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【脚本修正】ガチ映画好きがリライトした聖闘士星矢The Beginning

もう少し一般受けしやすい脚本にリライトしました。

▼アバンタイトル:

黄金の鎧を纏った2人が空中で戦っている。1人は赤子を抱いている。大爆発が起きて地表に赤子が残される。赤子は数百年に一度現れる女神アテナの生まれ変わりであり、神々の戦いの予兆である。彼女を守護するための聖闘士(ナイツ・オブ・ザ・ゾディアックKnights of the Zodiac)を集める必要がある。

▼第一幕:

アメリカの寂れた工業都市。星矢は地下闘技場で稼ぐ荒くれ者だ。圧倒的な実力を持ちながら、なぜか優勝はできない。八百長じゃないかと疑われて半グレの輩に襲われることもしばしば。面倒臭えなとボヤきながら星矢は街でも夜な夜な乱闘する日々。

そんなある日いつもとは違う屈強なサイボーグ軍団に襲われる。実は星矢はかつて聖闘士になるために修行したコスモの使い手で、理由があって修行を中断してアメリカに逃げてストリートファイトで稼ぐようになっていたのだ。優勝できないのは、実は目立ちすぎないようにわざと負けていたのだが、それも遂に見つかってしまった。

「見つけたぞ、コスモの使い手よ」
「なぜそれを?」
「修行から逃げ出した者を生かしてはおくことはできん」

生身では太刀打ちできず逃げ回る星矢。そこにアルマンが現れて、街から逃げ出す。

「乗って、星矢くん!」

▼第二幕:

回想シーン。ギリシャの岩山。マスクの女から素手で石を砕くように命令される。コスモについて説明する女。そして集中した少年は石を土台ごと粉々に粉砕する。

目を覚ます星矢。ベッドから降りて寝室を出ると、そこは豪華な屋敷。広間に居た若く美しい女と鉢合わせする。

「シエナ…だよな?」
「お父様、星矢が目を覚ましましたわ」

アルマンが現れて、シエナは退席する。

「薬で眠らせるなんて卑怯だぞ」
「久しぶりだね、星矢。直接会うのは10年ぶりかな。見つけるのには苦労したよ。まさか日本ではなくてアメリカの裏社会に潜んでいたとは。君は私の財団の補助金を受けてギリシャでペガサス聖闘士になるべく修行していたのに、5年前に途中で逃げ出した。財団は全力で君を探していた」
「借金の取り立てかい?」
「いや、君を殺すためだ」
「じゃあ、なぜあんたは俺を助ける?」
「グラードとは仲違いしてね。私はもう財団の人間ではない」

アルマンが巨大モニターに写真を表示しながら説明を続ける。

「君には話してなかったが、私とグラードは20年前にゴールド聖闘士と赤子を見つけて、この財団を設立した。赤子が将来女神として覚醒するまでに聖闘士を集めるのが我々の使命だった」
「俺もその候補者の一人だった」
「しかし2年前にグラードはゴールド聖衣のパワー解析に成功した。これによってサイボーグ戦士の製造が可能になり、人類は科学の力でコスモを制御できるようになった」
「俺を襲ったサイボーグ野郎どものことか」
「そして、いま世界中で聖闘士が次々とグラード財団に殺されている」
「ちょっと待てよ!なぜ?」
「グラードはアテナの生まれ変わりであるシエナと彼女を守る可能性があるコスモの使い手を皆殺しにする計画に変更したのだ」
「は?意味わかんねえよ」
「アテナは核兵器のようなものだ。強力な武器は安全に保管するのもまた難しい。今は良くても、力が発揮されればアメリカ国防省に目をつけられるかもしれない。これがアテナが暴走した時のシミュレーションだ」

簡素なCGによるアニメーションだが、世界が爆発に飲み込まれていく様子が描かれている。

「こんなことが一人の人間で、本当に?」
「実際のところは分からない。しかし、可能性はある。それならば、目覚める前に殺してしまう。グラードに言わせればそれが優しさだと」
「酷い話だな」
「その通り。だから反対した私はシエナを連れ出して今日まで身を隠してきた。なお一部の聖闘士は財団に協力しており、そこにはペガサス聖闘士も含まれている」

写真を見て星矢の表情が変わる。

「カシオス?!」
「いや、彼はカシオスの兄ドクラテスだ」
「そういえばカシオスが話していた」
「ギリシャのスカウトチームも存在は把握していたが、彼は年齢制限を超えていたので外されていた。しかしあの事故があって、弟の代わりにと願い出てきたので特別に採用した」
「それで最後まで勝ち残ったのか」
「星矢、ペガサスのクロスを継承するべきなのは君だった。君もそれを分かっているはずだ」
「俺は手を引いたんだ。お断りだね。運命とか、デタラメだろ」
「しかし一度は信じた」
「まだ子供だったからさ」

部屋から出て行こうとする星矢。

「なぜ修行を放り出した?」
「他にやることがあるんだ」
「生き別れた、君の姉を探す?」
「そうだ」
「もし財団が君の姉と繋がっているとしたら?」
「なんだと?」

星矢の足が止まる。

「財団はコスモを持つ者の血筋を狙っている。君の姉も例外ではない」
「姉さんを使って脅迫するのか?」
「星矢よ、潜在能力では君が優っていた。あの悲劇で君の心が折れるまでは。もう一度向き合って、ドクラテスを倒しペガサス聖衣を手に入れるのだ。聖衣をまとえば力は何倍にもなる。それに今この屋敷を出ても、今の君には君自身さえ守れないぞ。そんなことで姉を守れると思うか?」
「全部お見通しってわけか」

その時、屋敷全体にアラームが鳴る。

2人が別部屋に駆けつけると、アテナの力に一時的に覚醒して苦しむシエナがいた。シエナの体が光に包まれて、部屋中の物がポルターガイストのように飛び回っている。シエナを光から取り出そうとして手を火傷する星矢。このエネルギーはシエナから出ている。やがてシエナを取り巻くオーラが徐々に弱まっていき部屋も落ち着きを取り戻す。

「大丈夫、もう収まったわ」
「星矢、見ただろう、これがアテナの力だ。もう時間がない。シエナが完全にアテナに覚醒したら隠し通すことはできないし、そもそもシエナが世界を焼き尽くしてしまうかもしれない。それまでにアテナを守る聖闘士が必要なのだ」
「でも、こんな力を発揮したら俺にも止められるか…」
「神話では過去にアテナをペガサスが導いたという伝説もある」

アルマンが壁に掛けられた絵画を指さす。女神とペガサスが描かれている。

「聖闘士な中でもペガサスは特別。君と聖衣がその鍵を握っているのだ」
「最後はペガサスファンタジーで説得かよ(笑)」
「しかし女神の伝説は今君が見た通り事実だ」
「ならばペガサスも、ってわけか」

夜。部屋で荷物の準備をしながら、ふと手に巻かれた包帯をじっと見つめる星矢。次にアテナが暴走したら、自分に何ができるのか。

回想シーン。ギリシャの岩山。仮面女マリンとの修行でコスモに跳ね飛ばされる星矢。コスモについて説明するマリン。コスモを爆発させれば激しい光熱が生まれるが、それに対抗するには強いコスモをぶつけるしかない。この中で最も強くコスモを使えるようになった者がペガサス聖闘士になる。修行仲間カシオスとふざけて小競り合いをする星矢。

「星矢?」

現代。部屋にシエナが現れて我に返る星矢。

「もう一度ペガサスの聖闘士になろうと決心してくれたのね」
「このまま逃げているわけにはいかない。運命と向き合う君を見て思ったのさ」
「うそ。本当はお姉さんを探すためでしょ」
「痛いとこつくなあ。正直それもあるけどね。でも、この体に宿ったコスモを操る力。これを正しく使いたいと思う気持ちもあるんだ。これまでにみたいに地下で喧嘩を続ける日々は嫌だしね」
「・・・」
「・・・」
「覚えてる?10年前。あなたはまだこんな小さな子供だった」
「君もだろ」
「私の方が背が高かったわ。あなたはチビで」
「修行の賜物だね」
「そして、とても優しい少年だった」
「・・・」
「ねえ星矢、5年前に何があったの?なぜ修行を投げ出して」
「財団から聞いたろ」
「真実を話しているとは思えないわ」
「長くなる。戻ってきたら話すよ」
「絶対に、無事に戻ってきてね」


▼ブレイク:

ちょっと疲れてきたのでこの辺で切ります。(笑)

もし好評なら続きも書きます。

・星矢の過去に何が起きたのか。
・カシオスとの友情はどうなるのか。
・ドクラテスを倒してペガサス聖衣を奪えるのか。
・お嬢様のアテナ発動には間に合うのか。

もう大体、考えてあります。

私が考えた脚本の方が、お客さんの引きは良いと思うんですけどねえ。映画版では星矢とシエナが初対面でしたけど、こちらでは数年来の知り合いにしておくことで守るというモチベーションに繋げやすくしてます。あとはカシオスをちゃんとペガサス聖闘士を目指す者として配置したり、アニメ版オリジナルで星座を持たないデタラメ聖闘士ドクラテスを星矢の後釜としてペガサス聖闘士に当てはめる(もちろん映画の後半で星矢にぶっ倒される噛ませ犬キャラとして)というトリックも使っています。しかも「星矢が脱落したなら順当に行けばペガサス聖闘士になるのはカシオス」という原作ファンの予想も絶妙に裏切るテクニック!どうでしょう。

つづく(?)

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