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何者(映画感想)

2016年の日本映画。原作は直木賞受賞小説。

佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之という豪華キャスト。みんなとにかく若い!(山田孝之だけは今とあまり変わらない:笑)

観ていると遠い昔に就職活動していた頃を思い出す。なんとなくツッコミどころが多くて退屈な映画だなー、俳優の美しい顔だけで持っていくタイプの映画だなーと油断して観ていたが、最後の20分になって大どんでん返しというか、怒涛の伏線回収というか、そういう見せ方してくるか!という感じで面白かった。

私は原作小説も未読だし、事前情報を入れないで視聴したが、この展開と演出はとても楽しめた。

原作は『桐島、部活辞めるってよ』の朝井リョウ。
監督は『娼年』『愛の渦』の三浦大輔。
これも知らないで映画を観たのが良かった。
ネットフリックスで出てきたから観た。のが良かった。

以下では核心部分の #ネタバレ を含みますのでご注意ください。

▼ネタバレ感想:

佐藤健がいつもコソコソTwitterやってるのが不自然すぎて笑っていたのですが、まさかの最後がTwitter裏アカ暴露で畳み掛けてくるとは。という感じでまんまと映画の翻弄されました。騙されたー。映画って事前に情報を入れないで観た方が、変に期待したり身構えたりしなくて観られるので良いですね。

私は普段は、監督が誰とか、誰がプロデュースしているのかを気にして観る映画を決めることが多いのですが、どの俳優が出演しているかだけで観る映画を決める映画ファンのやり方(特に実写邦画またはジャニーズのファンに多いとされがち)が、ある意味一番幸せなんじゃないかと思いました。好きな顔を見て幸せな気分になって、予想外の物語展開に素直に感動できるわけですから。これ嫌味じゃないですからね。(←菅田将暉の台詞ですよw)

劇中では有村架純は最後にスマホで覗き見している様子が描かれていましたが、菅田将暉も「メアドでTwitter垢探すのってヤベエよなw」って言ってるので、菅田将暉も佐藤健の裏垢を見てしまった可能性が高いですね。いやいや昭和生まれの私に言わせれば、共有してるメアドで裏垢を作る佐藤健のガバガバ具合の方がヤバイだろというか、そんなこと「少し考えれば分かるだろ」と言いたくなるのですが、デジタルネイティブの世代(平成生まれ以降)って案外こんな感じなのかもしれませんね。

佐藤健が裏垢で構築した世界を、演劇形式で見せるというアイデアは大変良かったと思います。そして観客席に有村架純が座っていました。これって有村架純が佐藤健の裏垢ツイート(自分だけの舞台)を見ていたという映像的な表現でもありますよね。その後すぐに実際にスマホで見ているカットに映るので気づかれた方が多いと思いますけど。素晴らしすぎませんか。

有村架純が岡田将生にキッツイ言葉を浴びせまくるシーンがリアルタイムでは全く意味が分かりませんでした。なんであそこまで厳しいことを言うのか単純に分かりませんでした。それまでずっと良い子だったのにね。観賞後にこうして文章に書き起こしながら分かったのですが、佐藤健の裏垢ツイートを読んでいたから佐藤健と同調して嫌悪感を溜め込んでいたのでしょうね。こうやって後から反芻すれば分からないこともないけど、ここまでちゃんと考察する人は少ないと思うので、ちょっと表現手法として上手くないかなとは感じます。表垢をこっそり読んでいるシーンを入れるとか出来たと思います。小説では映画でカットされたエピソードがあったのかもしれませんが。

このシーンに関して言えば、泣いて飛び出してしまった有村架純のあとを追う佐藤健が去り際に岡田将生に追い討ちで言葉をかけるのも輪をかけて意味不明でした。「頭にあるうちは傑作なんだよ」って言葉。それって言う意味ありますか?有村架純を庇うような言葉かしら?私が空気読めてないだけなのかしら。ただ、すでに有村架純にボコボコにされた岡田将生に被せて放つ言葉としては度を越しているというか、完全にアウトですよね。

映画の冒頭に「俺は長くサークルやったからなー」という菅田将暉の台詞からなんとなく違和感はあったのですが、それが映画の終盤の岡田将生の「2年目なんだろ」という言葉まで明かされないのも最高でした。佐藤健くん就活浪人やったんかーいと。笑えるし、ゾッとするしで、最高です。岡田将生なりの反撃だったんでしょうか。もし仕返しとか攻撃目的ではなくて、ナチュラルで言ってるとしたら岡田将生が一番空気読めなくてバカなヤツじゃんという気持ちですね。

こんな風にツッコミ所が多いのですが、そういうのを全部吹き飛ばしてしまうほど、俳優のビジュアルが強くて観れてしまいますし、ラストの演劇的な展開が楽しくて満足できてしまう、不思議な魅力を持った映画だと思いました。

私は青かった時代のことを思い出して、少し照れ臭くなったり、アイタタってなるくらいで済んだのですが、もう少し世代が近い人にはもっとハートに刺さる(刺さりすぎて痛いくらい)作品だったのかなあ。

了。

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