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026 1on1を制度ではなく文化として定着させる

私は、何にでもスローガンを立てるのが好きです。よいスローガンは、想いに彩りをつけます。先日、あるセミナー登壇のためにスライドを作っていたら、素敵なスローガンを思いついちゃったんてすよ。すでにちょびっと社内で使い始めています。それが、このタイトルです。

昔から1on1を嫌いだと言い続けています。1on1的な面談の効果は理解できますし、意図的にやることもあります。手法としては、とても有効だと思います。

でも、上司と部下との面談にはいろいろなパターン、目的、ケースがあり、1つのやり方にはこだわれません。1on1はあくまでも引き出しの1つです。

また、部下と上司の面談であれば何でも1on1と呼ぶケースと、面談の中で部下のリフレクションを促して、しっかりと経験学習サイクルを回す支援をする面談を1on1と呼ぶケースが混載している、つまりすっかりと1on1が浸透と拡散しきってしまった状態に、少々辟易としてしまっているのかもしれません。

さらには、いやいややる1on1や、勘違いした1on1は逆に有害でさえあります。時間の無駄でもあります。

でも、1on1的なアプローチは、絶対に組織管理者がマスターして実践できるようにならなければいけないと思っているので、2年続けて、全組織管理者向けの1on1研修を社内ではやったりしています。でも、1on1は好きではないのです。我ながら、この矛盾をした自分の心理が説明できないでいました。

そんな中で、自社の志あるメンバーが一生懸命に王道の1on1の支援と普及に走っているのをみて、さらに何となくもやもやとしていました。そして、冒頭で書いたセミナーのスライドを書いている時に、突然わかったのです。私は、実は1on1信奉者(実は好き)であるだけに、制度化された強制的な1on1が嫌なのです、というか危険だと感じるのです。1on1は上司が本質を理解して本気でやらないと駄目なのです。実施率をKPIにして現場に強制しては駄目なのです。私達がやるべきことは、効果のある1on1の伝播と、現場をその気にさせる努力です。私は、1on1が嫌いだったのではなく、制度としての1on1が嫌いだったのです。おそらく、制度化した瞬間に一部の組織管理者は、やらされ感と押し付けられ感に襲われます。これは、実に現場をしらけさせる行為です。
私は、根っからのdeliverable派ですから、制度構築志向のdoable派とは一線を画して、運用と現場の今を大切にしたいのです。1on1は現場にはきっと必要ですし、上手にやると間違いなく効きます。人事施策は実施してなんぼではなく、効いてなんぼなのです。

で、冒頭の話に戻ります。思いついたスローガンとは、タイトルのとおり「1on1を制度ではなく文化として定着させる」です。いいでしょ、これ。絶対に制度になんかにはしません。やりたい、やるべき、やれるようになりたい、そんな組織管理者を増やし、そういった皆さんを徹底支援することが、私達の大事な仕事なのです。賃金制度の設計なんかは、実にアートなところがあるので大好きなのですが、制度なんかつくるのは極力やめましょう。

※15年ほど続けている人事責任者としての想いを書き連ねている「人事部長、引継ぎ」シリーズの一環です。タイトル頭の3桁の数字が連番。

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