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科学論文

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把握しておくべき重要な論文はこちらです(ただし科学情報ですので常に更新されることにご留意ください)。
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2020年12月の記事一覧

モデルナ社RNAワクチンに関する論文2篇

<科学論文>
※2020年12月9日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

 臨床試験で94.1%の有効性を示した米モデルナ社のRNAワクチン候補(mRNA-1273)が当局へ緊急使用許可を申請し、17日にも承認される見通しであることが報じられています。
 西川伸一京大名誉教授(医学博士)が代表理事を務めるNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパンで紹介された、モデルナ社

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感染成立に必要なウイルス粒子数は1000

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月23日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

Sci Transl Med. Nov 23, 2020(doi.org/10.1126/scitranslmed.abe2555)

 オーストリアでは疫学的サーベイランスシステムが発達している.実際に第一波で

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大流行が1年続いている米国でも,集団免疫はまったく実現されていない

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月24日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

JAMA Intern Med. Nov 24, 2020(doi.org/10.1001/jamainternmed.2020.7976)

 米国の全土,すなわち50州を含む52の管轄地域で,SARS-CoV

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COVID-19は虚血性脳卒中,とくにcryptogenic strokeの増加と関連する

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月21日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

Ann Neurol. Nov 21, 2020(doi.org/10.1002/ana.25967)

 COVID-19に関連した脳卒中の発生および転帰について報告するコホート研究を集めたメタ解析が報告された

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TNFαとIFNγの組み合わせは,複数の細胞死の特徴を持つ強烈な細胞死(PANoptosis)を誘導する

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※本論文は最終版ではないレビュー中のバージョンであり、2020年11月19日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

Cell. Nov 19, 2020(doi.org/10.1016/j.cell.2020.11.025)

 米国からサイトカイン・ストームで誘導される種々

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【動物実験結果】 鼻粘膜への感染により,ウイルスは速やかに脳へ移行する

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月9日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

Nature. 2020 Nov 9.(doi.org/10.1038/s41586-020-2943-z)

 米国からの研究.上皮細胞特異性発現K18プロモーターにより,ヒトのACE2を発現するモデルマウスを作

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モデルナ社製ワクチンmRNA-1273の第1相試験

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月12日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

N Engl J Med. Nov 12, 2020(doi.org/10.1056/NEJMoa2022483)

 米国ファイザー社とともに期待されるモデルナ社製ワクチン候補mRNA-1273に関する第1相試

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安全なワクチン開発に要する時間

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月10日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

JAMA Intern Med. Nov 10, 2020.(doi.org/10.1001/jamainternmed.2020.7472)

 COVID-19に対するワクチンの安全性は重要な問題である.どの

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退院患者の11人に1人が,2カ月以内に再入院する

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月13日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:1695–1699.(doi.org/10.15585/mmwr.mm6945e2)

 米国の865病院のデータを用いて,12万6137人の入

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抗うつ薬が重症化防止に有効かもしれないという2つの論文

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月12日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるフルボキサミンは,サイトカイン産生を調節するシグマ1受容体を刺激することで,臨床症状の悪化を予防する可能性がある.米国から,軽症COVID-19に対して,フルボ

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ミンクからヒトへの感染によるアウトブレイク

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月10日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

Science. Nov 10, 2020(doi.org/10.1126/science.abe5901)

 動物実験において,SARS-CoV-2に感染することがわかっている動物は,ヒト以外の霊長類,ネコ,

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COVID-19とギラン・バレー症候群(GBS)の関連性

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月6日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

J Neurol Neurosurg Psychiatry. Nov 6, 2020(doi.org/10.1136/jnnp-2020-324837)

 COVID-19におけるギラン・バレー症候群(GBS)の

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精神疾患とCOVID-19には双方向性の関係がある

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月9日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

Lancet Psychiatry. Nov 9, 2020(doi.org/10.1016/S2215-0366(20)30462-4)

 米国から電子カルテネットワークを用いたコホート研究が報告された.

 

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過去の流行性コロナウイルス感染は重症化を防ぐ

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年9月30日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

J Clin Invest. Sep 30, 2020.(doi.org/10.1172/JCI143380)

 4 種類の流行性コロナウイルス(OC43, HKU1, NL63, 229E)は季節性の「風邪」の

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