過去の流行性コロナウイルス感染は重症化を防ぐ

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年9月30日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

J Clin Invest. Sep 30, 2020.(doi.org/10.1172/JCI143380)

 4 種類の流行性コロナウイルス(OC43, HKU1, NL63, 229E)は季節性の「風邪」の原因である.これらの流行性コロナウイルスは,SARS-CoV-2ウイルスと多くの配列を共有している.

 米国で,2015年から調査されていた呼吸器病原体検査により,上記の4 種類の流行性コロナウイルス感染歴を有する者875名と有さない者15053名を比較し,COVID-19の臨床像に違いがあるかを検討した研究が報告された.両群で感染率は同等であったが,流行性コロナウイルスに感染したことのある患者では,COVID-19の重症化率(集中治療室使用や死亡)が有意に低かった.

 以上により,流行性ヒトコロナウイルスに対する過去の感染経験は,SARS-CoV-2感染を防ぐことはできないが,病状を緩和することが示唆された.

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