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JBFな人たち #15 森岡正宏(有限会社トレンディー)、濱松誠一、福岡ひとみ

JAPAN BRAND FESTIVALにかかわる人たちは、一体どんな想いを持ってものづくりやビジネスをやっているのか? JBFに入って良かったことは何か? 当事者たちにインタビューしてきました。
今回は、日本茶や健康茶のプロデュース・販売を行う有限会社トレンディー代表取締役社長の森岡正宏さんと、共に新商品開発に取り組んでいる濱松誠一さん、福岡ひとみさんの3名。そのあくなきチャレンジ精神の源泉はどこに!?

「甘茶」と「奈良」の甘い関係

——森岡さんは地元の奈良県だけでなく全国の日本茶を厳選してプロデュースされていて、まるでお茶のキュレーターのようです。

森岡 そんなところかもしれませんね。日本茶って、ブレンドされているものが多いんです。私たちは、一人ひとりの生産者さんが持っている個性とかこだわりを活かした、ブレンドではないお茶を、生産者さんの名前をつけて販売するという取り組みをしています。

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——なぜそのような活動をはじめたのですか?

森岡 私は生まれが奈良県の大和高原で、大和茶の生産地だったということもあって、お茶作りが昔からすごく身近にありました。近所の人も母親もお茶栽培に携わっていて、茶刈りばさみでお茶刈りをしているというような環境で、幼少期はその手伝いもしょっちゅうしてましたし。お茶を作っている人の苦労を間近に見てきたっていうのが原点になっていますね。全国にいる、一生懸命良いお茶を作ってらっしゃる方を、少しでも応援したいと。

——いま進行中の新しいプロジェクトは「甘茶」が主役とお伺いしました。

森岡 そうなんです。たまたま出会った方が、岩手県の九戸村という場所で村をあげて甘茶の栽培をしている方だったんですけれど、東日本大震災のひどい風評被害にあって、商品が売れなくて困っているということを知りました。甘茶といえば、奈良では親しみ深いもの。寺社仏閣がたくさんありますが、4月8日のお釈迦様の誕生日に仏像に甘茶をかけるんです。そこで、何かお役に立てるのではと思い、九戸村の甘茶を購入して、奈良を代表するお寺・東大寺の大仏殿に毎年献納したり、他のお寺にも売らせていただくということを続けています。

——甘茶と奈良の共通項に目をつけられたのですね。ところで、甘茶って日本茶とは違うんですか?

森岡 全く違っていて、日本茶は椿科、甘茶はアジサイ科の植物なんですね。やせ地で日当たりが良くないところ、標高の高いところでも育つのが特徴で、岩手県や長野県で主に生産されている。これが実は、大和高原の風土に非常によく似ているんです。だから奈良でも育つんじゃないかということで、5年ほど前から甘茶の栽培をはじめました。

——栽培まで! 成果はどうですか?

森岡 失敗を重ねました(笑)。乾燥とか発酵の微妙な試行錯誤を繰り返して、ようやく去年少し形になるようになってきたというところです。4、5年かかりましたね。

甘くなかった新製品開発の道

——やっと軌道に乗り始めた甘茶の栽培。ところで、そもそも甘茶ってどんな風味なんでしょうか。

森岡 甘茶は砂糖の200倍の甘さがあるのにノンカロリーで、なおかつノンカフェイン。お茶のままだと甘すぎてしまうので、何か加工して面白い商品ができないかと思っていて、今は濱松さん、福岡さんに協力いただきながら商品開発を進めているという段階です。

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——濱松さん、福岡さんはどんな風にプロジェクトに携わっているんでしょうか?

濱松 いま森岡さんが言われたように、甘茶の加工品ということで、甘茶の持っているとされるアンチエイジング効果とか抗菌作用というところを活かした商品ができないかなと考えています。

——甘茶はマルチな力を秘めているんですね!

濱松 ムダ毛の処理とかに効く抑毛効果があったり、脂肪を分離させる力もあったりと言われています。昔から漢方というカテゴリーにも属していましたから、そういう視点からも、普通のお茶とは全然違っていて面白いですよね。今は、ローション、美容液、クリームと、歯磨きジェルの4種類を考えています。たまたま化粧品が先行していますが、ゆくゆくはもっとトータルの世界観で展開して、その中の一つに化粧品もあるという感じにしていきたいと思っています。

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——クリエイティブな部分を担当されている福岡さんは、最初にこの話を聞いた時、どんなアイデアがありましたか?

福岡 実は最初は甘茶の甘味シロップを考えていました。メタボにも役立つしシロップは使いやすいし需要があるのではないかなと。でもいろいろ進めていくと、甘茶特有のえぐみをどう解決しようかとかいろいろ問題もあって。まだまだ研究が必要ということもあり、シロップは諦めて、甘茶パウダーを作ろうということに方向転換をしました。まだまだブラッシュアップが必要です。

——効能がたくさんあるだけに、どうやって商品化をしていくのかというところが難しさでもありますね。

福岡 そうですね。まずは甘茶のことと、私たちの思い描く世界観を知っていただくということが必要なので、化粧品を先行させて形になるものを作って、将来的には他にも広げて行けたらと。なぜ甘茶が社会に必要なのかというところももうちょっと言語化して、うまく社会貢献というところまでつながっていくように考えています。

四六時中、お茶に夢中♡

——お茶愛に溢れる森岡さんから、お茶の楽しみ方を是非教えてください!

森岡 今朝もちょうど茶粥をいただきましたよ。大和では昔から「おかいさん、おかいさん」って茶粥のことを呼んで親しんでいて、茶粥を食べる文化があります。茶粥のセットを作って売れないかなと思っているんですよ。大和高原は水が綺麗でお米もおいしいんです。大和のお米と、いいほうじ茶と、奈良漬と、きりこ(小さいかき餅)を一緒にして。だから、何グラムのほうじ茶と合わせたら美味しいかとかを、土鍋で茶粥を作りながら研究しています。

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——奈良愛もすごい。森岡さんはお茶を販売するということを超えて、お茶文化の応援団という感じがします。

森岡 良いお茶を作ってる人たちを知っていますから、そういう個性やつながりを消費者の方に伝えたいと思っています。最近は、過疎化や高齢化で農業を辞める方も多くなっていると聞きます。甘茶を作ることが、地域振興とか社会貢献につながっていくんじゃないかという思いを持って続けています。

——そういう思いが森岡さんのモチベーションになっているんですね。森岡さんのパワーの源はなんでしょうか?

森岡 絵を描くことが昔から好きでよく描いているんですが、やっぱり絵を描いている時間は無になるというか、そういう時間は人間にとって必要なんだろうなと思います。頭が切り替わりますよね。少しの時間でも、なにかに没頭する時間を持つことは大事だなと思います。そして、いつまでも挑戦し続けたいですね。

森岡正宏
NPO法人きみかげの森理事長、奈良いのちの電話協会理事長、櫻乃庵㈲トレンディー代表取締役社長

1943年1月29日生まれ、同志社大学経済学部卒、奈良生まれ奈良育ち。サラリーマン生活6年を経て、故奥野誠亮衆議院議員の秘書を20年余り務めた後、小泉政権時代、衆議院議員を二期務めた。引退後、奈良市都祁の実家を拠点にNPO法人きみかげの森を立ち上げ、都市と田舎の交流、荒れた山林や耕作放棄地の再生などと取り組んで11年目となる。また、2015年からお茶の販売事業を起こし、日本茶を売るかたわら甘茶の栽培とも取り組んでいる。

福岡ひとみ
グラフィックデザイナー、クリエイティブディレクター、魅力を伝えるコンサルティング

奈良生まれ奈良育ち。少女漫画を描いていたが目が出ず、DTPオペレーターという職種があることを知り「これしかない」とクリエイティブの道にすすみ気づけば20年。34歳で独立、以降10年以上お客様と先輩&友人デザイナーに育ててもらい今に至る。『あなたの魅力がお客様に伝わるデザイン』を目指す。代表作は、奈良のフリーペーパー「ならほるもん」、若草山焼き広告、奈良ひとまち大学5周年記念広告 など。

濱松誠一
株式会社UNIWORLD EXPRESS JAPAN代表取締役、リシェナチュール株式会社代表取締役

関西学院大学卒業。神戸生まれ、神戸育ち。大学卒業後、家業の繊維製品卸業を継ぐため繊維製品商社へ就職。父、他界により家業を引き継ぎ20年余り経営。その後、営業コンサルティング会社設立、繊維関係、飲食関係、流通関係などのコンサルティング及び企業再生などに従事約8年前に中国広州の企業集団「広東博達グループ」のトップと知己を得、日本製品を中国で販売するため同グループと日本法人を6年前に設立、現在、中小の優良な日本製化粧品を中国でブランド化し販売することをメイン事業として経営その他、地方活性化プロジェクトを鳥取、沖縄、和歌山、奈良、静岡地域の農家や中小企業と会社設立を含めパートナーコンサルティング実施中。


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