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哲学に関するメモ(8) 【中国思想】

本メモは哲学の基礎的な内容に関するメモです。



1.古代 115項目

孔子 

…儒家の祖、中国思想史最大の巨人、孔孟思想

1-1. 【論語】
…人が徳で治める社会が理想、個人の思想・言論が核となっている、最古の書物

→思いやりを身近な者から社会へ広めていこうとすればみんなが感化されていい社会が作られる
→人間・人生を知り自分を見捨てずに生きる


1-2. 仁と礼
…愛・思いやりを身近な者から社会へ広めていこう、倫理思想

・仁
…人間の愛の心、個人道徳

→親への愛、年長者への敬意、主君への誠実さ、他人への思いやり
→孟子、性善説

・礼
…倫理的規範、社会秩序

→従うべき儀礼・習慣、身分秩序
→荀子、性悪説、儒家思想の封建性・保守性を顕著に示す


1-3. 徳治主義
…仁と礼を修めた人格者が模範になればみんなが感化されていい社会が作られる、政治思想
→君子が私利私欲に溺れず不正を行わなければ国中に不正を行う者はいなくなる
→思想の根底にあるのは学ぶこと、学んで自己を磨かなければならない


1-4. 天神合一
…人間を超越した天の下に、人間は人間として主体性を持って生きていく

→天を否定するのではない、天は人間を超越した存在、言っても仕方がない、
考えたところでどうにもならない、不確かなものへの言及を避ける


1-5. 最良の駆け引きとは駆け引きをさせないようにすること
…『メリットがあるからどうですか?』に対して『あなたのメリットは何ですか?』
→答えない人とは長期的な関係を形成できない、フェアでない
→相手のメリットも尊重すれば自分のメリットもうまく言える


1-6. 人間関係は白黒つけないグレーゾーンがちょうどいい
…事故を起こさない、事故を起こすのは急いでいる人、人間関係に急いで白黒つける
→自分にも他者にも早く白黒つけたがる性質があると認識して人間関係を構築する
→グレーゾーンが広いからこそ違いを受け入れて可能性を限定しない生き方ができる


1-7. 相手を知らないことは致命的なリスク
…他者が自分をわかってくれないことより自分が他者を分かろうとしないことを心配しろ
→友好関係を築きたいならあなたは、相手に興味がなければ私は
→あなたを理解したい・分かっているとは言わない、黙って察する、経験値が高いからできる


1-8. 相手の意見は受け入れるのではなく受け止める
…いいねではなくそうですかー 、SNS では過剰な同調、気疲れ
→同調しない人間を攻撃する人もいるがそれもゆるくかわせる


1-9. あなたは自分の役目を見失っていないか
…部下が使えないというのは無能なリーダーの証明、それぞれ役目を果たしていない
→ビジネスに必要なのは❶お金を出す人❷アイデアを出す人❸作業をする人


1-10. お金儲けは正義
…お金儲けを良くないと言う人は、他人から対価なしに搾取している人
→貧乏人が恨み言を言わないようにするのは難しい、相手によって高く売っても安く売っても良い


1-11. めんどくさいことはお金になる
…何でも早くやろうと急ぐな、直接会って食事、レア情報を教える、知り合いのお店を使う
→人間性を磨き情報戦を制す、他国への進出の素早さ・外国投資・資産分散につながる


1-12. 師となる友達を持て
…❶リフレッシュさせてくれる友達❷自分を高めてくれる友達


1-13. 自分の力でやってきたがあと一歩という人間に助け舟を出せ
…やる気がある、言いたいことが口元で出かかっている
→他へ類推を働かせてピンと来てなかったらそれ以上の指導はしない


周公旦

…孔子が愛した伝説の聖人、祖先崇拝の始まり

1-14. 【周礼・儀礼】
…いい社会は天の恵み、倫理的規範を守ることに人間の最大限の可能性がある


1-15. 天と礼
…天を崇めつつ人間の意志によって社会秩序を維持する制度を決める
→政治・宗教は一つ、まつりごと、政事・祭事


1-16. 中国・日本は農業中心の社会
…人間の生活が自然のサイクルに依存、自然の恵みは天の恵み
→国が乱れるのは天の怒り、鎮めるには天を祀らなければならない
→国を治める王は天命を受けた天子、王が亡くなれば天と一緒に祀られる
→祖先も神として崇められる、子孫繁栄を守るもの
→天・自然・祖先に対する崇拝が一つとなって古代中国の精神が形成される


老子

…道家の祖、謎に包まれている、老荘思想

1-17. 【道徳経】
…人が徳で治めるのではなく徳が自ら行われて治まる社会が理想
→全て天の意志で社会が作られる
→自分を誇示せず人に呑まれず、しぶとく生きる


1-18. 道の思想
…万物を生み出す源、宇宙の根本原理
→道は一を生ず、一は二を生ず、二は三を生ず、三は万物を生ず
→人間の原理原則は宇宙の根本原理であり、一致することが望ましい
→宇宙には目に見えない力が働いていて正しいものは正しいところに治まる


1-19. 無為自然、柔弱謙下
…あるがままを生きる、しなやかに身を低くして生きる

→時代に流されずに常に内省を怠らない
→学ぶこと自体は悪くないが変な知識に惑わされて人格が歪められると自己の成長が妨げられる、
むやみに伸びようとしても無理が生じる


1-20. 文明の否定
…欲望を捨てて自然に帰ればよい、争いのない自給自足の社会がいい
→何もしないことが最善なのか?未開な社会がいい社会なのか?自然に帰れるのか?
→人間の行為の限界を知ったとき。自然に帰る道を選んだのではないか?


1-21. 相対的価値観
…何事にも是非善悪の両面があり絶対ではない


1-22. 『千里の道も一歩から』


1-23. 『柔よく剛を制す』


1-24. 『大器晩成』


1-25. 利益を抱えればいずれ溺れる
…お金は水のようなもの、循環させなければ腐る
→生かし生かされ、他者と争う事なく、みんなで自然と浮いている姿が豊かなのでは


1-26. 裏方の力を知れ
…価値ある功績とは地味な仕事にある、自分がやったとは言わない、謙虚にならざるを得ない


1-27. 花は散るからこそ美しい
…何かを成し遂げた人は身を引くことで功績を全うできる
→手放したくないのが人間だがしがみついていても醜態を晒すだけ


1-28. ペラペラ喋るな
…軽薄に見える、途切れ途切れの調子で喋る方が好感をもたれ説得効果が高い
→中国人は能弁・自己主張が強い、日本人は陰で能弁・周囲との折り合いばかり


1-29. 口ではなく目で管理しろ
…干渉せずに見守る、高所から自体の推移を見守るのが理想
→代表がワンマンであれこれ指示する状態からみんなに任せても回る状態に発展すれば存続


1-30. 過去のことは水に流せ
…人の恨みを買えば仕返しに合う、人間は執念深い


1-31. 中くらいがちょうどいい、先頭でもビリでもダメ
…先頭では敵・味方から標的にされ余分に神経を使って自滅する、ビリでは白い目で見られる


1-32. 知って知らぬふりをしろ
…聞かれた質問に淡々と答える、おとぼけも必要
→聞かれて待ってましたとばかりに喋れば反感を買う、聞かれずに喋るのはなおいけない


荘子

…老子の後継者

1-33. 【荘子】
…幸福は相対的価値観に囚われないところにある、囚われない別次元に立ってこそ自由になれる
→小さな現実に振り回されるな、正しいかどうか・勝ったかどうかを気にするのは器が小さい


1-34. 万物斉同
…万物に相対的価値はなく全て等しい、人間も自己もその中の一つにすぎない

→万物は一つであり宇宙の道に通じる


1-35. 憂い・苦しみは相対的価値観から生まれる
…人間は何事も勝手に価値をつけてそれに囚われて一喜一憂する、生への執着、自我への固執
→そんなものは主観で判断する価値、社会が生んだ人為的な束縛
→文明にどっぷり浸かると複雑な価値観にがんじがらめにされる、本当に大切なものは何か?


1-36. 小さな世界に住む者に想像がつかない大きな世界があるのに自己に安住し才覚を誇る者は愚か
→天地自然に身を委ね無の世界のを生きるものが自由な存在


1-37. 禅の始まり
…禅は老荘思想と仏教の融合、達磨


1-38. 『蟷螂の斧』
…身の程知らずの振る舞いを戒める


1-39. 『胡蝶の夢』
…人生も夢のようだと悟る


1-40. 『井の中の蛙大海を知らず』


1-41. 正しいかどうかなんてどうでもいい
…「正しいかどうか」「良いか悪いか」の議論をしたがる人は人間関係の事故を起こす
→グレーゾーンだからこそ色々な視点で物事が見れる、対立すれば 2つの仮説検証すればいいだけ


1-42. 親を大切にすることは自分を大切にすること
…生活の中で受け継いだものを見出せる、それを大切にするからプレッシャーに潰されない


1-43. 今を大切にし、今に囚われない
…今日できなかったと後悔しないで明日という新しい今日に備える、修正すれば良いだけ
→過去を変えることはできない、過去に対する評価は変えることができる


1-44. 多くを望むな
…欲張ると欲望に振り回されて自分にとって大切なものに気づかないまま人生が終わる
→自分が価値ありと追求しているものは見方を変えれば取るに足らないもの


1-45. 時の流れには逆らうな
…ここぞという時だけ頑張る、あくせく生きるだけでは人生を豊かにすることはできない


1-46. 器の大きい人は無用の用に気づこうとする
…無用だと思われているものこそ実は有用であるもの、あいさつなど、蓄積されて大成される


1-47. 忘れるというスキルを身につけろ
…明鏡止水で決断、正確で自由、他者の意見・既成概念に囚われるな、最後は自分


1-48. 期待されないことは強み
…自分のペースを守れる、先頭でも最後でもない、争わないので仲間はずれにされない


1-49. 利害で結ばれれば破綻する
…これだけしたんだからお返しをしろよという関係は一時的、いざという時はアテにならない


1-50. それぞれの境遇で人生を楽しめ
…生活のレベルが上がれば楽しめるわけではない、楽しみ方を見つけろ


孟子

…孔子の後継者

1-51. 【孟子】
…王は徳でみんなを感化して、人間本来の善を物欲から取り戻し国を治めなければならない
→徳がない王は討伐して良い
→理想なき現実主義は堕落する、理想はエネルギー


1-52. 性善説
…人間は生まれながらに善、自然発生に委ねる、倫理思想


1-53. 物欲は人間にも動物にも共通、人間には他に理性がある
→物欲は善を覆い隠し本来の心の動きを発揮できない、悪はこうして生まれる
→善であっても賢でなければ悪に流される


1-54. 王道政治
…権力・武力による支配ではなく道徳で社会を治めなければならない、政治思想

→徳がない王は討伐して良い、それは天命と言ってもよい、易姓革命
→徳治主義に民本主義の理念を課し革命を正当化するまで徹底した


1-55. 智恵は他者から借りればいい
…考え込むことは爆弾を抱えることと同じ、一流ほど手を抜く
→突発的なピンチ・チャンスに対してメカニズムからパターンを予測できれば良い


1-56. たとえ他者から無礼をされても気にするな
…まいっか、他人は他人、事情がある、マナーを教えてもらう機会がなかっただけ


1-57. 掘り続ければ必ず水脈に当たる
…継続は積み上げるのではなく掘り下げるイメージ、なれないと思わない
→掘った土を周囲に与えるイメージが重要
→水が出ない穴を100個掘るより、水が出そうな穴を3個掘り続けたほうが確率が高い


1-58. 部下と楽しみを共にする
…たまの楽しみが松、普段は梅を共有する、内部に敵を作らない
→部下が上に行けば経費で楽して贅沢できると思う、楽したい人ばかりになれば会社は潰れる


1-59. 必要なのは信念・タイミング・お金
…実力だけでは勝負できない、勢いには敵わない、信念を通せば認めてくれる人はいる
→柔軟に妥協できるのはいいが譲れない場所を守れ


1-60. 人の道は足元から
…成功は遠くにあるのではなく近くにある、生きていく上での原理原則はあんがい平凡である
→おはよう、誰でも実行できて大事なこと、平凡で些細


1-61. しごかれてこそ玉になる
…立派な人格・素晴らしい才能は困難な状況の中で育てられる
→複雑化・多様化する社会では専門性が必要だが10年の我慢が必要


1-62. 正念場に全力を出せるかが明暗を分ける
…辞めてはいけないところで辞めてしまう人間は何事も中途半端で終わる
→踏ん張って乗り越えれば器が大きくなる、踏ん張れずに挫折すれば一生引きずる

 

 1-63. 来るもの拒まず去るもの追わず
…こだわりのない人間関係を持て、誰と一緒でも上手くいく


1-64. 欲望の力はハイリスクハイリターン
…原動力になるが自らを滅ぼす
→欲望の少ない人で良心のない人はわずか、欲望の多い人で良心のある人


1-65. 手段は一つではない
…手段を定期的にチェックせよ、手段が目標にあっていなければ泥沼にハマる


荀子

…儒家の異端児

1-66. 【荀子】
…王は礼が行き届くようにして、人間本来の悪を制限し国を治めなければならない
→人間は外側から磨いてこそ内側も光る


1-67. 性悪説
…人間は生まれながらに悪、人の力に委ねる、倫理思想


1-68. 人間関係から生じる欲望が人間を悪に変える、美しいものを好む・妬む・憎む
…生まれながらに悪でも善でもないが人間関係なしでは生きれない
→欲望のままに行動すると争いが生じ、他人を傷つけ、社会秩序を乱す
→礼によって欲望を制限する必要、善は努力によって得られるもの


1-69. 礼治主義
…人間は利己的であるため礼という人為的規則で教育・制限しなければならない、政治思想

→法律的規範、権力による人格形成・階層維持
→客観主義、韓非子


1-70. 天人分離
…天は天、人間は人間、人間がやるべきことは主体性をもって自然に順応し利用することだけ

→天にはそれぞれ法則があって自然現象はそれに従って起こる、人間をどうこうするわけではない
→雨乞いをしてもしなくても雨は降る時には降る・降らない時には降らない


1-71. 天のせいにして自分を慰めても何の特にならない
…自分に厳しければ世の中の甘さを知ることができる
→他人に対して戦略として他責を使うのはアリ、自分に対して他責を使うのはナシ


1-72. 言うことよりも言わないことを決めておく
…言わないで相手に考えさせて分からせる、言うのは興味を持つ話題、言わないのは本心


1-73. 横暴な上司は部下にとって好都合
…どこでも生き抜いていくのに重要なのは選択能力よりも適応能力、悪い環境でも
→横暴な上司の欠点をフォロー、矯正しようとしない、ワンマン、好き嫌い、意見を聞かない
→分かりやすい、戦略的イエスマン、情報が偏りがちで独断、コントロールしても


1-74. 人より条件が不利なことを喜べ
…条件が揃ってる人は条件を活かせる環境が整っているところで有利というだけ
→まず捨てなきゃいけないのは自分への思い込み


1-75. 裸の王様になるな
…真実を言う・聞くことは難しい、自戒せよ
→イエスマンに囲まれたワンマンが組織を潰すケースはたくさん


1-76. 自覚した鈍才は強い
…コツコツ努力を積み重ねれば天才を追い越せる


 1-77. 勝てなくても負けるな
…最悪の事態を想定しろ、余裕を持って対処できる
→勝とうとするあまり負けることを忘れてはならない


1-78. 偏見を自覚せよ
…誰の考えにもどんな考えにも偏りがある、偏りは全体像の把握を困難にする


1-79. 余裕があれば人助けをしろ、余裕がなければ助けてもらえ
…今うまくいってても環境・立場が変われば助けが必要になる、助けてもらえなくなる
→人生は不遇と遇の連続


1-80. みんなの心を一つにすることが大事
…人は 1 人では戦えない、名将がいても必ず勝つとは限らない
→戦術があっても実行できなければ意味がない


韓非子

…法家の祖、一匹狼の天才肌

1-81. 【韓非子】
…人間は利己的なので法律・操縦術・圧倒的権力によって国を治めなければならない
→人に気づかれずに人を動かす


1-82. 性悪説では生ぬるい
…人間は打算的で悪以外の何者でもない、道徳の力など信じることはできない、
冷徹なリアリズム、究極の人間不信
→賞罰こそ人間を動かす最大の力
→法家の思想は中国史の影のバイブル、専制国家による愚民政策・権謀術数


1-83. 法治主義
…法律を厳重にし信賞必罰を徹底して、人間の欲望を利用してみんなを導かなければならない

→社会が安定するのは結局仁義道徳ではなく利害関係、罰にも通じる客観的な責任を問う


1-84. 『矛盾』


1-85. 『逆鱗に触れる』


1-86. 敵対する前に貸しを作れ
…目的は滅ぼすことではなく傘下にすること、相手を油断させる
→自分の持っている人・モノ・金・情報を分ける、力を貸す、助けられたら悪口を言いづらい


1-87. 人は信じても人の行いは信じるな
…100%の善も100%の悪もない、善悪の一致は状況によって変わる
→人の性格は変わらなくても善なる行いが変わる可能性はある
→取り入るやつは危ない、組織内政治に必死になって組織が弱体化、ミスを隠す


1-88. 他者が隠している秘密・企みを知ったことを気づかれるな
…軽く扱うと思いも寄らない敵を作る、黙らせたければちらつかせる


1-89. 部下のやる気を巧みに操る
…背かない体制作りの基本は部下が叶えにくい望みを満たすこと
→人は利益で動く、利害対立があれば裏切られてもしょうがない


1-90. 心を込めることが最良の策
…すぐに心を掴むことはできないがじわじわ滲み入り最終的に支持・人望を集めることができる


1-91. 過去の成功は捨てよ
…変化に対応できない、人は 1 度上手く行ったことを 2 度・3 度と期待してしまう


1-92. 傷は浅いうちに治せ
…どんな大事も些細なことから始まる、一瞬の油断が死につながる、些細なことに早めに手を打て
→大事につながる些細なこととつながらない些細なことをきちんと見極めろ


1-93. 大胆は慎重の上に成り立つ
…修正が効かない部分を念入りに行う、フォローできない一発勝負の部分


1-94. 優れた人物はわずかな手がかりだけで物事の顛末を予想する
…どんなに激動の時代でも逞しく生きていける


墨子

…墨家の祖、有能な軍事技術者

1-95. 【墨子】
…愛を絶対視、博愛・平和・平等


1-96. 兼愛
…人間は天の下に平等であり差別なく愛するべき
→利ばかり求めると社会が乱れる、自分を愛するのと同じように他人も愛するべき
→形式的な例など必要ない


1-97. 非攻
…他人を愛するのなら戦争は愛に背く行為なのでよくない
→自衛のための戦争はよい、強者が弱者から奪う不公平を憎む


1-98. 尚賢
…身分ではなく才能で採用すべき
→天の意思に基づく、王は天と人間の橋渡し
→科挙制度の始まり


孫武

…兵法家、才能のあまり不遇の人生を送る

1-99. 孫子の兵法
…情報戦がすべて、準備と戦況判断が重要
→戦わずに勝つ、最後に笑う勝利とは


1-100. 博愛・平和・平等は理想だが戦いと無縁の世界はあり得ない
→上手に戦うことも必須条件として戦術などを極める


1-101. ゲーム理論のミニマックス法、最善を尽くして相手のミスを待つ
…勝てない相手とは戦わない、戦える相手と戦えるやり方で


1-102. 情報・認識ベースの力、物量・管理ベースの力
…相互作用、イミテーションやエスカレーションによりこれらの優位性はなくなる
→長期で見ると強者には勝てない


1-103. 感情・精神ベースの力
…情報格差は関係ない、短期でしか存在しない


1-104. 敵がいないこと、戦わないこと、それが無敵な生き方
…多くの人が戦っているのは敵ではなくライバル、戦うのではなく競う
→切磋琢磨のために必要、自分の勝てるところで勝つ
→逃げるが勝ち、戦いを好む相手は無視するに限る


1-105. スキルよりも勢い
…〜になって成功しようではなく成功するために〜しよう、得意のことに応じて仕事を作る
→枠に当てはめて頑張らせるよりも勢いのつきそうなところを伸ばす、組織の勢いも増す
→得意は思い込みの可能性もある


1-106. 勝算五分であれば戦わない
…勝てないなら逃げる、全て勝とうとするから大敗する
→日本人は勝算五分で突っ走る傾向、武士の美徳、逃げるは恥


1-107. 自然に楽々と勝つのが理想
…状況に対する深い読みがあれば主導権を持てる、何事も余裕をもって対処できる


屈原

…詩人、命日は端午節、戦争とも謀略とも無縁

1-108. 【楚辞】
…詩歌の作品集、六言・七言に助字を多用した抑揚あるリズムで情熱的な人間感情を歌う
→作者の自我・思想を凝縮した個人創作としての文学の始まり


1-109. 離騒
…心の奥底からの叫び、怨み、
→現実世界と幻想世界、天上世界で遊んでも安息を得られないところに苦悩の深さを見る


1-110. 天問
…宇宙・人生に関する疑問を天に問いかける
→博識・思考・豊かなロマン精神を示す


管仲

…政治家、運を味方につける、現実主義

1-111. 【管子】
…経済重視の具体的施策を示す
→古代中国思想の先駆けであると同時に集積、儒家の中庸に近い思想だが理想主義には走らない、
法家的な富国強兵を目指す、道家的な無為を説く


1-112. 合理的な経済振興による富国強兵
…都市と農村の支配組織を固めて農業を保護・奨励、漁業・製塩・製鉄の生産管理を強化、
物価均衡と物質流通を図り税制を整備、能力ある者を登用、周辺諸国を併合


1-113. 取ろうとするなら、まずは与えよ
…やみくもに領土拡大を狙わずにまずは国際間の秩序を推進した


1-114. 贅沢はよいもの
…需要こそ経済を活性化する、需要があれば供給が生まれる


1-115. 管鮑の交わり
…鮑叔牙との友情物語、管仲は貧しさから鮑叔牙を欺くも、鮑叔牙は管仲の才能を信じ見守る


2. 漢代 43項目

劉向

…中国文献学の第一人者、歴史と人間をテーマに世界の理想を追い求める

2-1. 【戦国策】
…処世術を集めたもの、周から秦の始皇帝にいたるまでの約 250 年間
→人を見て我が身を振りかえれ、慢心・驕りは最大の敵
→背水の陣で生きる者の心構え


2-2. 【列女伝】
…中国の女性の伝記。 女性の修養のためにつくられたもの


2-3. 漢書芸文志の基礎を築く
…書籍を集めて分類し記録した


2-4. 何事も3つに分散して持っておけば楽
…咬兎三窟、資産運用、収益の柱、生活、コミュニティ


2-5. レベルの高い集団に飛び込めば自動的に成長できる
…ホメオスタシス効果、平均に引き上げられる、未知の世界は知ろうとしなければ永遠に未知


2-6. 90%に到達した時点で半分に到達したぐらいのつもりでいろ
…最後のツメをおろそかにしてはいけない


2-7. 後進の道を塞ぐな
…若い連中に負けられないという気持ちは強すぎなくていい


2-8. 相手のやる気を引き出すにはまずは認めることから
…男は命を投げ出す、女は容色を整えると言われていた


2-9. 許しても忘れない
…過去の失敗を忘れるものは同じ過ちを繰り返す


2-10. 得意なことをすれば努力を凌ぐ
…指導者が無能・覚えが悪いなどと勝手に判断するな


鄭玄

…中国文献学を完成させる、儒教解釈の最大の功労者

2-11. 【三礼注】
…礼についてまとめて解説、克己復礼、礼を遵守し実践


2-12. 儒学が盛ん
…士官のために儒学の教養を身につけることが必須


2-13. 経書の注釈が中心
…各経書を相互に対照して研究する、実証的な訓詁を重んじる古文学の立場から確立


王充

…迷信や不合理を退け真理を探求

2-14. 【論衡】
…道徳と政治の関わりを否定して歴史の原因を運に求める
→天人相関説・讖緯説の否定


2-15. 天人相関説
…天が人間の善悪に応じて賞罰を下す


2-16. 讖緯説
…陰陽五行説に基づく
→経験的事実に基づく実証主義、聖人の予言は過去の経験を下にした類推にすぎない


2-17. 偶然論・運命論
…すべては偶然によって支配される
→成功すれば運がいい、しなければ運が悪い
→その偶然を引き起こすものは何か?
→運命、成功するもしないも素直に受け入れればよい


楊雄

…孔子的倫理観・老子的宇宙観を融合

2-18. 【法言】
…学問の基礎も人道の根本も経典にある、性善説と性悪説の調和を図る
→後世の儒家に影響を与える


2-19. 【体玄経】
…独自の宇宙論、儒学者に変な知識が横行していたことに対する警鐘


賈誼

…挫折した早熟の天才詩人

2-20. 【新書】
…儒教的観点から政道の得失を論じる


2-21. 【屈原を弔う文】
…屈原の悲劇の運命を想う心情を綴り、左遷された自らの不遇を嘆く
→異例のスピード出世をした自分が今はこんな田舎で落ちぶれている、運命とはわからない


董仲舒

…儒家思想を中国の正統思想に位置付ける

2-22. 【春秋繁露】
…政治は仁義礼楽を教育することが大切、道徳を捨て刑罰で社会を治めていては滅びる


2-23. 儒教一尊
…儒家以外を批判、五経博士を設置し儒教を国教とする、秦は儒家の説を憎んだから滅んだ


2-24. 災異説と天人哲学の融合
…国が間違った時に天は災害で忠告、それでもダメなら異常現象で戒める、天意はすなわち民意
→王は常に自らを戒めて陰陽の働きが乱れないようにしなければならない
→子学(先生の教えを継承する学問)から経学(経書を中心に教えを解釈し研究する学問)へ移行


司馬遷

…歴史の父、苦悩と覚悟によって研ぎ澄まされた歴史への観察眼

2-25. 【史記】
…黄帝時代〜武帝時代までの通史、単なる歴史書ではなく文学書・思想書としても優れている
→不確実な時代を生き抜くには


2-26. 紀伝体
…王の生涯・年代記(紀)とその時代に活躍した個人の伝記(伝)を中心に書く形式、のちの史書の体裁
→生きた人物像を描きやすい、伝は伝記であり人間の行動パターンを分析するものでもある


2-27. 天道なんて本当にあるのか?
…悪行を重ねても楽々生きる者もいる、慎ましく働いていても思わぬ厄災に巻き込まれる者もいる
→世界の不条理は何千年経とうと全く変わらない


2-28. チャンスが来たら積極的に自分を売り込む
…まずは自己研鑽、まずは徳と能力を磨け、あれば自然と頭角を現わす


2-29. 成功は決意に宿る
…小さなことにこだわったり細かいことを心配したりしてためらえば後悔する、根本だけ抑える


2-30. 人望は大事
…徳のある人物には人が自然とあつまってくる、情報が入ってくる、掘り出し物、成蹊


2-31. 組織にはどっぷり浸かるな
…視野が狭くなる


2-32. 大志を抱かない人間をバカにするな
…実現させようとする人間は静かに着々と手を打つ、戦略がない人間が語る
→能力・大志は一見なさそうで実は持っているというのが望ましい


2-33. どんな人の意見にも耳を傾けて損はない
…平凡な人間だと決めつけて頭から否定していては自他共にマイナス


諸葛孔明

…天才軍師、よきリーダーのもと陰で歴史を動かす名参謀

2-34. 【天下三分の計】
…蜀は呉と同盟を組んで魏に対抗する
→三国に分けた後は内政に携わる、徹底した法治主義制作


2-35. 【前出師表】
…北伐(魏への遠征)に出発する前に国に残す若い皇帝劉禅を心配して書いた
→劉備の死後、忠節と愛国心から皇帝の器でない劉禅にも誠実に仕えて蜀の再建に努める


2-36. 今具体的に何をすべきかきちんと出す
…時代・流れをつかみ何をなすべきか知る必要、洞察力・企画力・アンテナ


2-37. 賢と徳が人を動かす
…一人で全て持っている人は少ない、自分で評価できない、人と協力しろ


2-38. 一致団結しなければいけない時はリーダーが粉骨砕身しろ
…リーダーが粉骨砕身すれば部下もがんばらざるを得ない、信頼に応える、人望があれば


2-39. 強引は心服に及ばず
…力で支配するだけでは人は動かない、喜んで動くような環境とは、外的内的な影響はあるか


2-40. リーダーは根本に配慮するべき
…根本だけ抑えればあとはうまくいく、大徳、思いやりや器、小さな恩恵でセコセコするな


2-41. 小才は憂うべし
…自己研鑽しなければ小さな才能を持ったままで大きな仕事を成し遂げることはできない


2-42. 物事がうまくいかなかった時の対処が重要
…自分に反対した人に褒美、うまく撤退できたのはラッキーだった、また意見してくれ
→撤退の見切りは早く、無理をしない


2-43. 長所をほめて短所に目をつぶる
…やる気や向上心が出る、最初はこれが効果的、誰にもできて効果的


3. 六朝・隋唐時代 82項目

玄奘三蔵

…三蔵法師のモデル、中国思想史・仏教史に変革をもたらす

3-1. 【大唐西域記】
…西遊記のモデル、世界 3 大旅行記の 1 つ、三蔵法師とは経・律・論に精通した僧のこと
→インド・ネパール・中央アジア各地の考古学研究の貴重な資料


3-2. 長安からインド(天竺)へ
…仏教を究めたい、国禁を犯して大旅行
→シベリア、トルキスタン、アフガニスタン、インド
→インドで 5 年間師事したのちに仏教倫理学・文法学を広く研究、インドの十賢に数えられる


3-3. 帰国後はお経の翻訳と旅行記
…19 年がかりで毎年 70 巻ずつを翻訳した
→中国に仏教のアップデートと西方に対する確かな知識がもたらされる
→朱子学・陽明学へ


3-4. 唯識論
…一切が空であっても、それを認識する心は存在しなければならない


慧遠

…浄土宗の祖

3-5. 沙門不敬王者論
…出家者は俗世間の外の存在であるため世間の王に礼を尽くす必要はない
→宗教の自主性・独立性を説く


3-6. 座禅・念仏により人は浄土に生まれかわり、阿弥陀仏を目で拝むことができる
…小乗(自己の悟りを第一とする考え)と大乗(平等な救済・成仏を説く教え)を融合
→仏教は儒教・道教と融合を繰り返し、こうを崇め先祖の供養を重んずる宗教へ変わる


陶淵明

…田園詩人、老荘的ユートピア思想を持つ

3-7. 桃花源記
…理想郷に迷い込む物語


3-8. 易しい言葉で政治界の醜悪な人間関係や現実社会への嫌悪・不満を歌う
…自然を讃える、農民に対する愛情・労働の意欲に溢れる、
人間は自然の一部であると今さらのように思い起こさせる
→自然に帰りたい、世渡りが下手で都会に馴染めない、田舎暮らしがしたい


3-9. 『歳月人を待たず』
…やるべき時にやらなければ人生は駆け足で過ぎ去ってしまう


顔之推

…中国教育論・学問論の第一人者

3-10. 顔氏家訓
…家族を中心とした道徳・乱世を生きる心構えを説く、儒教的教養をもとに


3-11. 厳しく教育すべき
…甘やかすとなんでも自分が正しいと思う、手に負えなくなってから叱っても効果はない
→早い時期からするべきこと・してはいけないことを覚えさせよ、幼い時の習慣は天性に等しい


3-12. 愛情は中庸であるべき
…厳しくても愛情が薄いのはいけない
→素気なければ慈愛も孝行もない、馴れ馴れしければ尊重できない


3-13. えこひいきを慎むべき
…賢い子を可愛がるのはもちろん、愚かな子も可愛がってあげなければならない
→自然な愛情を知らずに育つと他人に対する豊かな愛を育みにくい


3-14. 学問の意味
…どんな職業においても学問は修養の基本、人間は生きていく限りなんらかの職業を持つ
→昔の人間は自己の修養のために学ぶ、現代の人間は他人に誇示して喋るために学ぶ
→昔の人間は世界を利するために学ぶ、現代の人間は自分を利するために学ぶ


杜甫

…詩聖、儒家的教養、まじめで律儀、現実主義、七言絶句が得意

3-15. 【春望】
…国破れて山河在り、生き別れた妻子・戦乱に荒廃した世界を憂える
→衰弱していく社会の現実・放浪生活が思想性・芸術性を高める


3-16. 政治・社会に大きな関心を持つ、戦乱の世を嘆き苦しむ民衆に寄り添う
→政治批判・民衆の苦しみがテーマ、恵まれない人々を思う社会主義的傾向


3-17. 運命の出会い
…宮廷で働いたことがあり詩人として有名だった李白、就職活動中でまだまだ無名だった杜甫
→約 1 年半ほど、二人は放浪したり、酒を酌み交わしたり、詩論議に花を咲かせたりした


李白

…詩仙、道家的発想、自由で壮大、ロマン主義、五言律詩が得意

3-18. 峨眉山月歌
…峨眉山月半輪の秋、故郷を離れる際の悲しみを自然を使って美しく表現


3-19. お酒と自由をこよなく愛する、器が大きく快活、小さいことにこだわらない
→酒・月・船旅がテーマ、自然美をダイナミックに詠む、スケールが大きい


韓愈

…儒教・古文復興運動の中心人物

3-20. 原道・原性・原人
…儒家の仁義道徳は国家の礼楽刑政・民衆の衣食住行という人間の日常生活の中にあり


3-21. 仏教が中国社会に浸透すると儒教を否定する傾向
→儒教復興運動、仏教・道教を異端として激しく排斥
→道家は偏りがあり普遍的なものではない、徳の作用がこれがなければ人間はとっくに滅んでいた


3-22. 原性
…人は生まれつき善とも悪とも言えない、善悪で片付けるわけにもいかない


3-23. 原人
…宇宙観、天地人が宇宙の構成要素、三者が乱れれば日・月・星は運行できない
→宇宙の根本は道で道の本質は仁、人生の本質は仁、2 つが融合することで天と人が一体となる


柳宗元

…古文復興運動の中心人物、儒家の人本主義的な社会観・道家の唯物論的自然観を融合

3-24. 【永州八記】
…澄んだ風景描写の上に憂いと怒りが投影されている
→自然を愛した陶淵明・漂泊を好んだ李白・不遇な生涯を憂えた屈原の影響を受ける


3-25. 唐代散文改革運動
…古文復興運動、素朴で力強い文体に帰るべき、余分な修辞を取り除く
→漢代以後は形式や華麗さを求める、技巧と教養を追求し閉鎖的・独占的、庶民には馴染めない
漢代以前は形式や決まりごとにこだわらず開放的、散文に適している


3-26. 天対
…宇宙観、元気が宇宙の構成要素、宇宙は絶えず変化する、創造主は存在せず迷信に過ぎない


3-27. 天説
…天は自然の物質に過ぎず人間に賞罰を与えることはない、無神論の立場から天命を批判


宋・元・明代

范仲淹

…宗学の先駆け

3-28. 【戒子通録】
…家族・隣人を敬い心正しく生きよ


3-29. 先祖を大切に
…不幸でもいつか天・先祖が助けてくれる、天から与えられた幸福はみんなで分かち合いなさい


3-30. 学問と仕事に励んで心と行動を清廉に
…目先の利益のために後悔をするような真似をするな、人付き合いは深入りし過ぎてはいけない


3-31. 健康が何よりも大切
…若いときは健康を過信している、能力があっても力を発揮できなければ意味がない


3-32. 先憂後楽
…心配事は人々が気づかないうちから心に留めて対策をしなさい、
楽しみ事は人々が享受したのを見届けてから余裕があれば楽しみなさい
→後楽園の由来


欧陽脩

…金石学の第一人者、学問と仕事に励め

3-33. 【集古録】
…金石文を注解、古代の金属器・石刻などの文章・絵画を研究


3-34. 民を治むるは病を治むるがごとし
…政治家が国民を治めるのは医者が病気を治すのと同じ、病を治せない金持ちより病の治せる貧乏
結果として国民が平和を享受できることが何よりも大切


3-35. 玉は磨かなければ器にならず、人は学ばなければ道を知らず
…玉は磨かなくても変わらない、人間は学ばなければただの人間のままでいることさえ危うい
→環境の影響を無視して生きることはできない、自己研鑽を怠れば環境に毒されて落ちていく


司馬光

…中国初の編年体(年代順)による歴史書を作った

3-36. 【資治通鑑】
…歴史書、大義名分論により歴史を年代順に整理
→精緻な考証・亡失した複数の資料からの抜粋、歴史的事実の正確な記述
→後世に大きな影響を与える


3-37. 倹約
…欲望を減らすこと、徳こそ財産
→昔は節約を美徳としたのに今は馬鹿にされる、社会は浪費を好むようになった
→倹約から贅沢に移るのは簡単、贅沢から倹約に移るのは難しい、このまま生きていられるか
→欲望の多い人間は政治家になれば汚職をする・田舎にいれば盗みを働く・浪費して身を滅ぼす


3-38. 親は金銭ではなく徳を残そうとしなさい
…子孫は浪費・働いた親は馬鹿にされる・これだけしか残してくれないと恨む
→人を騙したり盗みを働いたりして私欲を満たす・親が早く死んでくれないかと思う
→子孫の幸福を願ってしたことなのに子孫の悪を助長し自身にも降りかかる
→子孫に徳・賢さがあれば質素な生活ができる


陸游

…詩人、過激な言論で軟弱外交を批判

3-39. 【放翁家訓】
…欲望に囚われるな、流行病のようなもの


3-40. 足るを知る
…自分の持っていない物を欲しがり持っている物を嫌がるのが人間、美しい服装・珍しい品物
→結局持っていて何の得になるのか?世間体を気にせず己の信じる道を貫いた人間ならではの達観


3-41. 読書をしよう
…生涯を通して読書を楽しむ、欲望にとらわれず心の高潔を貫くには自己研鑽が大切
→本当に理解するには実践が必要、知識欲を良いことにどう活かすか
→文学の原動力は憂い・怒り


文天祥

…南宗の忠臣、鬼神も泣く正気歌の作者

3-42. 【正気歌】
…忠義を貫く心を歌った詩、戦に負けて捕らえられたときに作った


3-43. 亡国の危機にこそ真の忠臣は現れる
…人を愛し国を憂える思想による、伝記により早くから育まれる


3-44. 一死のほかは何もいらぬ
…元の侵攻、命懸けで南宗の最後を支える、家族はベトナムへ逃れようとするも暴風雨に遭い沈没
→南宗は滅亡、モンゴル帝国、中国は初めて漢族以外に支配される、モンゴル族
→元の政治家にはならないという決意は揺らがない、処刑


3-45. 中国4大名文
…離騒(屈原)、満点紅(岳飛)、前出師表(諸葛孔明)、正気歌(文天祥)


耶律楚材

…モンゴル帝国初期の大政治家

3-46. 【西遊録】
…モンゴル帝国での従軍記録


3-47. 孔子の原則・釈迦の教えを融合
…儒で国を治め、仏で心を治める
→遊牧国家のモンゴル帝国が政治・経済制度を整備し安定基盤の大帝国を建設できた要因の一つ
→チンギス・ハンはオゴタイ・ハンに引き継ぐ時に耶律楚材は天がくれた宝だと言った


3-48. 多くの厳しすぎる制度を緩和、軍と国民を分けて干渉を禁じる
…漢人を皆殺しにしようとするモンゴル人を諌める、農耕の価値を知らず牧地にしようとした
→異民族に支配されていても中国の文明・文化は守られた


張載

…朱子学の先駆け

3-49. 【正蒙】
…気により人生のあらゆる道徳を意味づける


3-50. 気一元論
…気は万物の根源、陰陽の対立があり生成変化して万物となる、宇宙の全ての現象を気で説明
→太虚、気が無形・無限の状態であるこそ気の本体
→仏教を排斥し気による宇宙論と人間の修養論を一体化、朱子学の形成に影響を与える


周敦頤

…宋学の祖

3-51. 【太極図説】
…宇宙の構造を象徴的に描いた太極図を解説


3-52. 宇宙の生成プロセス
…無極(無)にして太極(有)→陰陽→五行→あらゆる現象として現れ人間を含む万物となる


3-53. 実践倫理の基礎
…宇宙の真理・人間の本質に関する科学的考察から可能性を説く
→学問の目的は聖人になること、無欲・自然の中での心の安定・天と人間の相関
→儒学の信念に基づき科挙よりも聖人の道を志す


程顥・程頤

…宋学を完成させた兄弟

3-54. 【明道文集】
…義理の探究、程顥は直感的・融合的


3-55. 礼楽の根本精神とは日常の立ち振る舞いの中で純粋な性格を陶冶すること
…誠を純粋に表現すれば聖人になれる


3-56. 宇宙の根本原理を理と呼び直感的に把握
…人間の体に入って性となり性の絶え間ない顕現こそ同義の始まり
→万物一体の境地に仁が成立、天と人間は元々2 つではなく 1 つ、あえて合一を説く必要もない


3-57. 【易伝】
…義理の探究から易学の新しい境地を開拓、程頤は理論的・分析的


3-58. 性即理
…人間の心は天地の心、物の理は万物の理
→理は現象を成立させる抽象的なもの、理と現象の合一、人間の場合は本性がそのまま理である


3-59. 仏教排斥
…俗世間の煩悩と生死輪廻は一種の利己主義
→ブームになり政治・社会に安定をもたらしたが国を強化することはできなかった


朱熹

…朱子学の祖、新儒学の集大成、一部のエリートにしか実行できない

3-60. 【四書集注】
…心を誠にして自分の中にある徳を明らかにしよう
→存在論として理気説、倫理学としての性即理説、行動規範として大義名分論、学問方法論としての格物致知


3-61. 理気二元論
…宇宙の万物は理と気からなる、宇宙の根本原理は理、宇宙の根本物質は気


3-62. 人間は聖人になれるのか?
…なれる、人間はもとより善、理は万物に性を授け、気は万物に形を与える
→欲望によって悪が生じるため戻すために学問が必要


3-63. 人間は誰でも聖人になれるのか?
…なれる、人間は誰もがもとより善、人間は世界の気の一部、本性は宇宙と同じ


3-64. 人間はどうやって聖人になれるのか?
…読書・仁義礼智、学問を重視、欲望を捨て去り奔放な心を取り戻す


王陽明

…陰陽学の祖、誰でも実践できる

3-65. 【伝習録】
…朱子学の批判から出発、実践を重んじる


3-66. 理気二元論
…宇宙の万物は人間の心の中にある


3-67. 心即理
…心は生まれながらにして理を会得している
→心の欲するままに行動すれば理にかなう


3-68. 致良知
…善悪を判断し不正を除いて善に至る
→私欲に覆われると心は物事をはっきり映し出すことができなくなる


3-69. 知行合一
…実践は知識の完成、行うことで初めて真の知となる、先に知識・後に実践と分けるのは誤り


朱舜水

…儒学者、日本に帰化し水戸学に影響を与える

3-70. 【舜水先生文集】
…経世済民の実用と実学、朱子学と陰陽学の中間


3-71. 教育と経済を重視
…経済生活の安定こそ個人道徳・社会秩序の基本、生産技術の向上が国民に幸福をもたらす


3-72. 誠敬礼学行
…実践の手段、5 段階
→誠は学問思想の中心、敬は徳と礼の基本、礼は国家を治め国民を守る、学は物事・人間・歴史からの学び、行は実行する意味


呂新吾

…儒学者

3-73. 【呻吟語】
…時代に流されない処世術を書く
→人の上に立てる人間による自分の作り方


3-74. 怒りは我慢するのではなく我慢しなくて良い方法を探す
…怒りで正常な判断を狂い窮地に陥る、我慢するのはレベルが低い、相手の理=自分の利


3-75. 欠点の告白で人の心は掴める
…頭の良さを過剰にアピールすると競争に巻き込まれ個人の成果にこだわるようになる
→自分のことに必死でマネジメントに向かないと評価される
→安心されるアピールが必要、人の能力をうまく引き出して使えるという面


3-76. 上っ面の贅沢に惑わされない
…多いこと・多くしようとする気持ちは古くから災の元、美しい


3-77. 偶然に期待するほど愚かな事はない
…当たり前に目を向けて当たり前の行動をとるだけ
→当たり前は世の中がどこ向かっているかを読み解けば感じられる


3-78. 最も恥ずかしいのはお金を優先して志を忘れること
…高い志にコミットするからこそ自分の道が現れる、外面をほめられたらまだまだの証
→志を忘れればいくらお金儲けができても成功したという扱いを受けない


3-79. 無言実行しろ
…信用されるのは言葉ではなく行動


3-80. 大物は騒がない
…心が据わっている、問題にぶつかるとすぐ騒ぐ人間は孤高を守っても徳のある人物でない


3-81. 誇りと自惚を混同しない
…自分の自惚を誇りと勘違いするな、他人の誇りを自惚と決めつけるな


3-82. 感謝を伝える・恩を売るなら大きく・回数を少なく
…回数を重ねると出費が大きくなるものの気持ちは伝わりにくい


4. 清代・中華民国 22項目

康熙帝

…スーパー皇帝、朱子学を奨励しあらゆる学問に精通

4-1. 【庭訓】
…帝王教育について


4-2. 人間は学ばなければ悪となる
…道理を探求し知識を求め、天の徳と帝王の道を一貫させることで自己の精神を育むべき、
できなければ道理を実用することはできない
→学術思想における貢献


4-3. 文字の獄
…反清の思想を弾圧した思想統制


黄宗羲

…民主思想の第一人者、中国のルソー

4-4. 【明夷待訪録】
…暗君の支配する君主先生を批判、士大夫階級を中核とする民主制を主張


4-5. 【明儒学案】
…中国初の本格的・系統的な学術思想史専門書


4-6. 東林学派
…学術と政治を一直線に論じたことに意義がある、理学だけでなく政治についても発言


4-7. 民本主義
…国家の根本原理は天下の公にあり、官僚・法律は万民のためにあるとする


曾国藩

…洋務運動の第一人者、湘軍の創始者

4-8. 【曾文正公全集】
…曾国藩の人生・思想を綴る


4-9. 洋務運動
…ヨーロッパの近代軍事技術の導入、中国初のアメリカ留学生派遣


4-10. 湘軍
…太平天国の鎮圧に貢献、優れた軍事家でもあった
→毛沢東が『近代人で、唯一尊敬している人は曾国藩だ』と語ったこともある


4-11. 養生五訓
…睡眠・食事は規則正しく摂ること、怒り・恨みを持たないこと、欲望を節制すること、毎晩寝る前に熱い湯で足を洗うこと、毎日朝食と夕食の後に3000歩歩くこと
→健康第一、治療より予防


洪秀全

…太平天国の革命の中心人物

4-12. 【原道醒世訓】
…天が人間を生み・養うのだから人間は互いに助け合って太平を享受しなければならない


4-13. 太平天国
…反清派が南京を都として建国、キリスト教系の宗教王国、平等主義、重税に苦しむ貧困な農民を中心に信者を獲得
→農民革命運動、社会革命の先駆け、貧困な農民・女性・少年が多数を占める軍隊は前例なし
→洪秀全は宗教のためにこもる、血縁重視・勝手放題、中華文化に合わず中国人の反感を得る
→内部抗争・欧米列強により消滅、しかし清の権威を失墜させ滅亡に向かう契機となる


4-14. 大同思想
…礼によって矯正しなくても争う者がいなく平和な世界を理想とする


康有為

…変法改革運動の中心人物

4-15. 【大同書】
…大同三世説について


4-16. 大同三世説
…歴史が拠乱世(野蛮)から発展し升平世へ、最後に太平世(理想)に至るという歴史発展理論
→公羊学に西欧の社会進化論・ユートピア思想をも取り込む


4-17. 変法改革運動
…西洋の政治制度も学んで中国の政治制度を改めようとする、
西洋文化の物質面だけを摂取した洋務運動を批判、アヘン戦争の敗北による
→百日維新、政治改革は 100 日あまりで失敗


孫文

…辛亥革命の中心人物

4-18. 三民主義
…世界大同・天下一家のためには国家の独立・自立性が必要、仁の教えと大同思想


4-19. 民族主義
…反帝国主義により民族の解放・独立を唱える


4-20. 民権主義
…五権分立、司法・立法・行政・監察・試験


4-21. 民生主義
…土地改革・産業公有により人民の利益を図る


4-22. 辛亥革命
…中国のブルジョア民主主義革命、清が滅びて中華民国が生まれる
→専制政治から民主共和政治へ、封建地主階級から資本家階級へ国家権力が移る


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。

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