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JBFな人たち #19 丹葉光宏(株式会社丹葉商会)

JAPAN BRAND FESTIVALにかかわる人たちは、一体どんな想いを持ってものづくりやビジネスをやっているのか? JBFに入って良かったことは何か? 当事者たちにインタビューしてきました。
今回お話を聞いたのは、「釧路の物産のプラットフォーマー」を任じ、空港などのリアルな土産物店とECサイトの両軸で釧路の土産物を扱う株式会社丹葉商会の丹葉光宏さん。土産物屋歴数十年の知見とサウナの“整い”を生かして、「メイドイン釧路」の愛されるお土産物も開発中!

土産物屋歴数十年が生み出す「新釧路土産」

——株式会社丹葉商会は1973年創業ということですが、はじめから土産物を扱っていたんですか?

丹葉 父親の時代は歴史本を扱う本屋だったんですよ。釧路という一地方の本屋なのに、全国トップクラスの成績を納めて、そこで貯めた資金で「自分の力を試したい」と釧路空港で土産物屋をはじめました。

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——親子代々商売人ですね!

丹葉 そうですね。商売は得意な家系です。

——商売は順調で、どうしてJBFへ?

丹葉 土産物って結局有名なものしか売れないんですよね……。北海道なら六花亭のバターサンドか、白い恋人。味がわかっているから安心だし、もらった人も喜ぶし、たしかに何の問題もない。僕だって、「伊勢参りに行ってきた」って言われたら、赤福を期待しますよ。
だから、気持ちはわかるんだけど、土産物屋って“地域の物産のプラットフォーマー” だと思うんですよね。その立場としては、釧路の地元の生産物が無視された状態でいいのか、と。

——商売の「在り方」に課題を感じていたんですね。

丹葉 「これだ!」という解決には至ってないけど、僕を含めた社員が「ちゃんと考える機会を持てた」のはJBFに入った大きな収穫です。全然整理できていなかった頭が少しは整理されて、少しずつ言語化もできるようになってきました。今は「霧のプリン」という新しい釧路土産を開発中です。

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——どうして「霧」なんですか?

丹葉 釧路って、霧が有名なんですよ。日本で一番霧が出る町。そのせいで、よく飛行機も欠航になるくらいで(苦笑)。海の塩分を含んだ霧が牧草に降り注いで、それを食べた牛の乳も濃く、おいしくなる、とも言われています。そういった釧路ならでは食材を使って、「メイドイン釧路」の愛される土産物を生み出したいですね。

死ぬかと思ったコロナ禍

——コロナ禍の商売はどうでしたか?

丹葉 死んでました。観光に来る人がいないと、土産物も売れない。売り上げ9割減の店もあるくらいで、僕らも大変でした。でも、生産者の人たちからも「なんとかしてくれ」と言われて、余計に困りました(苦笑)。
苦肉の策で考えたのが、いろんな土産物を詰め合わせた「北海道福袋」という商品。「余らせるくらいなら少し安くても売れたほうがいい」という生産者と、「北海道の美味しいものが安く買えたら嬉しい」という消費者のニーズが合致して、ECサイトで本当によく売れました。

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——それはWin-Winの商品ですね。

丹葉 いろんな地元のメーカーの想いを背負ってやっていた部分が大きいです。でも、やっぱりこういうやり方じゃ、根本的な解決にはならないんですよね。薄利多売じゃだめだといつも思ってるんです。持続可能なやり方じゃないな、と。

——丹葉さんはSDGsに対する意識が強いんですか?

丹葉 全然できてないけど、取り入れていきたいとは思っています。今って、東京の商社がガバっと地方の「良い物」を押さえて、東京や全国の主要都市に卸していくケースが多いんですよ。だから、売れないものは地元に余ってるけど、売れるものは地元に全然出回らない。

——それはちょっと歪な構造ですね……。

丹葉 でも、商社が押さえてくれれば毎月安定して収益が出るし、地方の生産者にとってはありがたいことでもあるんです。それはわかる。だから、誰にとっても持続可能な、“そうじゃない”やり方を模索しないと。そうやって考えていくと、安売り競争ではなくて、付加価値をつける方向性なんですよね。そういうストーリー作りや販路の開拓方法も、JBFで学んでいきたいです。

次なる秘策は、釧路産ロウリュウ!?

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——忙しい仕事の毎日で、丹葉さんはどんなことをしている時間が一番リラックスしてますか?

丹葉 サウナです。もう、毎日サウナ。

——毎日ですか! それはかなり気合いの入ったサウナーですね。

丹葉 サウナの本場・フィンランドにも行きましたからね。サウナに救われた、みたいな部分ありますよ。自分の仕事は忙しいし、その合間に「なんとかしてくれ」と言われてコンサルみたいなことをしたり、考えなきゃいけないことがいっぱいある。眼の前のことで忙しくしていると、新商品開発みたいな未来のことが後回しになっていくし……。だから、毎日サウナで心と体を“整える”んです。そして休憩スペースでパソコンを開いて仕事して、またサウナに入って。

——お忙しいんだと思いますけど、サウナ好きにはたまらない環境じゃないですか(笑)。

丹葉 そうですね。まだ全然現実的じゃないですけど、将来的にはサウナ関連の事業もはじめたいと思っているんですよ。サウナ好きが高じて、最近では釧路の名産・トドマツの樹液を絞って、サウナフレグランスを作る取り組みもはじめています。ロウリュウといって、熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させる、サウナーが大好きな作法があるんですけど、そのときにトドマツのフレグランスがフワッと香ったら最高じゃないかなって。

丹葉光宏
株式会社丹葉商会 代表取締役

28歳の時に、釧路空港にあるリアル店舗と楽天市場のECサイトの両軸で、北海道および釧路の土産物を扱う「釧路の物産のプラットフォーマー」(株)丹葉商会へ入社。2019年に代表取締役へ就任、今までのお土産店からの視点から地域の特徴を生かした、新たな魅力あるコンテンツ作りを企画、実行し、世界へ広く発信したいと模索中。一方、社業の傍ら、地域の青年部などに所属し地域活動を行いながら、地域の魅力を発信している。
http://946tambaya.com/

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