安全なワクチン開発に要する時間

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月10日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

JAMA Intern Med. Nov 10, 2020.(doi.org/10.1001/jamainternmed.2020.7472)

 COVID-19に対するワクチンの安全性は重要な問題である.どのぐらいの人数を,どの程度の期間,検討すれば安全性が担保されるのか,過去10年間,米国食品医薬品局(FDA)が承認した21種類のワクチンを検討した研究が報告された.

 ワクチンの種類は,インフルエンザと髄膜炎球菌が5種類ずつと最多であった.また市販前臨床開発期間は8.1年で(以下,数値は中央値),7つの臨床試験のエビデンスに基づいて承認されている.各試験の患者数は6710名,有害事象の観察期間は6ヶ月であった.

(下畑先生所見)
 米国のワクチン開発は「ワープ・スピード計画」と名付けられたが,確かに従来のワクチン開発と比較にならないスピードでの承認が求められている.著者は安全性を確保するために,従来より大規模な試験を行うこと,ならびに有害事象の発現までの十分な期間観察することが必要だと述べている.ちなみにファイザーのワクチンの臨床試験は4カ月足らず前に始まったばかりである.

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