モデルナ社RNAワクチンに関する論文2篇

<科学論文>
※2020年12月9日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

 臨床試験で94.1%の有効性を示した米モデルナ社のRNAワクチン候補(mRNA-1273)が当局へ緊急使用許可を申請し、17日にも承認される見通しであることが報じられています。
 西川伸一京大名誉教授(医学博士)が代表理事を務めるNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパンで紹介された、モデルナ社RNAワクチンに関する論文2篇(8月5日Nature、11月12日NEJM)の解説記事です。
 大規模治験に進む前に、まず信頼できる科学に裏付けられた実験結果に支えられる必要があり、論文発表の形でなされる科学的データは臨床効果を評価・予測するための理論的根拠として常に参照することが重要、との見解が示されています。

 Nature論文は、mRNA-1273の前臨床研究の中身と経緯を示しており、RNAワクチンという新しいモダリティが、今回の新型コロナのみならず、今後のパンデミックにも迅速に対応しうる切り札としていかに重要かを強調した論文である、と西川先生は指摘しています。

 NEJM論文は、3月から開始された第1相試験の結果報告です。治験に参加した45人の成人で、2回の接種により、回復患者さんの抗体を上回る中和抗体活性が誘導でき、実際に使われる100μg接種ではばらつきも少ない状況。副反応については100μg接種では、倦怠感、寒気、頭痛、局所の痛みなどが半数以上の人に現れることがわかったが、その後半年間の経過観察で、これら以外の問題は出ていないということです。

 西川先生は「細かい点までよく考えられた、科学的成果としても目的のはっきりした優れた論文だし、感染が拡大し始めたときの防御の第一線として、RNAワクチンが優れていることがよくわかった」とまとめています。




 

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