが入っているから
→株式市場は高値警戒が続く、ゴルディロックス相場、高値を登っていく、売っちゃダメ
→抜けたら、ショートが切れるから暴騰の可能性、どの企業が主導となるか?

・限月ごとの騰落率
…前回SQ日終値−今回SQ日終値
→順位をつけてみる、本命、対抗、穴、大穴
→超成長株は高すぎるからオプションでやってみるのがいいのでは?
→超成長株の比較は競馬的な考えにしてみれば?バリュエーションしても意味ない
→オプションの建玉、テスラの上に賭けてる人が多い
→コール−プット、人気が集まっている


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。

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